伝統的な礼装「紗帽(サモ)冠帯(クァンデ)」をしたもと里子の新郎、
韓服の上に袖が大きく仕立てられた「円衫(ウォンサム)」という衣装を着て、
頭にチョクドリ(冠)をつけた婚礼儀式(幣帛(ペベク))中の新婦と、挨拶を受ける里親。

                  C O N T E N T S

         北朝鮮難民救援基金 第12回総会 記念号 

    第12回総会への招請状   
  第12回総会 活動報告(議案)   
  第12回総会 活動方針(議案)   
  鳩山 民主党代表(当時)への提言書   
  国連の場でアピール活動に挑戦 …………………………   M・ドノバン
  もと里子が里親を結婚式に招待 …………………………   加藤 博
  お知らせ  

 

   
第12回総会への招請状  北朝鮮難民救援基金 第12回総会
   

 早いもので、北朝鮮難民救援基金は第12回目の年次総会を迎えることになります。
 北朝鮮は4月の弾道ミサイルの発射、5月の2度目の核実験で、頼みの中国からも見放され、国際社会の制裁包囲網に圧迫され、何とか突破しようとしています。
国連安保理の制裁決議に反発し3度目の核実験さえほのめかしていた北朝鮮の脅しの外交は、最近鳴りをひそめ、柔軟路線に転換し、国際社会の譲歩と支援を引き出そうと画策を始めています。
 しかしながら、拉致の問題も政治犯収容所も脱北者の問題も未解決で、後継者問題も絡んで今後脱北者難民を取り巻く状況がどうなるのかは、見通しが立ちません。
今後の基金の活動、問題解決のために有意義な意見、アイディアの交換をしたいと思います。
 会員の皆様には、来る第12回総会に御出席を賜るようお願い申し上げます。同封の葉書に出欠連絡、また総会に欠席なさる方は、委任状に御記入の上、10月10日必着の郵送、Fax、E-mailで返事を賜りたくお願い申し上げます。

総会日時:10月11日(日) 開場:13:30 開会:14:00-16:30
場所:文京シビックセンター 4Fホール
    〒112-8555東京都文京区春日1-16-21
電話番号:03-3812-7111
交通機関: ● 地下鉄丸の内線、南北線 後楽園駅下車3分
        ● 都営地下鉄大江戸線、三田線 春日駅下車 3分

     

 

    第1号議案 2008-2009年活動報告(案)                     

