●1936.8.20-29
ティーティエン/バイロイト祝祭劇場O「第3幕抜粋」[TELDEC]
ミューラー、フェルカー
「遥かな国に」の続き「聖盃の物語の続き」を復活演奏
●1940.1.27 メトロポリタン歌劇場ライヴ
ラインスドルフ/メトロポリタン歌劇場O [WALHALL]
レートベルク、トルボルク、メルヒオール、ヒューン、リスト、ウォーレン
ローエングリンといえばメルヒオール。絶好調。
●1943.1.2 メトロポリタン歌劇場ライヴ
ラインスドルフ/メトロポリタン歌劇場O [MYTO]
ヴァルナイ、トルボルク、メルヒオール、スヴェッド、コードン、ハッレル
●1953.7.6-11
シュヒター/北ドイツ放送SO [EMI]
クニッツ、クローゼ、ショック、メッテルニヒ、フリック、ギュンター
●1953 バイロイト音楽祭ライヴ
カイルベルト/バイロイト祝祭劇場O [TELDEC]
スティーバー、ヴァルナイ、ヴィントガッセン、ウーデ、グラインドル、ブラウン
●1954 バイロイト音楽祭ライヴ
ヨッフム/バイロイト祝祭劇場O [MELODRAM]
ニルソン、ヴァルナイ、ヴィントガッセン、ウーデ、アダム、F=ディースカウ
F=Dのバイロイトデヴュー年。第一声、F=Dが緊張している。そして素晴しい。
●1954.12.26 ナポリ・サン・カルロ劇場ライヴ
サンティーニ/サン・カルロ劇場O [SRO] 抜粋
テバルディ、ニコライ、ペンノ、グエルフィ、ネリ
なんと!テバルディのエルザ。他すべてイタリア勢。
●1958 バイロイト音楽祭ライヴ
クリュイタンス/バイロイト祝祭劇場O [MYTO]
リザネック、ヴァルナイ、コンヤ、ブランク、エンゲン、ヴェヒター
●1959 バイロイト音楽祭ライヴ
マタチッチ/バイロイト祝祭劇場O [Golden Melodram]
グリュンマー、ゴール、コンヤ、ブランク、クラス、ヴェヒター
この時代はライヴでこんな演奏が聞けたのですねエ。
●1962 バイロイト音楽祭ライヴ
サヴァリッシュ/バイロイト祝祭劇場O [PHILIPS]
シリア、ヴァルナイ、トーマス、ヴィナイ、クラス、クラウゼ
●1962-63
ケンペ/VPO [EMI]
グリュンマー、ルートビヒ、トーマス、F=ディースカウ、フリック、ヴィーナー
個々の歌手のキャラクターが強く、一聴して判別出来るので、録音で聴くオペラとして非常に面白い。
キャスト全体が素晴らしいが、特に、ルートビヒとF=ディースカウの悪役コンビは最高。
また、グリュンマーの細いソプラノ声と、ルートビヒの暗いメゾ声の対比が明確なので、
二幕四場の二人の対決の場面など、声だけで状況が非常に良くわかる。
ジェス・トーマスは、実演ではあまり声がもたないらしいが、ここでは当然そんなこともなく最後まで凛々しい。
ただし、声質に関しては好き嫌いがあるかも。
フリックの重いバス声、ヴィーナーの鼻にかかった薄っぺらい声。
兎に角、みんな声質が違う。こんな判りやすい録音はめったにないだろう。
●1965.8.23-28
ラインスドルフ/ボストンSO [RCA]
アマーラ、ゴール、コンヤ、ドゥーリー、ハインズ、マーシュ
「遥かな国に」の後、ヴァーグナー自身によりカットされた「聖盃物語の続き」を収録。
●1966.1.29 ストックホルムライヴ
ヴァルヴィーゾ/Kungliga劇場O [Ponto]
レーヴベルク、エリクソン、ゲッダ、ユピター、ルンドゥグレン、ヴィクセル
ニコライ・ゲッダ唯一のワーグナー録音。非常に丹精でしなやか、そして朗々と声が出ている。
かなり以前に読んだ本の中でゲッダが、「長く歌いたいのでヴァーグナーは歌わない。」というような趣旨の
発言をしているものがあったが、そのゲッダにしてローエングリンの魅力にだけは負けたのだ。
アルフレッド・クラウスが、「ローエングリンは歌ってみたかった」と言っているので(実際には歌っていない)、
この二人のスタイリッシュテノールに共通するものが、ローエングリンにはあるのだ。
●1968 バイロイト音楽祭ライヴ
エレーデ/バイロイト祝祭劇場O [Golden Melodram]
ハーパー、ドヴォルコヴァ、キング、マッキンタイア、リッダーブッシュ、スチュワート
ジェームス・キングのローエングリンライヴ。
キャスト全体が素晴らしく充実している。
特にジェームス・キングは、71年のスタジオ録音よりも調子が良い。
また、マッキンタイアのテルラムントも声も充実と、その端正な歌唱で一際素晴らしい。
●1971
クーベリック/バイエルン放送SO [DG]
ヤノヴィッツ、ジョーンズ、キング、スチュアート、リッダーブッシュ、ニーンシュテット
ジェームス・キングは同役のベストだろう。
(フロレスタンとローエングリンとジークムントは、誰が何と言おうとジェームス・キングだ!)
