非・バランス

僕の点数:4.9
見た日:00.10.31

2000
Country: 日本
ドラマ コメディー
映画館で見た


キャスト 派谷恵美
小日向文世
原田美枝子
羽場裕一
監督 冨樫森
音楽 川崎真弘
備考 東京国際映画祭で見てきた。
 小学生の時、猛烈ないじめに遭い、いまも夢で悩まされる13才の少女チアキ。ホラー映画ばかり借りてきたり、「クールに生きる、友達を作らない」をモットーにするなど、はた目には超然とした女の子であった。そんなある雨の日の夜、彼女は学校でウワサになっている「緑のおばさん」に出会う。チアキは思わず悩みを打ち明けるが、実際はゲイの歌手の菊男であった。ほどなくして、二人は無二の親友となる。しかし、キクちゃんこと菊男には、ある隠された過去があった・・・。
 チアキを演じる愛くるしい派谷の表情(往年の夏目雅子を彷彿とさせる)と、絶妙のオカマぶりを見せてくれる小日向の名演が、この映画をただのアイドル映画から最高水準の成長物語へと押し上げた。そして厳格な武士のような顔立ちの監督がこんなかわいらしい映画を作り上げてくれたことに拍手をおくりたい。(派谷は撮影中何度も泣いたそうだ。やはり監督の厳しい演技指導があったのでは?と予想される。)仙台の都会の美しい風景のなかで、日本映画ならではの温かい人間ドラマが展開する。私に「がんばっていきまっしょい」以来のすがすがしい感動を与えてくれた。また、現代日本のかかえる「いじめ」の問題をとても雄弁に語り、諸外国から来られた人々の関心を引いていた。
 ともかくも、これが長編第一作となる冨樫監督の今後の作品に、要注意である。

written by Hideto Miyai's "映画スタック"


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