はじめに
 国家の威信をかけて取り組んだ北京オリンピックにともなって中国の治安対策は厳戒態勢で行われた。そのため、交通機関、幹線道路との交差点付近での移動検問、戸籍調査と称する戸別訪問などが頻繁に行われ、脱北者の取り締まりは厳しくなった。その結果、脱北者の第三国への移動はほとんど止まった。
 中国の治安対策は、脱北者難民だけに向けられたものではなく、基本的人権、自治権の要求、民族浄化に反対する少数民族のチベット、新疆ウイグル族に対して容赦のない苛烈な弾圧が実行されているという特徴がある。
 気功集団「法輪功」に対してもまた同様である。
 オリンピック以後も脱北者難民の取り締まりは厳しいにもかかわらず、チベット、新疆ウイグル、法輪功に対する弾圧が頻繁に報じられているためか、相対的に抑圧が少ないように思われている。
オリンピックの終了と同時に中国国内にとどまる脱北者は第3国を目指して移動を再開している。
 タイ国に流入し保護を求める脱北者の数は、昨年の最盛時には、100人収容するバンコクの入国管理センターの拘留所は300人も詰め込まれていた時期があったが、オリンピック前後から収容者の数はおよそ30人へと激減している。
 タイ国への流入が減った代わりに、中国と直接国境を接するラオスに大量に流れ込んでいるとの報告がある。
 中朝国境では、オリンピック終了後も中国公安による定期的な戸別訪問が行われ、中国側の辺防隊(国境警備隊)の村々へのパトロールの強化、中国人民解放軍瀋陽軍管区の辺境地帯への部隊の増員など取り締まりは強化されている。
 この1年間、私たちの活動のなかで特筆すべきことを挙げるとすれば、4点が挙げられる。
 第1に、08年度東京弁護士会人権賞を受賞したことである。
 私たちの地道な人道、人権活動が評価されたことであり、これまで活動を支えてくださった皆さんが等しく受ける栄誉であり、これは素直に喜びたい。
 第2には、一人でも多く北朝鮮脱北者難民を助ける活動では、極力目立たない、静かな環境を保ち保護する方針を基本とし、これまでにない数の脱北者難民の救援ができたし、人道支援家の拘束はこの1年間皆無であったことがあげられる。
 第3に、厳しい治安対策が行われている中で、財政が乏しくても、脱北者難民の保護活動が後退することはなかった。
 第4に人権、人道NGOとの連携がさらに強まったことも特徴に挙られる。私たちの救援活動ネットワークが正常に機能していることが確認できた。
 これまでの1年間の活動を詳しく見てみると、確認できる成果は以下の通りである。
 第1に、食糧配給は中朝国境に配置したシェルターから米で38トンを配給できた。
 第2に、 家庭医薬品のキットを300セット供給できた。
 第3に、北朝鮮出身孤児、中国朝鮮族と北朝鮮女性との間に生まれて母親が強制送還されて、扶養されない孤児を保護し、必要な教育を保証できた。
 第4に、北朝鮮から脱出し、中国にもとどまることのできない脱北者に対し、人道的見地から地下鉄道を整備し、安全な第3国に送り届ける活動は、非常によく機能している。当基金が単独で保護し安全圏に到達したのは9人、他のNGOと協力して安全圏に到達した人は12人。
 第5に、人道、人権NGOとの連携、協力が強化された。日本国内をベースとするNGOとだけでなく国際的なNGOとの連携が進んだことはこの分野での特徴だった。
 第6に、国内では北朝鮮人権侵害問題といえば拉致問題との認識が一般的であるが、人権侵害問題でもあるとの共通認識で拉致被害問題を取り扱う各団体との交流、連携が進んだ。
 第7に、北朝鮮難民と人権に関する国際会議、セミナーへの出席は6度に及び、かつてない招請参加回数であった。その結果、新たな国際ネットワーク作りが進んだ。
 これらの見るべき多くの成果は、どこからきているかといえば、元からの会員一人一人が支えてくれたからに他ならないが、新たに 理事に加わった方、新会員の新鮮なマンパワーに負うところが大きい。
 それに加えて、これまでの北朝鮮難民だけに焦点を当ててきて発想から、「難民と人権」という視点で活動の新たな展開の可能性が見えてきたことにも大いに助けられている。
 またHPの影響力が広がっているのも特徴である。基金のホームページ、特に英語版のホームページは、日本国以外の政府、NGOからの内容の評価が高く、その結果と言えるが、海外からの個人募金が増えている。また活動への参加希望者増など活動全体が鼓舞されていることもある。
 大きな成果や発展はあるが、活動がすべて順調というわけではない。
 活動を厳しく点検していけば、次のような点が問題点として指摘できる。
 第1に、基金の活動に対する高い評価、活動の広がり、期待が大きい割合には、活動を支える財政が貧弱なことである。これは個人的な犠牲的精神に頼っている面があり、組織活動としては決して良い状態、健全とは言えない。
 当基金の財政規模からすると有給の常勤者は1人であることが望ましい。しかし、仕事量は2人分を越えている。
 活動規模を縮小するか、さらに募金収入を増やすかの岐路に立たされている。
 第2に、活動資金を集める専門家が必要といわれて久しいが、この分野で能力を発揮する人材を獲得できていない。

1、主な活動の報告
’08/08/08
 タイ国への脱北者難民の現況調査のため
 アメリカ、日本総領事館と意見交換
’08/08/28
 脱北者の生活保護申請に同道
’08/09/10
 脱北者からの保護要請あるも、親族は経済援助を約し北に戻る。
’08/09/24-26
 北朝鮮難民と人権に関する国際会議へ報告者として参加(Daily NK主催)
’08/10/04-05
 国際協力NGO、政府、大使館によるグローバル・フェスタ(東京)に参加
’08/10/07
 North Korea Freedom Coalition Mrs. Suzanne Scholte「ソウル平和賞」授賞式に出席。 
’08/10/20
 タイ国チュラロンコーン大学政治学部主催北朝鮮人権学術セミナーに報告者として出席。
’08/11/11-18
 救援作戦Dr. Lu、開始、成功裏に終了
’08/11/20
 救援作戦Mr.Goldman、成功裏に終了
’08/11/30
 関東脱北者交流会に参加
’08/12/04
 東京弁護士会人権賞受賞
’08/12/20-21
 国際協力NGO、政府によるワンワールド・フェスティバル(大阪)に参加
’08/12/26
 救援作戦Dr.Lu008、成功裏に終了
’09/01/23
 タイ国チェンマイ大学セミナー、講師として出席。
’09/03/14
 難民と人権に関する東京セミナー開催
’09/03/19
 救援作戦Keij 成功裏に終了
09/05/08
 救援作戦 May Day 成功裏に終了
’09/07/15
 東京弁護士会夏季合同研究第14分科会講師として出席
’09/08/22
 アジア哲学会(ソウル)学術会議で北朝鮮難民問題の講師
’09/08/29
 第2回アジアにおける難民と人権に関する東京セミナーを開催

