ぼくの伯父さん

僕の点数:4.9
見た日:01.2.28

1953年
Country: フランス
ドラマ コメディー
テレビ/ビデオで見た


キャスト ジャック・タチ
監督 ジャック・タチ
音楽
備考  はずかしながら知らなかった、タチの名作。
 勝手にそこら中を駆け巡る掃除機。自動ドアのように開く車庫(夫婦を閉じこめてしまうシーンは傑作!(笑))。制御盤しかついていないキッチン。ちょろちょろと情けない噴水を上げる魚のオブジェ。
 21世紀を迎えた今ですら、もはやSF的と言えるほどに、「全自動」の電化製品に囲まれた大手メーカーのアルペン社長宅。しかし、そこに住む息子は決して楽しくない。一方で仕事は何をやってもダメなフーテンの伯父さんユロ。少年は次第に彼に心引かれていく・・・。
 「花束をどうぞ。造花だから枯れません」「あらゴムの匂い。」
スノビッシュな会話がぽんぽん飛び出す上流階級と、汚いアパートやカフェで明るく歌っている労働者たち。極めてアイロニカルに対比させている。あまりに極端にカリカチュアされていて、ついついニヤリと笑ってしまう。
 徹底的にフィックスされたキャメラによる懐かしい色調の画、奇妙な効果音とアフレコ、明るくのんびりしたムード、などなど現実感のないメルヘン。にもかかわらず、結構ピリリとくる辛辣な笑いがしのばせてあって、たまらない。
 また、この映画、現代人がどこか忘れかけていた「いたずら」心を随所に魅せてくれる。特に、口笛を吹いて、人を電柱にぶつけさせるシーンは最高!
 タチが生きていれば、今の子供たちをどう見てるんだろう?そんな事を考えさせてくれる懐かしい映画。


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(c) Hideto Miyai


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