■ 鬼平犯科帳 (1) ■

 「唖の十蔵」


「町奉行は桧舞台。盗賊改メは乞食芝居」


 「本所・桜屋敷」


「女という生きものには、過去もなく、さらには将来もなく、ただ一つ現在のわが身あるのみ・・・」


 「血頭の丹兵衛」


「あんまりにせものがひでえまねをするから、たまりかねて、真の盗を世の中に見せなすったにちげえねえ。」


 「浅草・御廐河岸」


一、盗まれて難儀するものへは、手を出さぬこと。
一、つとめをするとき、人を殺傷せぬこと。
一、女を手ごめにせぬこと。


 「老盗の夢」


(なるほどなあ……小房の粂八どんが狗になった気持ちも、よくわかる)


 「暗剣白梅香」


(斬れなかった……斬れる筈なのに、斬れなかった。不思議な男だ。あの長谷川平蔵という男……)


 「座頭と猿」


「さすがに鬼の平蔵とよばれるだけのことはある。やることがすさまじいよ」


 「むかしの女」


「……蛇のお頭も、これで鬼平殺しをあきらめなさるだろうよ」


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