バック・ドア

僕の点数:4.2
見た日:00.11.1

2000
Country: ギリシャ
ドラマ
映画館で見た


キャスト コンスタンティノス・パパティミトゥリウ
アレクサンドゥリアニ・シケリアヌ
監督 ヨルゴス・ツェンペロプロス
音楽 マリオス・ストゥロファリス
備考  東京国際映画祭で見てきた。
 66年のアテネ。13才の少年ディミトリウスは思春期を迎え、父の死による環境の変化、初体験、アメリカのヒッピー文化の流入、新しい父との確執など、さまざまな体験を経て成長していく。時代はギリシャの激動の時代。国王が軍とクーデタを起こそうとしていた。政治家になった新しい父は、軍部とくみし、赤狩りやヒッピー狩りをはじめる・・・。
 政治的背景と絡めることで、単なる青春映画から、監督の経験も交えた自伝的でメッセージ性の強いものになっている。ギリシャの当時の状況が分からないと、少し理解しづらいが、さまざまな箇所に陰喩を用いて、観客を飽きさせない質の高い娯楽映画になっている。主人公の美少年の演技も、これが新人とは思えない軽やかな名演を見せてくれる。美しい母親の描写も生々しい。音楽もナイマンを彷彿とさせるピアノの現代音楽で、少年の感情を雄弁に語る。
 残念なのは、この映画もやはりアメリカで学んだ監督らしく、映像が現代のハリウッドスタイルであること。アンゲロプロスしか知らなかった私にとって、ギリシャでもこのような映画が作られていることは、大変興味深かったが、もう少し「ギリシャ映画」であってほしかった。監督は「ギリシャの人々も自分たちと同じだったのだと、観客に感じてほしい」と語っていたが、少し老婆心がすぎるかもしれない。

written by Hideto Miyai's "映画スタック"


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