2.脱北者難民を助ける活動
 日没から翌日の日の出前までに中朝国境のシェルターを訪れ、食糧を得て北朝鮮に戻る人々の数は1月平均50名をやや超える。そのうちのおよそ10%は、北朝鮮に戻らず中国国内で暮らす道を選択している。
 脱北者難民で第3国を目指す人々は、東南アジア諸国へ脱出する例が多い。最近はラオスへの流入が顕著だが、滞在が長引くに従い、タイ国にも再び流れが戻っている。
 北朝鮮にも戻れず、中国にも滞在できずに第3国への脱出を希望する人は、平均して中国に2-3年の滞在の後、中国を脱出している。多くの場合、この期間に旅費を蓄え、第3国への脱出ルートの情報収集をする結果と思われる。

3.中国側の警備が強化
 中国政府の「北朝鮮難民」に対する公式的な立場は、相変わらず、「中国には北朝鮮難民はいない」「彼らは不法入国者であり、不法滞在者である」をとり続けている。
 これに対する中国側は、豆満江沿いの国境では、辺防隊の巡回、公安の巡回、人民軍の歩兵部隊の各集落への配置など警戒が厳重になった。国境警備はオリンピック開催前後と変わらない。むしろ人民軍部隊は増強されている、小隊規模が以前は12-13人規模が15-18人に増強されたとの話がある。
 厳しい警戒にもかかわらず、シェルターに食糧を求めてやってくる北朝鮮人の数は減らない。北朝鮮側の国境警備隊は、中国で食糧の支援を求めて数時間の出国を認める代わりに、食糧の半分を厳密に収奪する。

4.子どもたちをめぐる状況
教育里親制度
 2009年3月17日、2人のアメリカ人記者が中朝国境地域で北朝鮮軍に拘束された。現在、記者たちは解放されたが、この事件に関連して彼らの取材を受けた「脱北孤児」を保護した児童養護施設5カ所が、中国当局によって強制閉鎖され、「脱北孤児」の資料、中国国内の脱北者人権活動家の名簿や連絡先が押収された。中国当局による厳しい弾圧は今も続いている。
現在、教育里子として支援対象となっている児童は20名を超えている。教育里子には責任者を通じて養育奨学金が支給されている。 また、教育里親には里子の近況をNEWSや随時レターで報告している。
 今では里子の多くは教育里親制度が発足した当時の脱北孤児である「コッチェビ」ではなく、人身売買された脱北女性と中国籍の男性との間に生まれた「無国籍」の「脱北者2世」というべき子供たちである。この子供たちの父親のほとんどは養育能力がなく、相変わらず中国当局はこの子供たちの養育の担い手であり、在留資格が与えられるべき母親である脱北女性を逮捕し、強制送還している。
 一方、正規の「居民証」を持たない「脱北者2世」である里子たちには、どんなに能力があろうとも高校以上の高等教育を受ける道は完全に閉ざされている。彼らには受験する資格が認められないばかりか、その過程で脱北者である母親が中国当局に摘発され、強制送還される恐れがあるからである。
 その結果、子供たちは中国政府からも「放棄された子供たち」となっている。今も学業年齢に達した「放棄された子供たち」は、どんどん増加している。しかし、これは中国自身か解決すべき自分たちの人権問題であり、国内問題でもある。

5.海外向けニュースレターの配信
   海外向け広報活動のまとめ
海外向けニュースレター配信・英語HP
 昨年同様、NGO・メディア・政府・
UNHCR関係者・海外寄付者その他の個人など約700名に対し、この1年間で計6回、英文ニュースレターを配信した。
内容は「基金ニュース」に掲載された記事の英訳を中心にして構成したが、基金が東京弁護士会の人権賞を受賞したニュースは単独速報ニュースレターとして配信した。受賞ニュースに対しては、予想をはるかに超えた数の祝辞メールが届き、日頃考えているよりも多くの受信者が基金からのニュースレターを読んでいることが窺われ、大きな励ましとなった。
 また、英語HPに関しては、昨年度に比べて今年度はかなり多くの基金ニュース記事を翻訳・掲載して充実度を増し、さらには、海外の誰もが簡単にダウンロード・印刷して活用できる基金活動紹介の英文パンフレットをHPに掲載するなど、基金英語HPによる海外向け広報の効果改善に努めた。
 昨年度の年間アクセス総数は132,508件で、前年度と比べると約24,000件増というデータが出ました。
 海外からのアクセス数が毎年増え続けているということは、海外で北朝鮮難民問題に関心を持つ人がやっと増えてきたということなのでしょうか。
 それから今年の2月末に始めた毎月自動引き落としの寄付者は6名で、この6名による現在の寄付金総額は月160ドルです。

