■ 鬼平犯科帳 (3) ■

 「麻布ねずみ坂」


「約束事というものはよくよくにむずかしいものじゃ、人間と人間の誓いゆえ、なおさらにな……」


 「盗法秘伝」


「なんといっても江戸は将軍さまのおひざもとだからね。いろいろとうるさいし、きびしい。近よらぬが得というものさ。」


 「艶婦の毒」


「はい,はい。なにさま、お若い上に、そりゃもうお元気なお方ゆえ……」


 「兇剣」


「ひとつ、ぜひとも、長谷川様へお目通りをしたいものだが……」
「それは元締。むりというもので」


 「駿州・宇津谷峠」


「左馬は、よほどに、その幼ともだちのことをわすれかねているらしい。情に厚い男ゆえな」


 「むかしの男」


「前火付盗賊改方、長谷川平蔵の妻を、何用あって呼び出されましたか?」
「ほ……これは、すさまじい」


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