ピストルオペラ

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世紀末に再燃した清順ブームは、鈴木清順に念願の新作を撮らせることになった。多くの映画人にリスペクトされている「殺しの烙印」をリメイクしたのである。だが、期待が大きすぎた。監督自身、むちゃくちゃに演出していてまとまりがない。というより、相変わらず人の意見を取り込みすぎた感もある。やや、清順ファンクラブへのサービスが過ぎるのである。お約束を解っている人たちにはそれで良いのかもしれない。だが、新規のファンを開拓することに成功したかといえば、大いに疑問が残る。お約束に走るのは「シベリア超特急」で十分。清順には新たな映像を開拓してほしいのである。だから、大好きな映画作家ではあるが、あえて厳しい点をつけたい。
江角マキコが美しい。やや幼児ポルノ気味の少女の演出も、エゲツナイ。だが、それが清順映画のもつ独特の匂いを、腐らせてしまった。彼の映画は乾いた「大人」の香りが必要なのである。カラー映像のケバサも裏目に出た。次回作に期待。