6、財政活動
募金活動 Paypalの一年の歩み
 まずPaypalとは何か?海外特に欧米ではネットを通しての支払い・受け取り方法として随分定着した。しかし日本ではまだ馴染みが余り無いかもしれない。
 簡単に言えば「オンラインでクレジットカードを使って安全・簡単に支払いができる。支払い先(売り手や寄付先)にクレジットカードの番号を知らせる必要が無い(これはPaypalが代行するため)。支払う側は手数料がかからない。」口座を開けるのも全てがオンラインで行なわれる。
 今、Paypalは世界で1億5千万の口座を超えたといわれている。基金に寄せられる海外からの寄付はこのPaypalを通して行われる。勿論日本国内でも僅かだがこのシステムを使って寄付してくださる方もある。ただ日本の場合はクレジットカードを使っての支払い自体が欧米程には普及していない、銀行や郵便振込みの習慣がある、等が利用される方が少ない理由と思われる。

海外からの寄付の状況
 2008年9月から2009年8月までの寄付は一昨年のそれと比べて件数も寄付額も約5割程増えていた。これは世界的な不況の中で日本国内でも寄付が減少する中、大変な驚きであった。
 この理由の一つとしては、今年2月位から自動引き落としで毎月定額の寄付ができるようなシステムを導入した件が関係していると思われる。又、頻繁に基金英語サイトの更新や海外向けの基金News等の配信をする事で、海外の人々に常に訴え続けている事が寄付にも繋がっている。
 とは言え、海外からの寄付は元々が国内のそれに比べれば総額ではとても低い。

 それでも5割増は($2,855-$4,282)喜ぶべき事で、今後のさらなる発展につなげたいものである。
 記録によれば以下の通りである。
 前年度(2007年9月1日〜2008年8月31日)の寄付件数:58件、寄付総額 2,855ドル。
 昨年度(2008年9月1日〜2009年8月31日)の寄付件数:90件、寄付総額 4,252ドル。つまり、昨年度は1,397ドル増でした。これは毎月自動引き落としを始めた効果も影響していると思えます。
 これは、地道に訴え続けた成果であり、これからも海外との繋がりを広めるための努力を続ける励ましにもなる。

    第3号議案 2009-2010年活動方針(案)                     

  北朝鮮は崩壊した国民経済を立て直すために「150日間戦闘」をスローガンに総動員体制をとり、経済の立て直しを試みたものの、期待するほどの成果は見込めず、さらに「100日間戦闘」を発表した。
 この「戦闘」の延長については、労働党の中央委員会の公式声明とは違った情報が私たちのネットワークを通じて届いていた。  
「150日間戦闘」が90日間を過ぎた時点で「戦闘」が思うように成果を挙げず、さらに継続せざるを得ないと咸鏡北道の人民委員会が苦渋の心境を語っていたことが思い出される。
 北朝鮮が国連決議による経済制裁によって苦境に陥っているのは明らかで、難しい経済運営を迫られているのは間違いない。
 そのためか、これまでの強硬対決路線を柔軟路線に変えて、アメリカとの2国間協議の実現、6カ国協議への復帰を目論んでいる。
 しかしながら朝鮮半島の非核化については先が見えず、北朝鮮の国民の窮乏化と政権の不安定化はさらに進み、政権の先行きは不透明さが増すばかりである。

1、北朝鮮難民の大量脱出への対処
 北朝鮮経済が劇的に浮揚する可能性は全くなく、窮乏化、餓死、脱北者難民の国外脱出の悪循環から抜け出せない。
 今年度の食糧支援目標は年間50トンを目処に準備する。家庭医薬品キットは600セットを目標とする。
 @中朝国境を越えて脱北する北朝鮮難民は、引き続き救援対象とする。
 A大量の脱北者難民が中国側に流出する事態に、中国政府は警戒態勢を強めており、そのような事態は阻止される可能性が高いが、大量流出の場合は、混乱に乗じて起こる人権侵害を防ぐために法律家、ジャーナリスト、NGO、警備専門家などで構成する人権侵害監視団の設置を呼びかける。
 B中国側に難民が大量に流出する場合は、他のNGOに呼びかけ、国際機関、中国政府に難民キャンプの設置を求めていく。
 C海路による日本への流入に対しては、日本政府が積極的に受け入れるように働きかける。
 D北朝鮮から脱出する労働党、政府、軍の上級、中級幹部、治安要員の受け入れについても、拉致問題解決、人権侵害問題の解決に資するよう受け入れの間口を広げるよう提案する。

