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貧弱なスペックと言うなかれ、CPU自体の性能は1年前は最高レベル。D60が発売されたのは2002年初め頃だから、十分なスペックと言えなくもない。

■低価格パソコンの復権と  
数年前、いきなり10万円パソコンが登場したときには驚いた。ついにパソコンもこんな値段になったか、と20万円台があたりまえだったパソコンの価格帯に革命が起きた元祖はDOS/Vパソコンが登場して数年が過ぎ去った頃であった。アメリカと比べてあまりに価格差のあったパソコン価格に疑問を感じる人々が少なくなかった当時。筆者はパソコンパーツショップの店員としてパソコンの組み立てをサポートする仕事をしていた。  
 各メーカーは新型パソコンを前面に出し、価格はどれも20万円を大幅に越える。生産調整の能力が高まり、売れ残ったパソコンの大安売りという大阪日本橋や秋葉原での恒例の行事は鳴りを潜め、どこへいって金太郎飴状態の製品ラインナップと価格。説明も不慣れな新人が押し付けられ、たどたどしい専門用語を並べるばかりであった。だからこそ、第1次自作パソコンブームが訪れたのである。     しかし、ようやく海外のメーカーの進出によって、低価格パソコンの登場が現実のものとなり、コンパックやDELL、ゲートウェイといったアメリカの新興メーカーも日本へ進出するようになった。競争が起こったのである。そんな低価格パソコンはそれまでとても手の出せなかった大学生や新人社会人たちにパソコンの楽しさ、面白さ、そしてビジネスに使う道を開いてくれたのであった。


 そんな低価格パソコンが一時消え去ったのは、CD-Rや液晶といった周辺技術の急激な向上によりプレミアを付けて、値段を吊り上げてしまった大手メーカーの戦略に、多くのユーザーが振り回された結果である。しかし、今は昔、インターネットというだけではなく、ブローダーバンドがあたりまえになりつつあり、パソコンは30台と一部のおじさんビジネスマン、先進的なOL達だけの道具ではなく、おばちゃんやおっちゃん、高校生から女子大生までがあたりまえに使う小道具へと進化している。そして、デフレも相俟って価格もよりリーズナブルなものが求められる時代となったのだ。
 

 ■デジカメの座右にパソコンあり  

 カメラも進化を続け、今やデジカメの販売数が銀塩のそれを超えるに至った。デジカメの勢いは留まることを知らず、今や携帯電話にまで高性能デジカメ機能を追加し、簡単に写真が撮れるようになったのである。動画機能の向上も合わせて、最も進化のスピードを高めているのが、このデジカメのパートなのだ。  
 特に一眼レフデジカメにはパソコンは必須。なにせ、それがなければ、大量に撮影したデータを吐き出す口がないからだ。最近はCDに焼き付けるサービスも登場しているが、そのコストの高さには閉口を禁じえない。10枚もCD-Rをそこで作れば、安いパソコンが買えてしまうほどである。  
 使い方にも寄るが、筆者の場合には1回の撮影会で1G程度。それをパソコンに入れて調整してからCD-Rに焼き付けている。が、使っているパソコンといえば、CPUはセレロン600MHzのすでに型落ちと言っても過言ではないスペックのパソコンなのだ。デジカメにはパソコンが必須。これは今や当然の常識なのである。
 

 ■破格PCのラインナップ状況  

 パソコンを買い換えた方が良いのだろうか、時代遅れになりつつあるパソコンを買い換えた方が良いのだろうか。悩むユーザーは筆者も含めて多いことだろう。そのとき目に映るのはペンティアム4の2.66Gや3GHzの機種だ。確かに長い目で見ればそのほうがベターかもしれない。が、周辺機器なども常に進歩しているので、そちらが大幅に時代遅れになれば、パーツを買い足したり付け替えたりしなければならない。実際に、多くの人が追加の周辺機器の購入を余儀なくされている。その主なものがメモリとハードディスクだが、今、80〜120G前後が標準としても1年も経てば最低1.5倍に。下手をすれば2倍くらいになってしまう。あらゆるパーツがまちまちのスピードで進化しつづけている。それがパソコンである。  


 しかし、我々はどこかで線引きをしてパソコンを買わなければならないわけだ。ならば、時代の最先端を購入するのは馬鹿馬鹿しくなる。なにせ、1段か2段落とせば、価格は半額以下。用途を考えて購入すれば十分に使える機種がごろごろしているからだ。例えば、ツクモと石丸電器が米eMachinesを通じて販売している低価格デスクトップパソコンは49800円からある(モニタは別)。また、ソーテックも17インチのモニターがついて69800円と破格のデスクトップを発表した。基本的にデジカメはモニターで見たほうが色などは安定して判断できるので、これはお買い得だろう。
  また、安さ日本一を断言するコジマ電器も17インチモニター付で62800円とこれまた破格のデスクトップPCの販売を始めた。さらに、そのライバルヤマダ電機も地味ではあるものの以前から超低価格パソコンの発売を始めている。
   そして、さらに対抗馬として名乗りを挙げるのが、従来企業向きにしか販売を積極的に展開していなかったビジネス系直販メーカー。その代表がエプソンダイレクト。あくまでも中堅ビジネスマンがターゲットに違いはないが、破格を売り物にする量販店よりも、よりセンシティブに商品のスペックのバランスをあわせてきている。     このようにスペックに過敏にならないのであれば、これだけいろいろな種類の破格パソコンを選択肢にして選ぶことができる。
    

 ■低価格PCでもデジカメ編集楽々  

 無論、パソコンのスペックはよいに越したことはないが、そのために買いたかったレンズを1本我慢するのは、カメラマンとしてはなかなか納得できるものではないだろう。それよりも、スペックを大幅に落としてでもリーズナブルなパソコンで事足りるなら、そちらを選択するのが道理というものではないだろうか。  
 実際には、EOS1Dsなど1000万画素を超える、極めてスペックが要求されるようなデジカメを所有していない限り、また仕事としてデジカメを使用し、時間と戦いながら頑張っているということではない限りは、ロースペックのPCでも十分事足りる。写真の表示で数秒長く待たされるのかもしれないが、それはカメラマンとしては大した問題ではない。パソコンのマニアならかなり我慢できないことでも、カメラマンという前提のもとで動いているなら、我慢できるはずなのだ。
  人それぞれの予算の具合にも寄ってくるが、スペックを少し上げて、と考えているなら、自作をお勧めしよう。なぜなら20万円台のメーカーが推奨する彼らにとって利益の出るパソコンと、超低価格パソコンの隙間を埋めてくれるようなパソコンの選択肢が意外と少ないからだ。筆者も次は自作で行こうと心に決めており、少しでも余裕ができれば、パソコンパーツショップに顔を出そうと思っている。大丈夫、無駄なスペックに金を費やすなら、我慢していた撮影会に1回、参加したほうが有意義だ。それがカメラマンという生き物なのだから。
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