叫びとささやき<BR>Viskningar och rop

Comment:
病気で瀕死の状態のアグネス。しかし、彼女の面倒を見るのは、いつも、姉妹のカーリンやマリアではなく、召使いのアンナだった。しかも、カーリンとマリアはお互いを認めあうことの出来ない間柄。
ベルイマンの真骨頂と言った感じ。姉妹の確執という点では「沈黙」にも通じるが、今回はさらにグレードアップしている。「沈黙」（モノクロ作品だった）でも見られた死のイメージを、赤を多用することで（赤のフェードイン・アウトがとても印象的）、視覚的にも強く印象に残す。とくに死んだはずのアグネスが、突如よみがえって、二人の姉妹に助けを呼ぶシーンのこわさ。これほど息が詰まる映画もまれである。
そして、終わりに出てくる、「かくて、叫びもささやきも沈黙に帰した」というメッセージ。恐れ入りましたというほかない。