2、脱北者難民の安全確保と保護
 脱北者難民と意思疎通ができる要員の登録(韓国語、中国語、日本語)を進める。
 医療NGOとの連携を積極的に図る。
 第3国への移住、定住に対応できる要員の確保
 定住、生活相談要員の確保

3、医療援助
 救急用の医療キットの整備をするために医療NGOと協力する。

4 教育里親制度
 韓国の消息筋は、2008年に中国には最低2000人以上と推定される脱北孤児と数万人にのぼる「無国籍」の子供たちが存在していると推定していた。
 中国国籍男性と脱北女性との間に生まれ、中国国籍が与えられてしかるべき「無国籍」の「脱北者2世」たちは増え続け、すでに学業年齢に達している。中国当局に抜本的な政策の転換がない限り、この流れはとどまることはないだろう。
 @今後も引き続きこのような子供たちにも保護の手を拡大してゆかざるを得ない。
 A中国当局には「脱北者2世」の母親となる脱北女性に在留資格を与えるなどの大きな政策の転換が求められる。一昨年、中国の地方政府当局が2人の脱北女性に臨時永住権を発給するというわずかな動きも見られたが、この事例を単なる「人治」政策ではなく、「法治」政策として確立し、「脱北者2世」を養育する担い手であり、母親である脱北女性たちに適用を拡大していくことが、中国当局に求められる。
 Bまた、教育里子や責任者の安全を考慮しながら、引き続き教育里子の近況を教育里親に報告してゆくべきであろう。

5.移住・定住
 @北朝鮮に戻ることも、中国に留まることもできない脱北者は、第3国の安全圏に到達するのを助ける。
 A日本国内への定住に関しては関係行政部署、NGO,脱北者支援民団センターなどと協力関係を確かなものにする。
 B定住支援するボランティアを募る。
 C日本語教育は、他の関係団体との協力関係を築く。
 D夜間中学での勉学、高校卒業認定試験への挑戦を含め、向学心の高い青年に必要な助言、支援をする。

6.国際分野での活動
 海外向け広報活動の方針
英語HPには、海外からも簡単な操作で寄付が可能な PayPal コーナーを設けているが、現在の逼迫した基金の財政立て直しの一環として、この海外からの寄付金増額を達成させる必要がある。
 基金英語HPを訪れる海外の人たちは、その大半が基金のことを全く知らない。これは、基金活動アピールをこの英語HPに掲載する情報のみで勝負しなければならないことを意味する。
 通りすがりの海外訪問者の信頼と高い評価を獲得した上で、各人の琴線に触れ、寄付ボタン(なるべく高額の寄付ボタン)のクリック動作に至らせるに十分な内容の記事なり情報なりの掲載を心がけなければならない。  
 それには従来の現地からの報告記事等に加えて、元里子との心温まる交流など、基金ならではの特色が十分に出るニュースをさらに増やして充実させる必要があるだろう。

7.報告、懇談会、イベント
 @脱北者の体験、救援活動の参加者の報告会などを開き実情の理解を深める。
グローバル・フェスタ、ワンワールド・フェスティバルなどの国際協力、理解を深めるイベントに参加する。
 Aセミナーを開き、難民問題への理解を広げる。
 B北朝鮮人権侵害啓発週間への関連イベントへの参加をアピールする。
 C北朝鮮の難民と人権に関する国際議員連盟への協力、参加、支援など可能な関与をする。

8.財政基盤を整える
 @基金の活動に対する大きな期待が国内外から寄せられているが、財政的にはその要請に応える状況になっていない。
 特に救援活動の初動対応のための資金を蓄える必要がある。そのためには小口定期募金の賛同者を増やす活動が必要。
 A積極的に参加したくなるような催事、関心を呼ぶ報告会、昼食会、あるいは朝食会、チャリティ企画などを考える。
 B意識して募金の開拓をする専門家の知恵を集める。できれば専門の担当者を置く。 

