ここでは4部作全曲が聞ける演奏を載せています。
何を以って4部作全曲というかと言えば、
1.同一コンセプトの下で上演または録音されたもので、
2.一定の期間内に録音が行われ、
3.同一指揮者が振り、
4.同一オーケストラによって演奏され、
5.同一ホールで収録され、
6.4部作を通して統一された歌手によって歌われたもの。
という風に規定してみました。一つの箱に入っていなくても、上記の規定を満たしていれば4部作全曲盤として扱います。ところが、この規定に一番最初に引っかかるのが、ショルティの全曲盤にになってしまいます。
なにしろ、1958年の『ラインの黄金』から、1965年の『ヴァルキューレ』まで、完成に8年も掛かっている上、最初の『ライン』とその後の諸作では、配役に統一性がありません。
しかし、配役にどんなに統一性がなかろうと、ショルティの全曲盤は、間違いなくショルティの全曲盤であり、当然、全曲盤として扱います。上記の規定は、あくまで目安であり、いくつかの例外があったとしても、一般的に全曲盤と認められるものは当然、全曲盤として扱いますし、また、私の独断で、全曲盤だと思うものは、ここに載せることにしました。
1951年の戦後初のバイロイト音楽祭は、フルトヴェングラーの『第九』で開幕し、クナの『パルシファル』、カラヤンの『マイスタージンガー』、そして、クナとカラヤン、それぞれ1チクルスづつの『4部作』が上演されました。
録音は、EMIとDECCAが、それぞれの専属を担当することになり、
EMIは、フルトヴェングラーの『第九』、カラヤンの『マイスタージンガー』を全曲録音し、カラヤンの『ヴァルキューレ第3幕のみ』も録音しています。
DECCAは、クナの『パルシファル』と、クナによる第1チクルスの『4部作全曲』を録音しました。
ところが、このクナによる『4部作全曲』だけが、50年経とうといういまだに発売されていません。他のものが全て歴史に残る名演であるだけに、いくら諸事情があるにせよ、発売して貰いたいものの筆頭にある録音であります。
実は、つい先頃、TESTAMENTレーベルから初めて、そのクナの『黄昏』のみが発売されました。発売に至る経過は知る由もありませんが、しかし、4部作全曲は、依然、発売される様子がありません。
カラヤンの方は、『ヴァルキューレ第3幕』の正式録音がEMIより発売されていますが、どういう訳か、海賊盤により『ライン』と『ジークフリート』が出回っております。
これらを総合すると、1951年のバイロイトの『4部作』で、現在、我々が耳にすることが出来る録音は、次の様になります。
『ラインの黄金』 カラヤン [MELODRAM]
『ヴァルキューレ第3幕』カラヤン [EMI]
『ジークフリート』 カラヤン [MELODRAM]
『神々の黄昏』 クナッパーツブッシュ [TESTAMENT]
ヴァルキューレの1、2幕が欠けるとはいえ、戦後初のバイロイトの記念すべき演奏が何とか全貌が掴めそうであり、これも、『4部作全曲』の中に入れてあります。また、古い録音で、全曲ではないが、抜粋で、一応全曲の抜粋として耳にすることが出来るもので、一つのパッケージに収められているものは、「抜粋」と明記した上で、このコーナーに載せてあります。
●1927〜32
ブレッヒ、コーツ、ヘーガー、アーウィン、バルビローリ、コリングウッド
「各部分曲による四部作の再構成、抜粋」[Pearl] 7CD
●1930 パリでの録音
ヘッスリン/Walter Straram管弦楽団 「四部作抜粋」[Gebhardt] 3CD
●1933〜37 ヴィーン国立歌劇場ライヴ
ヘーガー、クリップス、ヴァルター「四部作抜粋」[KOCH SCHWAN] 2CD
●1937〜43 ヴィーン国立歌劇場ライヴ
クナッパーツブッシュ/ヴィーン国立歌劇場O「四部作抜粋」[KOCH SCHWAN]
2CD
●1935〜1937 メトロポリタン歌劇場ライヴ
ボダンツキー/メトロポリタン歌劇場O
「ラインの黄金全曲」1937.4.3 [WALHALL]
「ヴァルキューレ全曲」第1幕は1935.2.2、第2幕と第3幕は1937.12.18
収録 [WALHALL]
「ジークフリート全曲」1937.1.30 [M&A]
「神々の黄昏全曲」1936.1.11 [WALHALL]
●1948〜49
モラルト/VPO「四部作全曲」[MYTO]
●1950 ミラノ・スカラ座ライヴ
フルトヴェングラー/スカラ座O「四部作全曲」[FONIT CETRA]
●1951.1.27-2.17 メトロポリタン歌劇場ライヴ
スティードリー/メトロポリタン歌劇場O「四部作全曲」[Gebhard]
●1951 バイロイト音楽祭ライヴ
