ぼくはベッドから身をおこし ぬぎすてたしわくちゃなズボンに車のキーを探す そうだやつに話しがあるんだ あの車の助手席の赤いドレスの女に
運命の車をさがせ、と だれかが命じる そのうしろ姿は親父に似ている いや、年老いたぼくなのかも
ウインドウにひじをかけて タバコに火を点けて 白い煙が女の姿になっていく ぼくにウインクしたり体をくねらせてみたり
そう、そうしてるうちも今も 運命の車は走る 僕の知らない町を ちっぽけな愛や人のやさしさを忘れ もしかすればたやすいこの町を
運命の車は走っている 僕は追いつけないのか それともずっと先を走っているのか いま信号でならんだ車から あの女