紅いコーリャン

僕の点数:5.0
見た日:2000.10.10

1987
Country: 中国
ドラマ
テレビ/ビデオで見た


キャスト コン・リー
監督 チャン・イーモウ
音楽
備考  語り部の祖母は、ラバと引き換えに、コーリャン酒の酒蔵の主人に売られた。酒蔵の主人はハンセン病であった。彼女を籠で運び、酒造所で働いていた語り部の祖父は、コーリャン畑で彼女を犯す。やがて酒造所の主人が殺され、彼女は酒造所を担う決心をする。やがて子供が産まれ、名酒十八里紅が誕生するが、そこに日本軍がやって来る・・・。
 恐ろしい映画である。コーリャンの紅、コーリャン酒の紅、太陽の紅、女の衣装の紅、陽が照りつける男達の肌の紅、そして血の紅・・・・。全編むっとするほど紅いトーンで統一された映像。この映画における紅は美であり、怒りであり、血の涙である。
 キャメラは、こざかしいテクニックはいっさい使用せず、ただ真っ正面から映像をとらえていく。壮大な大自然を余すことなく見事にフィルムに定着させていく達人技。
 そして、それらがセリフでなく歌で重ねられている。映画に登場する数多くの明るい民謡や即興の歌は、悲痛な映像に痛む観客の心に、さらに揺さぶりをかける。
 この映画に登場する生きた人の皮をはがさせるという日本軍の残虐な行為。このような行為が少なからず中国で行われていたという歴史に、胸を痛めずにはいられない。
 そして、ラストに悲痛な面持ちで、日食のコロナの真っ赤な光りに溶け込む親子のシルエット。チャン・イーモウ監督の怒りに満ちたメッセージが、目に焼き付いてやまない。

written by Hideto Miyai's "映画スタック"


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