注)第2号議案 決算報告と 第4号議案 予算案は、当基金の会計8月締めで、そのチェックがNEWS発行時には間に合わないので、毎年の総会では2は別紙で配られます。NEWSには次号に掲載されます。

    提言書                                             
     日本人拉致被害者、脱北者の救援、深刻な人権侵害問題解決の前進のために

 8月30日の衆議院選挙によって、民主党を中心とする新しい政権が誕生しました。9月2日の時点で、当基金は新しい政府の首班に指名されることが確定した鳩山由紀夫 民主党代表(当時)に、以下の提言をいたしました。その後、民主党の拉致対策問題委員長の中井洽氏(当時)、関係議員にも面談、提言いたしました。 (編集部注)

民主党代表 鳩山由紀夫 殿

 このたびの総選挙における勝利に対し心よりお慶び申し上げます。またこれまで拉致問題、脱北者問題、北朝鮮の人権侵害問題に積極的に取り組んでくださったことにお礼申し上げます。
 北朝鮮難民救援基金は、これまでの建設的な関係をさらに発展させる立場にいささかの変わりもありません。

 しかしながら、北東アジアの状況は、複雑な展開を見せています。北朝鮮の平壌宣言に違反する度重なる行為、ミサイルの発射実験、核実験、国連決議違反で国際的な孤立が明らかになるや、2人のアメリカ人ジャーナリストの解放、開城工業団地で拘束した韓国人を解放、また拿捕した韓国人漁民の釈放など、強硬姿勢から一転、和解ムードの攻勢を強めている。その背景には、ミサイルに乗せる核弾頭の小型化のためには、北朝鮮がまだ時間が必要であるとの認識に基づいている。また国是としての全土要塞化の戦略的な思考によるものと思われる。

 和解攻勢の一方で日本人の拉致被害者は、取り残されたままになっていることから、拉致被害者の家族のなかから焦りの声が出ている。今後、北朝鮮側は、「この焦り」を利用して、日本側の譲歩を狙ってさまざまな攻勢をかけてくることが予想される。

 そこで、日本の対応だが、これまでのように対応が拉致問題、脱北者問題、北朝鮮人権問題を個別ばらばらに対応するのでは効果は上がらない。政府の対応も拉致問題だけを特化して予算措置を講じている現状では効果的な解決法とは言えない。
 拉致問題を含む北朝鮮の人権問題を解決するためには、実効ある対策が必要である。日朝の外交交渉を実りあるものにするには政府機関の決意と同時に、NGOの活力も利用する総合戦力の検討が必要である。

 北朝鮮難民救援基金は、拉致問題、脱北者問題、北朝鮮による深刻な人権侵害問題を解決するために以下のことを提案する。

1、議員立法で成立した「北朝鮮人権法」を効果的に運用するために拉致問題、北朝鮮の深刻な人権侵害問題を扱う統一した部署を作ること。現段階では、内閣府のもとで別個の部署があつかっており、無駄が多く期待する効果が上げられない。

2、これまでも問題解決のために予算を措置しているが、予算の執行が拉致問題のキャンペーンだけにほとんどの予算を使っている。宣伝物や宣伝は大手広告代理店に丸投げしている。これでは実効ある使い方とは言えず、問題解決のために仕事をしているアリバイ工作としか映らない。予算は、宣伝教育、情報収集、調査活動、救援、定住支援など費目単位に予算を立て、透明性を図る必要がある。
宣伝教育、情報収集、調査、救援などの経験あるNGOにも予算を割り当てる。

3、予算の執行に当たっては、これまで政府機関が行ってきたような広告代理店に丸投げするようなやり方をやめ、それぞれのNGOに作成を任せ、政府と協議する体制を作るなどの新しいやり方が必要である。

4、脱北者からの情報収集するために、従来日本政府がとっている日本から北朝鮮に渡った人から数えて3代目までの人たちに限定して受け入れる方針では、効果的な情報収集はできない。脱北者が日本に入国することを希望すれば、人道的立場から保護して日本に入国させることはもちろんのこと、それなりの待遇をするのが肝要である。

5、入国時の健康診断の実施

6、日本への入国時の人定調査、インタビュー機関を設置し、政府の情報の共有化を図る。

7、定住支援施設の開設、日本語教育、能力に応じた就労支援、就学支援、大学、大学院へなどの進学枠の整備、奨学制度の拡充を求める。

2009年9月2日

〒113-0024
東京都文京区西片2-2-8 A-101

特定非営利活動法人北朝鮮難民救援基金
理事長 加藤 博 

    国連の場でアピール活動に挑戦    
      M・ドノバン          

 今年度、北朝鮮難民救援基金は国連との関係を深める協働活動に取り組み始めた。その取り組みの大きな活動の一つが、UPR ―Universal Periodic Review(普遍的定期的審査)に関する活動である。

