PARTY7

Comment:
　「鮫肌男と桃尻女」の石井克人監督によるアクションありアニメありの痛快ホテル喜劇。
　組の金を盗んだ三木が泊まったホテルに、三木に借金を取り立てに来た元彼女のカナ、三木殺しを命じられた蓄膿症のアニキ、そして見届けに来たさらに危ない若親分。と奇妙なやつらが次々訪れる。そしてそれを秘密の部屋から覗いている、オキタ青年とそれに覗きの美学を伝授するキャプテン・バナナ。
　ホテルの二部屋で、ただひたすらに荒唐無稽なパラレルワールドが展開する。浅野忠信や永瀬正敏ら実力若手俳優に、原田芳雄や大杉連らヴェテランが顔をそろえ、軽妙な演技合戦を繰り広げる。特にヒゲを剃って「御法度」の松田龍平よろしく危ない青年オキタを演じた浅野は出色。それに「ツィゴイネルワイゼン」以上の危なさで迫る原田の演技がさえ渡る。永瀬らが繰り広げるまんま「パルプフィクション」ワールドは、そこに日本の現代演劇的なボケ＆ツッコミのヌケたトークが加わり、単なるタランティーノのパクりに終わらないところが評価できる。
　監督自身「ど根性ガエル」を意識した（！？）そうで、相当マヌケな笑いが堪能できる。ＤＪ気分でREMIXされる映像も、従来の日本映画にあまりなかっただけに、新鮮だった。そしてジャパニメーションを見せつけるかのような、（往年の「ルパン三世」を思わせる）迫力のアニメーション。
　見た後には何にも残らない作品だが、ただひたすらに現代日本の笑いを追及したところに勝機があった。次回作に期待がかかる。