オバマ政権への提言

 

 

北朝鮮難民に対する中国の立場について

北朝鮮難民救援基金        

(東京弁護士会人権賞2008受賞団体)

200934

 

 

私ども北朝鮮難民救援基金は、東京に拠点を置く非政党の特定非営利活動法人です。北朝鮮からの難民の人権の保護を主要な目的としております。私どもは、北朝鮮に誘拐された日本人の家族を支援する日本国内のNGO、並びに、人権や難民を支援している多くの海外のNGOとも共に活動しております。

私達は、新しい米国政府がもたらした北朝鮮問題における進歩の可能性を歓迎しておりまして、北朝鮮難民の運命に関わる中国の役割を建設的な方向に変化させるための私どもの見通しをご提供したいと思います。オバマ政権が中国と相対する時に、これらの点を慎重に考慮されることをお勧めいたします。

 

 

バックグラウンド

飢えや抑圧から逃れる者たちは、先ず中国に逃げ込まなければならず、それから韓国、米国、日本および他の国々への入国の道を探ります。従って、こうした難民およびその家族への中国の役割は中心的なものであります。

 

強制送還

中国当局は、中国に隠れ住んでいる北朝鮮人を常時捜しだし、北朝鮮に強制的に送還します。この中国の国際的非送還原則違反は、結果として送還後の強制労働収容所送り、家族の処罰また処刑などをもたらしています。

 

中国国内の人身売買

北朝鮮難民の中国国内での立場は、本国送還の危険のために極めて脆弱かつ無防備なものであり、彼らが中国に到着するやいなや、人身売買を業とする者たちの餌食としてねらわれることになります。中国の男女の比率の不均衡により、地方部での「花嫁」への需要は増大しており、中国政府が国際協約を無視して彼らを真実の難民と認めることを嫌っているために、彼らの立場は極めて危険なものとなっています。

従って、ほとんどの女性は、漢民族や朝鮮系中国人男性との不本意な性行為を強いられる性産業に従事することや「結婚」を強制されることになります。ある程度、女性たちもすすんでこうした「結婚」に売られることを受け入れたりすることもありますが、これは、中国国内で彼らを法的に守る状況がなく、もし強制的に送還されることになれば、母国でひどい刑罰を受けることになるがゆえであります。

北朝鮮人の母から生まれた子供たち

中国の法律では、民族的特性や公的身分を問わず、中国国内のすべての子供たちは9年間の無料の義務教育を受けることになっています。しかし、中国政府のほとんどのケースで、学校に登録する前に子供の家族の登記事項提出を必要条件としております。もしこれをすれば、北朝鮮人の母から生まれた子供たちが中国人の父親を持っていようが北朝鮮生まれであろうが、北朝鮮人の母親を北朝鮮への強制送還の危機にさらすことになりますので、子供たちは学校への登録ができず、就学できなくなっています。

 

提案

合衆国に、中国政府との対話の中で、以下のことがらについても議題にあげていただくようご提案申し上げます。中国の主権、また中国政府および地方官庁の実質的利点を念頭に置きながらご提案申し上げております。

1. 北朝鮮難民の強制送還を止めよ

 

2.  北朝鮮難民に仮在留許可証を発行せよ

3. すべての子供たちに、家族の戸籍謄本の提出をすることなく、国籍に関係なく就学を可能にさせること

4. UNHCR職員と北朝鮮難民との接触を容易にさせること

5. 不本意に性産業労働に就いている人々を犯罪者としてではなく犠牲者として処遇すること

 

朝鮮半島の状況は複雑で、解決には多くの時間と努力が必要です。しかし、上記は現実の問題の実用的な解決策です。上記のことがらを実行することは、中国は中国の主権を守ることであり、中国政府および地方行政機関に実質的な利点をもたらします。私どもは、こうしたことがらを、あらゆる機会を通じて中国政府と対話し推進させるよう合衆国政府にお勧めします。オバマ政権の期間中にこうした問題に関しても、他の諸問題同様に、現実的な進展が見られることを期待いたします。

北朝鮮難民救援基金理事長 加藤博