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ダンサー・イン・ザ・ダーク     2000

 

 

Rating: 5.0

Genre: ドラマ

I watched : in Theater

Country: デンマーク

Cast:
ビョーク
カトリーヌ・ドヌーブ
デビッド・モース
ピーター・ストーメア

Directed by: ラース・フォン・トリアー

Music: ビョーク

Comment:
 東京国際映画祭で見てきた。今年のカンヌ映画祭パルムドール&主演女優賞受賞作。
 傑作である。
 時代は50年代のアメリカ。遺伝的に視力の弱いチェコ移民のセルマは、たった一人の息子(同様の視覚障害がある)の手術費用を稼ぐために、工場で必死に働く。彼女の唯一の楽しみはミュージカル。どんな音でも聞き分けて、それをミュージカルとして想像にふけっていた。そんなセルマに心を寄せるジェフや、温かく見守り続けてくれる同僚のキャシーの愛。しかし、ついに視力を失ってしまう。そしてさらに、悪いことが待ち受けていた・・・。
 「奇跡の海」の監督らしく、不条理な社会に厳しく、一方で弱者に温かいまなざしを向ける。しかも今回はミュージカル。ミュージカルは突然踊り、歌いだし、決して悲劇的なことはおこらない。セルマの見いだす即興のミュージカルと現実とのギャップに思わず涙する。
 ストーリー展開にやや無理もあるが、それはミュージカルゆえに気にならない。ハリウッド映画がミュージカルを完全に忘却してしまった今日、デンマークの監督がそれをここまで再現してしまったというのは、何とも皮肉な話である。
 ビョークの演じるセルマの純粋無垢な魅力に圧倒される。そして、もちろんその美しい歌。私は、恥ずかしながら彼女のシンガーとしての仕事を知らなかったが、今回で一気にその虜となった。100台以上のキャメラが、彼女のミュージカルを同時に捕え、圧倒的な迫力で目まぐるしく展開させる。この映像の革新が、今回の受賞につながったのは間違いない。
 そして手持ちキャメラでリアルに捕えられるビョークの演技。これが初の演技とは思えない凄まじい才能である。ドヌーヴやモースら、共演のヴェテランがかすんで見える。
 懐かしくも独創的で斬新な映画。まだこんな映画を作れる人がいたことに強い衝撃を覚えた。

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