風が吹くまま

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初めて、キアロスタミ作品を見た。
　小さな村で葬儀を取材するためやってきたベーザードは、寝たきりの老女の死をひたすら待つが・・・。
　死をゆったりとしたスパンで見つめるキアロスタミ監督の優しい視線が、全編を通して感じられ、見た後にすがすがしさが残る。その人間観はどこか黒澤監督を思わせる。
　ファーザード少年をはじめ、村の住民みんなが忙しそうに働く。「暇は人をだめにする」という言葉が印象的だ。わざとカメラに写さない人物画登場するのも独特だ。音楽はラストを除いて使われないが、その分、自然の音を取り入れており、飽きさせない。カットは長いが、アンゲロプロス作品のような緊迫感はなく、流れるように進む。
　ちなみに、ラストの骨を川に投げ込むシーンは「2001年宇宙の旅」へのオマージュだろうか？
　初めてのキアロスタミ作品に少々戸惑ってしまったが、とてもいい作品である。