みちのくプロレス

世界選手権シリーズ'96 〜栄光の輝き〜

8・22 山形/河北町民体育館 (7:00)


 夜は暗い町外れの会場。土足厳禁。イスがなく、かわりにビニールシートのある風景。
子供ファン多し。
 グッズ売り場で、グラン浜田、スペル・デルフィン、MEN’Sテイオー、パンテーラ
の各選手がサインをしていた。悪役のテイオーがいたのには驚いたが、案の定テイオーの
サインを求める人はほとんどいなかった。本人も苦笑。
 私もウチワを買い、デルフィン選手にサインしてもらう。デルフィンは、あの忘れもし
ない'95.8.28「ゲームの殿堂」武道館大会で、「ファミ通杯争奪ゲーム王決定戦」に出場
した選手。私もデルフィン選手をゲームで倒せば、ファミ通杯への出場資格が得られるか
もしれないが・・・。今デルフィン選手は本業でスランプ気味だから、それどころではな
いだろう。
 グッズ売り場の隣に、みちプロ所属選手が持っているチャンピオンベルトが展示してあ
る。ザ・グレート・サスケの8冠ベルトが全部揃っている。とくにIWGPジュニアヘビ
ー級のベルト。こんな間近で見られる機会など、もう一生ないかもしれない。
 インディペンデント・ワールドのベルトがなかったのがちょっと残念。
 場内は写真撮影自由。場外戦になるたびに、カメラを持った観客が集まってくる。こん
なところに、いい意味での「インディーらしさ」がうかがえた。
 今日はサスケ、タイガーマスク、パンテーラの3選手が負傷により欠場。事前に知って
いたことではあるが、やっぱり寂しい。さらにTAKAみちのく、船木勝一もいなかった。

★第1試合 3分5ラウンド
バトル・キャット VS 菅本嘉人

 キャットはイギリスで中島半蔵の逆立ちを覚えたのか? 菅本のヘッドシサーズを逆立
ちで脱出する。
 1R、2Rはキャットがほぼ一方的に攻めていた。3Rになって、菅本が串刺しドロッ
プキックで反撃に出る。さらに串刺しラリアットも決めるが、串刺しボディプレスをよけ
られて自爆。すかさずキャットがフライングショルダーアタックを決めて勝利した。

○B・キャット3R0分59秒
ジャックナイフ式エビ固め
菅本嘉人●
※フライングショルダーアタック

★第2試合 20分1本勝負
ウェリントン・ウィルキンス・Jr VS 薬師寺正人

 ウィリーさん、「ヤングマン」で入場。いきなり観客盛り上がる。
 試合は打撃、投げ、関節技主体の展開となった。つまりウィリーのペースである。
 とにかくウィリーが軽量の薬師寺を投げる投げる。薬師寺も反撃するが、攻めが続かな
い。
 5分経過。ようやく薬師寺が、スワンダイブ式のフライングヘッドシサーズを決める。
そして場外にエスケープしたウィリー目がけて飛ぶ! ・・・ふりをしてリングに戻る。
観客が湧いた。
 しかしその後もウィリーのペース。薬師寺は、場外に落ち、リングインしようとするた
びにウィリーの攻撃を受けていた。
 10分経過した頃から、ウィリーが大技で仕とめにかかる。フライングショルダーアタ
ック。ドラゴンスリーパーからのパイルドライバー。フライングボディプレス。薬師寺は
いずれもカウント2で返し、粘りのあるところをみせる。だがバックドロップからの逆片
エビ固めで、ついに無念のギブアップ。

