Planet of the Apes　猿の惑星

Comment:
ＳＦの金字塔、「猿の惑星」のリメイクならre-envision。
　前作を見ていないので、何ともコメントしがたいが、本作はコメディである。猿のアクションをこれほどコミカルにリアルにマジメに描いた作品は、バートンをおいて他に作れなかっただろう。特にティム・ロスの猿っぷりは見事。ワイヤーアクションで縦横無尽に飛び上がる（しかも意味もなく）仕草はチンパンジーそのもの。全く本人の顔がわからないから悲しいが、それでも成りきっているロスの演技力に脱帽する。そういうわけで、リック・ベイカーのメイクは見物。眼に鼻に、動きがリアルで楽しい。だが、ヘレナ・ボナム・カーターはもう一工夫が欲しいところ。彼女の美貌を残したかったのだろうが、かえって猿らしさを失い中途半端な印象を受けた。エステラ・ウォーレンが一人、原住民に混じってきれいなのはお約束。
　ストーリーは、ラストは違うものの、アイロニカルな話。ただし、今回はふざけにふざけているので、その「遊び」を満喫したい。マジメに文明論を語ると損をする。所々、アラがあるのもご愛敬。ティム・バートンならではの美術をご堪能あれ。