恐怖分子

僕の点数:4.9
見た日:01.3.7

1986年
Country: 台湾
アクション ホラー サスペンス ドラマ
テレビ/ビデオで見た


キャスト リー・リーチュン
コラ・ミュオ
チン・シーチエ
監督 エドワード・ヤン
音楽
備考 はじめてエドワード・ヤンの作品を見た。
 少年によるピストル事件。それをアマチュアカメラマンの青年がとらえる。そこに現れる美少女。サイレンを聞いている倦怠期の小説家の妻と外科医の夫。少年は事件現場のアパートを借り、少女を待つ。少女はさまざまないたずらをするうちに、小説家の妻に電話をする。それがやがて悪夢を引き起こす・・・。
 殺伐とした暗く赤い台北の町に展開する「すれ違い」の映画。それぞれのキャラクターは決して深くかかわることなく、すれ違う。青年は少女を追いかけるが、少女は奔放にいたずらを行う。外科医は妻を追いかけるが、妻はかつて愛した男と新生活を切望するようになる。
 北野映画のように沈黙がすべてを支配し、暗い画の緊張をさらに高める。音楽は最小限にとどめ、ただ静寂を強めるだけ。キタノブルーに対して、ヤンは赤を基調とした薄暗い映像が前編を通して展開する。
 現実と夢が交錯したようなスタイルの中で、小説と現実に悩まされる外科医。フィックスされたキャメラの一見オーソドックスに見える作風だが、エドワード・ヤンの確かな演出が、しっかり懐に隠してある不思議な映画である。


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(c) Hideto Miyai


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