メトロポリス

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手塚治虫の初期の大作「メトロポリス」を大友克洋の脚本で完全映画化。
　初期の手塚のタッチを見事にアニメ化した手腕に拍手。丸いスポンジみたいなキャラクターが愛くるしく動く。その職人芸はさすがジャパニメーションと思う。
　ストーリーは原作をもとに、手塚のエッセンスを抽出しながらも、後半は大友のAKIRA的な破滅型機械文明を描ききる。クラシックジャズが流れるNYのレトロさを取り込んだメトロポリスは、スクリーンでも迫力満点。久々にスケールの大きいＳＦワールドを堪能できた。
　だが、残念なのは、監督の演出が甘いこと。わざとなのか、声優の演技がどれも手塚のメルヘンな絵からは浮いてしまう。（そのぶん、ロボットが目立って面白いのだが、）また、ＣＧはよい効果と悪い効果と両面あって、シーンによって出来がまばらだった。あと、間のとりかたがまずく、迫力に欠けるシーンが多々見られた。サウンドも臨場感が足りなかった。
　だが、そんな粗を飲み込んでさえ、面白く見られるレトロなアニメと壮大なメトロワールド。この斬新なフォルムの勝利。一見の価値は十分あると思う。