PWC

闘うビアガーデン

ルナ・スペシャルウェンズデー ルチャリブレワールド

8・14 後楽園ゆうえんちルナパーク (7:00)


 寺坂リングアナが開口一番、「すごいっすね〜」と目をまるくするほどの客の入り。
 本当によく入った。後楽園ホールでも満員マークがつきかねないほど・・・というのは
大げさかもしれないが、それでも500人は確実に入っていた。
 専門誌で報道されていたが、今日は全日本女子プロレスの選手が登場するのである。
 しかも若手精鋭陣オールスターキャスト。前々日・前日と武道館でビッグマッチをやっ
たばかりだというのに・・・。ほんとに全女の選手は働き者である。

★第1試合
元気美佐恵 VS 椎名由香

 「寺坂アナが今井アナ風にコールしてくれないかなぁ」とか思ってたら、今井アナ本人
が出てきてコールした。
 あの「30分、イっっっぽん勝負!」が、まさかここで聞けるとは思えなかった。しかも
レフリーは笹崎さん。完全に全女的風景になっている。
 試合は地味ながらもしっかりした攻防になった。元気がカンパーナを出すと客席が湧い
た。一方の椎名は元気の良さ(ああまぎらわしい)が目立った。もっと人気が出てもいい
選手だと思う。最後は元気の後頭部に思い切りのいいミサイルキックを決めた椎名が勝利。

○椎名由香5分53秒
体固め
元気美佐恵●
※後頭部へのミサイルキック

★第2試合
アル・カンヘル VS ヘル・ブレイザー

 リーグ戦が行われているそうで、PWC勢の試合はすべてシングルマッチ。
 リーグ戦のタイトルがよく聞き取れなかった。「餓狼テリーリーグ戦」と聞こえたのは
私だけだろうか。たぶん私だけだろう。『餓狼伝説』にちなんだ名前だったら、長与選手
が黙ってないぞ(って、またマニアックなネタを・・・)。
 マスクマン同士の対戦だし、ヘルブレが入場時にコーナーポストに上ってアピールし、
客席を盛り上げたしで、第1試合と好対照となる、派手派手な攻防が期待された。第2試
合が派手だと進行に弾みがつく。みちプロのヨネ原人VSウィリーさん然り。全女のミゼッ
トプロレス然り。東京プロレスのブラソスVSショッカー、アストロJr然り。
 しかしこの試合は、思ったほど派手にはならなかった。序盤、アルカンのスライディン
グキックで、ヘルブレが足を痛めた模様。それを見てとったアルカンは、その足を徹底的
に攻めたてる。アルカンの勝利に対する執念が見えたが、そういう展開になったため飛び
技らしい飛び技が出ず、客がだんだんじれてきた。やはり「ルチャリブレワールド」と銘
打っている以上、客のほうも飛び技のばんばん出る展開を期待していたのだろう。
 最後はヘルブレのコーナーへのボディープレスを自爆させて、すかさずスクールボーイ
に丸めこんだアルカンが勝利。

○アル・カンヘル6分53秒
横入り式エビ固め
ヘル・ブレイザー●

★第3試合
野沢一茂 VS スペル・フェニックス

 野沢、FMWの南条隼人のテーマ(「ミサイルマン」)で入場。そういえばタイツもなん
だか似ている。まあ偶然だろうが。
 前述のように、この時点で客の思いは、この一点に集中していた。
「早く飛び技が見たい!」
 この状況は、飛び技主体のフェニックスに、どうぞ目立ってくださいといっているよう
なもの。そしてフェニックスは見事期待に応えた。
 リープフロックから、野沢がアームホイップを連発。そしてドロップキック。フェニッ
クスは場外に落ち、野沢も下りて追っかける。しかしフェニックスは素早くリングに戻り、
そして、
 ついに出た、本日最初のプランチャ!
 その後もフェニックスの動きがいい。ロメロスペシャル。カンパーナ。しかし勝負をか
けたムーンサルトプレスは自爆。すかさず野沢がバックドロップ3連発。逆片エビ固めで
とどめをさした。
 試合後、高野拳磁が登場。リングに上がってあいさつをする。