ヤノヴィッツのエルザも最高。
ギネス・ジョーンズのオルトルートは好き嫌いが分かれるところ。この役は、やはりメゾの声質で聞きたい。
トマス・スチュアートのテルラムントは荒々しい中世の豪族を思わせる。この役本来のキャラクターだ。
●1975, 76, 81
カラヤン/BPO [EMI]
T=シントウ、ヴィエソヴィッチ、コロ、ニムスゲルン、リッダーブッシュ、カーンズ
男声低声陣が良い。
ニムスゲルンは変に悪役ぶらず格調高く歌っているし、リッダーブッシュは大砲と言われたその声を実感させる。
ただ、肝心のコロが、妙に声を作りすぎている感じでちょっと気持ち悪い。もっとストレートな声を聴きたい。
●1982 バイロイト音楽祭ライヴ(LD)
ネルソン/バイロイト祝祭劇場O [PHILIPS]
アームストロング、コネル、ホフマン、ロアー、フォーゲル、ヴァイクル
CD化もされているが、音(声)だけだと不満が残る。
しかし、映像では評価が異なってくる。
人物の性格がきちんと演出されている。アンサンブル時の群衆の動きの処理が巧み。演劇的。
最高のレベルではないが、配役も一応過不足なし。
●1985, 86
ショルティ/VPO [London]
ノーマン、ランドヴァ、ドミンゴ、ニムスゲルン、ゾーティン、F=ディースカウ
いまいち。
●1990 バイロイト音楽祭ライヴ(LD)
シュナイダー/バイロイト祝祭劇場O [PHILIPS]
スチューダー、シュナウト、フライ、ヴラシハ、シェンク、シュルテ
スチューダーが非常によろしいのではないでしょうか。
シェルデ河の中にじゃぶじゃぶと駆け込み、月に向かって後ろ向きで歌うシュナウトの素晴しいこと。
これは女性ふたりが主役のオペラだ。
絵的にはおもしろいが、演出は若干疑問あり。
おせっかい推薦盤
CD
スタジオ録音では、62年のケンペ盤と、71年のクーベリック盤が双璧。
ケンペ盤は、キャスト全体が最高級でバランスが取れている。
クーベリック盤は、一部キャストに欠点があるが、その代わり、ローエングリンとエルザの二役はケンペ盤を凌ぎ最高。
両方持っておきたいところだ。ライブ盤だと、68年バイロトライヴのエレーデ盤がいい。
キャストはケンペ盤に匹敵してバランスが取れている。
しかもジェームス・キングのローエングリンがスタジオ録音以上に調子が良い。
以上三組あれば事足りる。資料的価値として65年のラインスドルフ盤。「遥かな国に」の続きを聴こう。
シャンドール・コンヤの声もローエングリン向き。
映像
82年のネルソン盤と、90年のシュナイダー盤、どちらもバイロイトでの上演の記録だ。
しかし、この二つは大きく違う傾向にある。
かたやネルソン盤は、ゲッツ・フリードリヒの演出で、非常に演劇的。
テルラムントの性格描写など、非常に秀逸。
こなたシュナイダー盤は、映画監督のヴェルナー・ヘルツォークの演出で、まさに映像世代。
舞台上にファンタジーの世界を展開する。
これは、好みでどちらでも。 個人的にはネルソン盤。現在所持はしていないが、以前見た記憶で言うと、メトのレヴァイン盤は、つまらなかった。
確かに豪華なのだが、全て表面的な装飾だけに終始しているようだった。
また、ベテラン歌手の個人技で持っているようなところがあり、日本で言えば商業演劇を見ているよう。
演出が不在。
未視聴のCD、映像
CDでは、主だったところでは、アバド/ドミンゴ盤、バレンボイム盤、がある。
映像では、ドミンゴ盤があった。
その他、古い録音はかなり多種類出回っている。
上記リスト以外のメルヒオールもあるし、フェルカーの全曲盤もあった。等々。
1970年、大阪万博で来日したベルリンドイツオペラの、大阪フェスティバルホールでの録画が、NHKにはあるはずだ。
当時教育テレビで全曲放送されたので覚えておられる方も多いだろう。
配役は、チャールズ・グレイグのローエングリン、ピラール・ローレンガーのエルザ、ルート・ヘッセのオルトルート。
少し記憶が怪しいが、イングヴァル・ヴィクセルのテルラムント、ペーター・ラッガーのハインリヒ、だったと思う。
伝令官はハンス・ギュンター・ネッカーだったかな。これはかなり怪しい。
指揮はロリン・マゼールだったと、思うのだが、自信がない。 DVDで出ないものか。