恋人たちの食卓<BR>

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　冒頭から素晴らしい中国料理の職人技を魅せてくれるペーソスたっぷりの家族ドラマ。冒頭のシーンは芸術が生まれる一瞬、一瞬を見るようで、「マルメロの陽光」の冒頭シーンを思わせた。長年のレストランのシェフを勤めた父親と、三人の娘のまるで「リア王」のような物語（といっても、悲劇ではなく喜劇）。最後にはめでたく大団円を迎えるのだが、それに至るまでに二転三転する三姉妹の恋や父親への思いをユーモアたっぷりに描いており、料理に負けない極上の人間ドラマである。ラストに父親はとんでもないことをしでかしてくれるのだが、また料理が出てくると自然に顔がほころんでしまう。この演出と編集と脚本の冴え！料理と人々の表情を色鮮やかにとるこの撮影も見事！そして、父親を演じたラン・シャン氏の職人的男ぶり！。初めて見た台湾映画だったが、アン・リー監督の確かな人間観察をここに見た。見終わった後、「お腹空いた～」となる映画である。また、自分たちの食文化を見直させてくれる作品でもある。