UPRとは
 国連の人権理事会が2006年に新設され、2007年にUPRという人権調査メカニズムができた。
 UPRの下で、各国連加盟国は4年ごとに人権状況を調査される。今年は北朝鮮の人権状況が調査されるために、当基金もかかわることになった。

国連活動はどれだけ効果的?
 国連に対する活動が、果たしてどれだけの実効を上げられるのかという疑問はあるだろう。
 しかし、UPRのようなプロセスがあり、それに参加することによって、人権に関係する世界のNGOが北朝鮮の人権に強い関心を持っていることを、北朝鮮側に伝えることになるのではないだろうか。
 また、北朝鮮の様々な問題に関わる日本のNGOは、国連での活動を今まであまり行ってこなかった。 
 しかし、UPRやその他の国連活動に参加することによって、昨今停滞しているかのように思われる北朝鮮人権問題を国際的なレベルで紹介し、認識をより深めてもらうことに貢献できるのではないだろうか。

活動内容
 今年の4月、当基金はUPRのために「国境なき人権」(HRWF―Human Rights Without Frontiers)というヨーロッパのNGOとの共著で報告書*1を提出した。
 こうして、それぞれの関係する団体から提出された報告はまとめられ、それに基づいて12月のセッションで議論が行われる。
 当基金は今年の7月に、人権理事会のメンバー47カ国のうち、約20カ国の在京大使館へUPRについての面会を求める手紙を送り、8・9月に約10カ国の大使館を訪問した。その時、各大使館の代表にHRWFと協働で提出した報告と2ページ程度の北朝鮮人権問題(食料不足・移動の自由の制限・収容所・拉致問題などを含む)のまとめを手渡し、説明をし、それらの資料をUPRと直接関係する在ジュネーブの自国代表に転送してもらった。面会対応ができなかった大使館にも資料を提供した。
 UPRの北朝鮮に関するメイン・セッションは12月の7日と9日に行われるので、当基金はできる限り国内外の北朝鮮の人権問題に関わる団体と協力し、ジュネーブでサイドイベント(講演・パネル展・上映会など)や記者会見を行う予定だ。

これからの国連関係活動
 今後もUPRのフォロー・アップを行っていくつもりだ。
 また、来年の2月に行われる女性の地位委員会(CSW― Commission on the Status of Women)第54セッションと同時に、サイドイベント、ロビー活動や記者会見を行う予定だ。
 できるだけ関係する国連の国際会議にも参加して行きたい。
 しかし、国連会議に参加するためには、経済社会理事会ステータス(ECOSOCーEconomic and Social Council status)という資格が必要条件になる。今年度、当基金はその地位を取得するべく、ECOSOCステータスの申請をした。
 資格が取得できるかどうかは来年に発表される。