○W・ウィルキンスJr12分35秒
逆片エビ固め
薬師寺正人●

★第3試合 30分1本勝負
愚乱・浪花 VS スーパー・ボーイ

 阪神のハッピ。手には巨大なカニのハサミ。そして「かに道楽」のテーマ。
 雑誌やビデオで見たことのある、浪花の入場シーンを、生で見られて感動した。
 あ、ハッピ姿は、武道館の「ゲームの殿堂」で見たことあるか。
 リングアナのコールを受けた浪花は、ハサミを空に突き出してポーズ。だがそこを、丸
っこい体型のスーパーが奇襲。いきなり場外乱闘にもつれこむ。まもなくリングインする
が、そこからもハイスピードな攻防が続く。浪花がハッピを脱ぐヒマもないほどだ。
 2度めの場外戦。ここでようやく浪花がハッピを脱ぐ。両者つかみあったまま体育館の
外へ。
 もしや? と思ったら、やっぱり! 2人は2階に出てきて乱闘を始めた。手すりから
の落とし合い。ここの2階はかなりの高さがあり、落ちたらエラいことになる。幸い両者
とも落ちることなく、無事リングに戻った。
 5分経過。浪花が、場外のスーパーに鉄柱越えプランチャ! その本領を発揮する。
 この後2人はまた2階に上がるが、浪花はさっさと戻ってしまい、スーパーが2階に取
り残された。
 浪花はイス(グッズ売り場のものか?)を手にリングイン。イスに腰掛けてポーズをと
る。観客から浪花コール発生。スーパーがリングインするも、浪花はロープ上をカニ歩き
してからのニードロップ。依然として浪花のペース。
 スーパーが反撃。バックドロップ。ドロップキック。浪花が場外に落ちたところでトペ。
しかし浪花、あのサスケを倒した雪崩式フランケンシュタイナーで勝負に出る。カウント
2で返されるが、場外に逃れたスーパーに、今日2度めの鉄柱越えプランチャ! 完全に
浪花のペースだった。
 だが浪花はそのペースを最後まで守りきれなかった。スーパーが、ムーンサルトプレス
からの体固めで勝利したのだ。返し技決着ではなかったが、浪花が一瞬のスキを突かれて
敗れたような感じ。これは番狂わせといっていいだろう。

○S・ボーイ12分42秒
体固め
愚乱・浪花●
※ムーンサルトプレス

★休憩時間
 本日欠場のおわびとして、タイガーマスクがサイン会を行った。
 長蛇の列ができた。

★第4試合 時間無制限1本勝負
グラン浜田 VS ディック東郷
スペル・デルフィンMEN’Sテイオー
星川尚浩獅龍

 海援隊☆DXの3人は、雑誌で見たロングタイツではなく、ショートタイツを履いてい
た。やっぱりこの時期は暑いのだろうか。
 デルフィンは、スーパーウェルター級のベルトを巻いて入場。
 この試合は、ノータッチルールで行われた(事前に説明あり)。
 星川のガタイの良さが、ひときわ目をひいた。負け数が多いせいか、雑誌等を見るかぎ
りでは、そんなに強そうに見えなかったのだが、実際に見た星川には、凄みがあった。
 テイオーに投げられてもすぐ起き上がって、胸を相手にぶつけて「テメー、オラ!」
スリーパー式ジャイアントスイングも披露し、パワーのあるところを見せつけた。
 デルフィンと獅龍は動きが速い。リープフロックだけでも、おおいに観客を湧かせてみ
せた。
 浜田は動きが鋭い。一つ一つの技に重みがあり、見る者にその威力が伝わってくる。
 デルフィンと星川が、何の違和感もなく合体攻撃を展開している。それだけデルフィン
が正規軍とのタッグの回数をこなしたということか。ハイキックもブレーンバスターも、
文句なしに決まっていた。
 海援隊のズルさが随所にみられる。フレアーばりに「ノーノー」とやるテイオー。気を
とられたデルフィンの背後から東郷がドロップキック。また獅龍は、「ノーノー」とやっ
て相手の気をひき、がら空きになった相手の下半身を狙って急所打ち。
 この日は東郷が今一つ目立たなかったが、それだけテイオーと獅龍がうまい試合運びを
見せたということだろう。最後はテイオーが星川をフォールした。
 試合後のデルフィンのマイク。
「浜田、タイガーと組んで海援隊を倒す! サスケのいないみちプロは俺が守る! そし
てデルフィンは復活する!」

 ディック東郷
○MEN’Sテイオー
 獅龍
15分55秒
片エビ固め
グラン浜田
スペル・デルフィン
星川尚浩●
※テキサススクリュードライバー

★その他雑感
 正直いうと、このコーナーで取り上げるには、みちのくプロレスというのはあまりに有
名すぎる。ジュニアヘビー級では日本はもとより、世界でもトップクラスの選手ばかりな
のだ。雑誌でも大きく扱われている。新日本プロレスにときどき出るし、一般マスコミで
一時期よく取り上げられていたから、テレビでもけっこうおなじみである。
 でも、みちプロの基本はあくまでも、東北各地の町や村の体育館、公民館で行う小さな
興行。私は今回実際にそういう興行を見たが、やはり大会場よりも、100人、200人
規模のこうした興行のほうが、みちプロには合っているなと感じた。
 もっとも、大会場でのみちプロも見てみたい気はする。いつもあっと驚く仕掛けが用意
されているからだ。ゲストに佐山聡氏(初代タイガーマスク)やダイナマイト・キッド氏
を呼んだり、アントニオ猪木氏・・・と思わせて春一番氏を呼んだりとか。
 そういう奇想天外なみちプロも見たい。私はこの日グッズ売り場で、10・10、両国
国技館大会(興行タイトルが「竹脇」というのがまた人を食ってる)のチケットを買った。

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