僕の点数:4.4
見た日:01.3.16
1962
Country: 米国
ホラー サスペンス ドラマ
テレビ/ビデオで見た
キャスト | ジェームズ・メイスン スー・オリン シェリー・ウィンタース ピーター・セラーズ |
監督 | スタンリー・キューブリック |
音楽 | ネルソン・リドル |
備考 | ナボコフの原作をナボコフ自身が脚色&キューブリックが映画化。 当時、問題となるシーンをほとんどカットしてしまった、非常にソフトな恋愛映画。そのため、キューブリックならもっとできただろう鮮烈な映像は完全になりを潜めている。そのため、彼のフィルモグラフィの中でも、とてもかわいらしい異色作に仕上がっている。 まず、音楽。ネルソン・リドルの甘い甘いメロディが随所に繰り返し用いられ、全くのメロドラマになってしまっているのが興味深い。そして、醍醐味であるところの映像も、晩年の暗い照明やシンメトリックな構図は全くなく、モノクロの極めて明るいタッチの映像であるのに驚いた。キャスティングもキューブリック好みの俳優が選ばれているのがわかるものの、どことなくぎこちない。演出が堅すぎて、この映画には彼の得意の手法が向かないのである。物語も、原作をなぞってか、やたらと会話とモノローグが多く舞台調で、退屈である。 だからといって、この作品が全くの異端の失敗作かと言えば、決してそうではない。マシュマロのように甘い雰囲気の中に、やがて「博士の異常な愛情」であらわになるピーター・セラーズのシャープなカミソリがすでに、潜んでいるからだ。 とにかくも、キューブリックの苦労が伺える希有な作品である。 |
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(c) Hideto Miyai