○野沢一茂6分30秒
逆片エビ固め
スペル・フェニックス●

★第4試合
玉田りえ VS 前川久美子
府川由美サヤ・エンドー

 この対戦がこんなところで実現しちゃっていいのだろうか?
 全日本タッグ王者チームVSタイ帰りのムエタイチーム。本来なら全日本タッグ選手権ク
ラスの、豪華な試合である。
 試合内容も素晴らしかった。4人それぞれが、それぞれの個性を出したのだ。ボコッと
音がする前川の蹴り。玉田のミサイルキック、そしてジャーマン。エンドーは府川にドロ
ップキックを、なんとなんと11連発! さらにミサイルキックを2連発! エンドーの
“府川いじめ”は確実に進化している。
 府川は相変わらず、やられっぷりが目立ったが、個性の片鱗も徐々に見えつつある。玉
田が押さえた相手に張り手の速射砲。逆エビ固めから抜けようとしてエルボーを連打。こ
のちょこまかちょこまかした動きが、今後ウリになるかもしれない。
 これをさらに強化して、安生洋二のようなインサイドワークを身につければ面白いので
はないだろうか。ちょこちょこと出てきてカットに入り、脱兎のごとくエプロンに戻る。
玉田に真っ向から攻めさせて、自らは撹乱戦術に徹するのだ。
 そうなると、安生の変形足四の字固めに相当する、必殺技が欲しくなる。私は、キーロ
ックがいいのではないかと思う。「ボキャブラ天国」で使っていながら、実戦では一度も
見たことがないキーロック。この技は、かけながら見栄が切れるし、意外と見映えする技
だと思うのだが。・・・と、試合と全然関係ないことを書いてしまった。
 試合が進むにつれて鋭さを増してきた前川の蹴りが、この試合に文字どおり「けり」を
つけた。
注:「けりをつける」の「けり」は、「蹴り」ではなくて、「色男金と力はなかりけり」
のように、文の後ろにつく助動詞の「けり」である。

○前川久美子
 サヤ・エンドー
15分54秒
片エビ固め
玉田りえ
府川由美●
※ハイキックからのカカト落とし

★第5試合
ウルトラマンJr VS 足立知也

 これはもう、カード編成を見た時点で、かわいそうだと思った。
 知名度も実績も、セミに出てきた全女の4人のほうが圧倒的に上。そして4人は素晴ら
しい試合をやってのけた。
 メインイベントは、セミと同等かそれ以上の質が要求される。それ以前がどんなにいい
試合でも、メインがふがいないと、観客にはその興行は「失敗興行」だったという印象が
残る。メインはそれだけ大事なのだ。
 この試合は、今一つ消化不良のまま終わった。両者場外に飛んだのはそれぞれ1度ずつ。
さらに高度な空中戦があるものと思っていたが、結局ウルトラマンのジャーマンを足立が
返せずに3カウント。
 8・5では両者ともまずまずの試合をしていただけに、ちょっともったいない気がした。
 試合後、自然発生的におこった「ケンジ」コール。
 高野拳磁は、あいさつせざるをえなかった。

○ウルトラマンJr5分24秒
ジャーマンスープ
レックスホールド
足立知也●

★その他
 全試合終了後に気づいたが、ミゼットプロレスのミスター・ブッタマンが観戦に来てい
た。
 全女のスタッフと別行動だったところをみると、どうやら仕事で来たわけではないよう
だ。
 最近はビッグマッチでなかなか見られないミゼットプロレス。私はブッタマン氏に、次
いつミゼットの試合があるか聞いてみた。
「とりあえずあした」
 その場は、「へぇ、小さな会場でもやるんだ」くらいにしか思っていなかったが、あと
でよく考えてみると、武道館から中1日置いただけで、またサーキットが始まってしまう
のである。いったい全女の選手やスタッフに、休みは年間何日あるのだろう?
 全女の選手は、ほんとに働き者である。

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