「ラインの黄金全曲」カラヤン [MELODRAM]
「ヴァルキューレ第3幕」カラヤン [EMI]
「ジークフリート全曲」カラヤン [MELODRAM]
「神々の黄昏全曲」クナッパーツブッシュ [TESTAMENT]
●1952 バイロイト音楽祭ライヴ
カイルベルト/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[Arlecchino]
●1953.7 バイロイト音楽祭ライヴ
カイルベルト/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[GOLDEN Melodram]
●1953.8 バイロイト音楽祭ライヴ
クラウス/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[Laudis]
●1953 RAI 放送ライヴ
フルトヴェングラー/イタリア放送SO「四部作全曲」[EMI]
●1956 バイロイト音楽祭ライヴ
クナッパーツブッシュ/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[SEVEN SEAS]
●1957 バイロイト音楽祭ライヴ
クナッパーツブッシュ/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[SEVEN SEAS]
●1958 バイロイト音楽祭ライヴ
クナッパーツブッシュ/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」 [ARKADIA]
●1958〜65
ショルティ/VPO「四部作全曲」[London] ゴールドCD
●1958〜65
ショルティ/VPO「四部作全曲」[London] ライトモティーフ集付
●1958〜65
ショルティ/VPO「四部作全曲」[DECCA] リマスター盤
●1960 バイロイト音楽祭ライヴ
ケンペ/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」 [AUDIOPPHILE CLASSICS]
●1966〜67 バイロイト音楽祭ライヴ
ベーム/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[PHILIPS]
●1966〜70
カラヤン/BPO「四部作全曲」リマスター盤 [DG / 457 780-2]
●1967〜70 ザルツブルク復活祭音楽祭ライヴ
カラヤン/BPO「四部作全曲」[MEMORIES]
●1968 バイロイト音楽祭ライヴ
マゼール/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[SHINCHOSHA]
●1968
スワロフスキー/「四部作全曲」[WELTBILD CLASSICS]
●1973〜77 ロンドン・コロシウムライヴ
グッダール/イングリッシュ・ナショナルオペラO「四部作全曲」[EMI] 英語上演
●1979〜80 バイロイト音楽祭ライヴ
ブーレーズ/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[PHILIPS]
●1979〜80 (LD)バイロイト音楽祭ライヴ
ブーレーズ/バイロイト祝祭劇場O「四部作全曲」[PHILIPS] 上記CDとは別テイク
●1980〜83
ヤノフスキー/ドレスデン国立歌劇場O「四部作全曲」[eurodisk]
●1984〜87 演奏会形式ライヴ
朝比奈/新日本PO「四部作全曲」[Silberton]
●1987 (LD) メトロポリタン歌劇場ライヴ
レヴァイン/メトロポリタン歌劇場O「四部作全曲」[DG]
●1988
ハイティンク/バイエルン放送O「四部作全曲」[EMI]
●1989 バイエルン国立歌劇場ライヴ
サヴァリッシュ/バイエルン国立歌劇場O「四部作全曲」[EMI / CZS 7243 5
72731 2 1]
●1989 (Video) バイエルン国立歌劇場ライヴ
サヴァリッシュ/バイエルン国立歌劇場O「四部作全曲」NHK放送録画
上記CDとは別テイクのようです
●1990 (LD) グラーツ歌劇場ライヴ
バレーツァ/グラーツPO「四部作全曲」[amadeo]
●1993〜95 ライヴ?
ノイホルト/バーデンバーデン国立歌劇場O「四部作全曲」[BELLA MUSICA]
●1998.7-2001.7 オーストリア・チロル音楽祭ライヴ
クーン/チロル音楽祭O「四部作全曲」[ARTE NOVA]
存在を確認したもので、現在所有していないもの