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「KANOM ロワイヤル」 第二章 翼を持つものあゆ

 ボクのことは忘れて・・
 そう言ったこともあった。
でもあきらめなければ夢は叶うことを知ってしまった。
 だからぼくは決してあきらめたりはしない・・。

第二章 翼を持つものあゆ

 舞のこともあるため名雪は慎重に学校へと向かっていた。
 出来る限り目立たないように・・・。
 ただそれでも油断があったのかもしれない。身体のうちからあふれる強大なコスモの
力が逆に油断へと繋がったのだ。
 どん。
 力一杯の体当たりだった。しかし、はじき飛ばされたのはあゆの方だった。
 もう名雪には少女のか弱い攻撃などびくともしない力の持ち主だった。
「あゆちゃん・・。ごめんなさい・・私は宇宙(コスモ)の力を手に入れた。怪我させたくない
から人形は諦めて・・。」
 その話を聞きもせずあゆは名雪から逃げるように走り出した。
 名雪はちょっと安心したように溜息をついた。しかし、その表情はすぐに驚愕へと変わった。
 なぜなら、あゆはちゃっかり人形をすりとっていたからだ。
「待って!!」
 名雪はすぐに追いかけた。陸上で鍛えたしなやかな脚で。

「はあ・・はあ・・・。名雪ちゃん・・早い・・。でもボクも日頃鍛えてるから負けないよ・・。」
 あゆは力の限り逃げた。
「早いわ・・このままでは人形を持って逃げられてしまう・・・。ごめんね・・あゆちゃん。」
「ねこねこ流聖拳!!」
 名雪から光速の拳が放たれあゆを吹き飛ばした。
 あゆのシンボル翼リュックもバラバラになり地面を転がった。

「そんな・・・。嫌だ・・ボクは・・ボクは・・。」
 あゆの悲痛な叫びが夜の街にこだまする・・

 いいんだね・・。
 君は死ぬかもしれない・・
 もし助かったとしても・・・君は・・・。

 あゆの脳裏にあの日のシーンがフラッシュバックした。
 そうもう死ぬ寸前に医者が一つの銀の矢を見せていた・・。
 それは古代の遺産だった・・・。

 お願い・・ボクはどうなってもいい・・・もう一度祐一君に会えるなら・・。

 そうボクは助かった。祐一君と会うため・・。私は祐一君のためだけに生きてるの!

 光が舞った・・。きらきらと陽炎のごとく闇に映えた。
 あゆの背に翼が輝いていた。
 そしてあゆは宙に舞った。

「な・・なんなの・・それは・・。」
 名雪は、その幻想的な光景に思わず見とれた・・。
「人の後ろに立つように見えることからスダンドと呼ばれる力よ・・。そして、この翼が
私のスタンド・・シャイニング・ウィング・・・。」
「スタンド・・?」
 名雪の瞳は驚きのため大きく開かれた。しかし、それもつかの間ですぐに厳しい表情
へと変わった。
「たとえなんだったとしてもに人形は・・祐一は渡さない・・。」
 名雪の必殺拳があゆを粉々に砕いた。

「私のスタンド能力は飛翔と幻影・・。」
 別の方向からあゆが現れた。
「だれもボクを捕まえることなど出来ない・・。」
 あゆの姿が一気に10人に分身した。
「名雪ちゃんにはどれが本物かわからないはずよ・・。」
 そして10人のあゆは別々の方向へととんでいった。

「ばかね・・。」
 名雪は迷いもせず一人のあゆを追いかけた。
 そして名雪の拳があゆを貫く・・。
「あっ・・。」
 あゆの手から人形が転げ落ちる・・。
「いくらあゆちゃんが分身しても人形を持って逃げるのが一人だったらどれが
本物なってばればれよ・・。」
 名雪は悲しそうにあゆを一瞥してから人形を拾おうと手を伸ばした。
 だが人形は透き通るように消えていった・・。
「あっ・・。」
 あゆが倒れた場所に目をやった名雪だが、そこにはあゆの影も形もなかった・・。
「やられた・・。最初からわざと幻影を追わせていたのね・・。」
 名雪は悔しそうに呟いた・・。
「でも・・祐一の元にはいかせはしないわ・・絶対に・・。」
 名雪は冷たく微笑んだ。

                                          続く・・・・・・のでしょうか?
予告
次の誕生日まで生きられない・・。
そう言われた。
でも私は助かった・・。祐一さんのために・・。
だから私は祐一さんのためなら死ぬことなど怖くない・・。
                 第三章 死を越えたもの、栞

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