*1 当基金ホームページに全文掲載しています

    もと里子が里親を結婚式に招待―伝統的韓式結婚式の挨拶を受ける  
    加藤 博 

 私たちが北朝鮮の飢餓、社会的迫害によって中国に逃れてきた子どもたち10人余りを保護してからすでに10年が過ぎた。10年ひと昔と言うが、その子どもたちが成人し、結婚式に呼ばれるとは想像もできないことであった。
 結婚式の招待状をくれたのは、今年26歳になるソンヒョクと新婦になる明淑の名前によるものだった。結婚式は8月23日ソウルで行うことになっているため、私は成田から、ソンヒョクの里親であった故渡部剛さんの夫人の教子さんは仙台からソウルに向かった。
 当時10-12歳の子どもたちは今ではそれぞれ成人し韓国社会で良き市民として暮らしている。少女は成人し、結婚し家庭を持っている。大学に通っている者もいる。中にはイギリスで暮らして飛躍を夢見ている者もいる。
 ソンヒョクは、2002年に苦労の末、東南アジア経由で韓国に定住を果たし、夢であった医師を目指して大学受験に挑戦した。しかし中国に滞在した6年の間、公安の逮捕を恐れてたびたび住居を変更せざるを得ず、安心して勉強ができる環境になかったため、ソウルで医大を目指す受験生たちとは比べようもなかった。中国滞在中に吉林省全体の統一数学試験で3位の成績を取ったこともある彼だが、医大は難民枠の受験生でも上位3名までしか合格できない。彼は結局合格枠からはみ出てしまい。方針を変更して薬学部を目指した。アルバイトをしながら生活費を稼ぎ2年続けて受験をしたが、難民枠の7人までに入れず、薬学部への入学も断念せざるを得なかった。家族ぐるみで脱出しソウルに来たならば、支えになる家族もいただろうが、私たちは日本に住んでいたので、さしたる支えになれなかったのを残念に思っていた。結局2007年に歯科技工士を養成する専門学校に入学した。今では彼はこの仕事に興味を持って頑張れると張り切っている。成績も優秀で奨学金をもらったと立派な表彰状も見せてもらった。
 北朝鮮難民救援基金が団体としての活動を始めた1998年ころ、彼らはコッチェビとよばれ、北朝鮮国内の自然災害と誤った主体(チュチェ)農法によって飢餓が蔓延し、餓死者が200万人を越えたといわれた時期の被害者だ。
 中朝国境の両江道の恵山から対岸の中国の長白県で彷徨っているのを保護したのが始まりだった。親が餓死し、子どもだけが生き延びたという過酷な運命を負っている。
 その子どもたちも「不法入国者」、「不法滞在者」として中国の公安や辺防隊の追跡に逃げ惑った。中には北朝鮮に送り返されたが、再び中国に戻れた者もいたが、あまりに幼すぎて中国の私たちの連絡場所を記憶できなかったために、ついに私たちのもとに戻れなかった幼児もいた。
 そんな過去の出来事を思い浮かべながら結婚式に臨んだ。里親の教子さんは、新郎から贈られた韓服(ハンボッ)を着て式に臨んだ。
 式は2部構成になっていて、1部で新郎は明るいグレーのタキシード姿、新婦はウェディングドレスで皆から祝福を受けていた。出席した人たちは韓国に親類縁者がいるわけではなかったので、同じ北朝鮮出身の知人、友人が多く、また歯科技工士専門学校のクラスメートも大勢祝福に来ている。
 2部は伝統的な韓国式婚礼儀式の幣帛(ペベク)で、民族色豊かなものであった。新郎は両班(ヤンバン)を思わせる服装、新婦はきらびやかな髪飾りを付け、伝統的な韓服に身を包み、主(チュ)礼(レ)(媒酌人)、両親に対してクンジョルという深いお辞儀の挨拶を次々に行っていく。
 私と教子さんは彼らの親ということで、結婚したという正式の挨拶を受け、伝統に従って酒を注がれ、伝統の菓子を口まで運んでいただくという未知の経験までさせてもらった。
 私は二人に「力を合わせていい家庭をつくりなさい。仲良く暮らしなさい」と祝福の言葉を贈った。

    お知らせ                        

■ 10月3―4日 グローバルフェスタJAPAN 2009に参加しよう!
 
 グローバルフェスタは国際協力に携わるNGO、政府機関、国際機関、各国大使館が一堂に会し、各種イベントを通じてそれぞれの活動を紹介し、国際協力に対する市民の関心を高めることをねらいとしています。
 当基金も今回で3回目の参加になります。当日、当基金のブースに立ち寄ってください。
 両日とも珍しい北朝鮮の切手、紙幣などの珍しいものをオークションします。

 日時:10月3―4日  開催時間:10:00-17:00 
 会場:日比谷公園

 新年度が始まります!会費の納入をお願いします!

 会員の皆様!皆様の会費は当基金の救援活動をはじめ、活動の初動展開に必要な資金として使われています。まだ新年度の会費を納入されていない方は、同封される郵便振替用紙で納入くださるようお願いします。
 なお会費は1口7000円となっておりますので、5000円を納入の方は、機会を見つけて不足分を送金ください。

当基金の理事が参加する集会

 北朝鮮に拉致された日本人を救う神奈川の会(川添友幸代表)主催による北朝鮮による拉致・人権問題を考える神奈川県民集会が、振替休日の10月12日(月)午後1時―4時、横浜情報文化センター情文ホールで開かれる。
 拉致被害者家族会事務局長の増元照明、特定失踪者問題調査会副代表の真鍋貞樹各氏の他、当基金理事の田平啓剛らが参加。そのほか北朝鮮からの脱出者の発言も予定。
 鳩山新政権の誕生で、民主党の対応に注目が集まるものと思われる。

日時:10月12日(月)午後1時―4時
会場:横浜情報文化センター情文ホール
交通:みなとみらい線「日本大通り駅」情文センター口すぐ 
   JR・地下鉄「関内駅」徒歩10分
参加費:500円(学生300円)