ZOO<BR>A ZED & TWO NOUGHTS

Comment:
　動物園で研究者として働く双子のオリバーとオズワルド。白鳥にぶつかるという交通事故で、それぞれの妻を失った彼らは、奇怪な行動に出る・・・。
　二人はカタツムリに異常な執着心を持ち、動物の進化論の映画でカタルシスを発散させ、動物を下等なものから順に腐らせて、それを映像に収める。そんな阿鼻叫喚をキャメラは少しのためらいもなく、淡々ととり続ける。リンゴから、エンゼルフィッシュ、ワニ、白鳥、シマウマと、連続カメラで腐敗の過程を見たときは、私も吐き気がした。そして、双子は最後に人間の腐敗を映像に収めようと試みるのだが・・・。その間のナイマンの音楽はこれまでになく楽しそうで遊んでいる（この曲は「料理の鉄人」にも使われた）。そのため、あまりの視覚と聴覚のズレから、神経が麻痺しそうになった。
　対称性へのこだわりも際立ち、シャム双生児や、片足の女アルバの足の切断などなど、奇抜なテーマも満載である。
　アルファベットに基づく、動物の名前が登場したり、動物に関する歌が挿入されたり、「数に溺れて」同様、遊び心もたっぷり。さながら「大人の動物図鑑」とも言える。この作品で、完全にグリーナウェイは好きな人と嫌いな人を分けただろうが、私は前者である。