ラスト・タンゴ・イン・パリ
Last Tango in Paris

僕の点数:4.8
見た日:2000.10.9

1972
Country: イタリア
ドラマ
テレビ/ビデオで見た


キャスト マーロン・ブランド
マリア・シュナイダー
ジャン・ピエール・レオー
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
音楽 ガトー・バルビエリ
備考  パリのアパート。お互い名も知らぬ男と女が、密会し、体を重ねていく。男は妻の自殺で孤独な中年のアメリカ人。女はフィアンセもいるパリの学生(?)。女はやがて、男から離れていくが・・・。
 良くも悪くも「過渡期」の映画。基本的に、うっとうしいとも思えるほど、多くの男女の会話で構成され、それをパリの薄暗い原風景の中のブランドやシュナイダーのシルエットで魅せていく。「シャンドライの恋」が映像だけでストーリーを語るのに対し、本作はまだまだ会話に頼るところが大きい。だが、即興的な演出が随所に施されていて、人物の緊張感がひしひしと伝わってくる。
 光の魔術師・ヴィットリオ・ストラーロのキャメラが、今回も流れるようにパリをとらえていく。人物の顔の白さが暗いアパートの部屋の中で、薄暗く光る。テーマであるタンゴのメロディも、単調なメロディながらしっくりきている。
 当時、「芸術かワイセツか」と騒がれた本作だが、今となってはハリウッド映画がこれ以上にワイセツきわまりないだけに、静かに見れた。ベルトルッチらしいエレガントな作品。
 若い女は当初、男の「大人」に魅せられ、まだまだ未熟なフィアンセから離れてしまう。このフィアンセが彼女を主演に撮る映画がケッサクで、いかにも軽薄かつ単純。本作の退廃的で深いテーマと対照的に描かれている。女は男の正体に興味を持つが、男は頑なにそれを拒絶。このセックスだけでの愛は成り立つのか?というのが本作のテーマだけに、ラストのブランドの複雑な表情が脳裏に刻まれる。

written by Hideto Miyai's "映画スタック"


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