

中朝国境の三合鎮から開山屯(ケサントゥン)への道路で警戒にあたる移動式検問車両
新年号
C O N T E N T S
| 第2回 北朝鮮人権侵害啓発週間を終えて | ||
| 第1回 北朝鮮人権 仙台集会を終えて ・・・・・・・・・・ | ケイト・ニールセン | |
| 中国オリンピック前に浄化作戦 ・・・・・・・・・・・・・・・・ | 加藤 博 | |
| 1月 中朝国境実情 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 石田真一 | |
| ビジネス化する脱北者支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 南 公平 | |
| 教育里子の申請書から見える子ども事情 ・・・・・・ | 渡 高志 | |
| お知らせ |
| 第2回北朝鮮人権侵害啓発週間を終えて | |
| 北の拉致、人権問題の取り組み広がる |
平成19年12月10日から16日まで行われた第2回北朝鮮人権侵害啓発週間は、政府主催のイベント、国際会議、「救う会」と拉致議連共催の国際シンポジウム、北朝鮮難民救援基金(以後、救援基金と略す)、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(以後、守る会と略す)、特定失踪者問題調査会(以後、調査会と略す)、北朝鮮による拉致および人権侵害に取り組む法律家の会(以後、法律家の会と略す)のNGO4団体による国際会議、その他「守る会」や「調査会」が独自に催しを組織したこともあり、多彩で週間は内容のあるものとなった。
政府主催で拉致と人権侵害問題の行事
日本ではこれまで、北朝鮮の人権問題と言えば「拉致問題」であり、拉致問題が北朝鮮の人権問題であると考えられ、日本政府も北朝鮮の人権侵害問題を拉致問題に特化させてきた。これは世界世論とは違った認識となっており、世界の認識から孤立する傾向にあった。
しかし、今回の週間で、政府主催行事のなかで拉致問題と同時に北朝鮮の人権侵害問題を位置づけられたたことは、大きな前進と評価できる。拉致問題は北朝鮮政府による国家犯罪であるが、また深刻な人権侵害問題でもあることがようやく認識された格好だ。
事実上、北朝鮮の人権侵害問題解決が普遍的な人権問題であり、拉致問題を解決するには二国間問題だけで解決を図るのは難しく、国際的な枠組みで取り組まなければ解決は難しいという認識に近づいてきたのが特徴だろう。
大阪、仙台でも盛大に参加者が集う
NGOの行事は、東京だけでなく大阪や仙台などの地方にもおよび、広がりを見せ、これまでにない規模に発展したのは喜ばしい。
昨年までNGOが主導した観のあった北朝鮮人権侵害問題啓発週間の行事も、まだ限定的な観はぬぐえないが、政府が本腰で力を注ぎだしたことが盛況をもたらし、世論の関心を大きく高めた。
平成20年度は、問題解決のために、さらに全国的な広がりで啓発週間の行事が取り組まれるのが望ましい。そのためには、少なくとも札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、京都、神戸、岡山、広島、福岡の主要都市で政府、地方自治体、NGOの協力による行事の取り組みを準備し、日本全国のメッセージを世界に向けて発信するのが必要である。それは問題解決の国際環境を変えるのに大いに役立つ。
8カ国から参加、文化行事も多彩に
国際会議、集会の参加者は、US、カナダ、ルーマニア、中国、韓国、日本、タイ、ビルマの8カ国に及んだ。参加したのは北朝鮮問題専門家、法律家、人権団体、救援団体、宗教団体、民主運動関係者が参加し、活発に意見表明が行われた。
これは、拉致問題、北朝鮮難民問題が東アジアの局地的な問題ではなく、国際的な問題であることを改めて示した。
また政府主催の行事には、声楽家、歌手など芸術分野からの参加者もあり、映画あり、トークありで魅力的な構成だった。またNGOは写真展、ラジオ番組の収録、講演会など意欲的な啓発キャンペーンだった。平成20年度の行事にはさらに多くの音楽家や芸術家の参加があって欲しい。
政府とNGOには調整努力が必要
平成20年度の第3回の人権侵害問題啓発週間を取り組むにあっての改善点の一つは、政府行事とNGOの行事の単独行事、共同行事の棲み分けを研究する必要性である。
第2回の取り組みのなかで、政府主催(法務省、外務省主催)の国際シンポジウム「北朝鮮における人権状況と国際社会の取り組み」は、NGOの行事と重なるところがあり、事前に双方の協議があってもよかった。今後の調整事項である。
期待される政府の財政支援
第二には、「北朝鮮人権法」の精神に従えば、政府、地方自治体がNGOの活動を支援することが期待される。NGOが最も苦慮しているのは、行事を行うに当たって外国からの招聘者の旅費、滞在費を賄う財政負担が大きすぎることにある。
また、行事の開催場所の確保や国際会議の性格上、同時通訳は不可欠であり、この費用負担も無視できない。政府からの支援、あるいは予算措置があってよいと思われる。
新たな提言
12月14日、東京神田猿楽町の韓国YMCAのスペースYで行われた国際会議で出された新たな提言を紹介する。
これまで、参加者の中には、国際会議や集会はするが、現状分析や評論の域を出ていないと、救援活動に関わる人の間で現状を打開できない無力感、フラストレーションに支配されていたと思われる。
守る会の三浦小太郎代表は、以下のようにコメントしている。
「国連決議は、確かに北朝鮮の人権侵害を批判している。しかし、それ自体は特に各国政府に拘束力を持つものではないし、現実に中国やロシア、韓国なども6カ国協議主要国ですら北朝鮮の人権批判には全く弱い中、今直接的に北朝鮮政府を追い詰めるものではないでしょう。勿論、国際世論は重要ですが、同時に北朝鮮に[どのように言うことを聞かせるか]の提案が、政府や人権大使には必要ではないでしょうか」
金正日を国際刑事裁判所に提訴できるか
北朝鮮による拉致問題や北朝鮮難民問題、人権侵害問題の根源が金正日の独裁体制にあることを疑う人は、いなかった。そのためには何ができるのか、有効な手立てがあるのかということに関心が絞られている。
この課題に、明確な提起をしたのは、北朝鮮による拉致・人権侵害に取り組む法律家の会の須田洋平弁護士であった。
同弁護士は、『多くが70年代に行われた拉致事件の「強制失踪」状況は継続しており、現段階でもこの犯罪は持続していると見なすことができる。金正日を国際刑事裁判所(ICC)に「第7条 人道に対する罪」で訴追することに真剣に取り組むことができれば提訴できる』と可能性を提示した。
第9条の犯罪成立要件によれば、「犯罪成立要件は、第6条、第7条および第8条の解釈および適用にあたって本裁判所に提示される。これらの要素は締約国の会議構成国の3分の2の多数によって採択される」
つまり、ICCに加盟している国々の3分の2の賛成を取り付けなければならないという難関はあるが、取り組む価値はあると言う。
また、政府主催の国際会議で斎賀富美子人権大使は、「ICC加盟国の3分の2の賛成」に代わる代案として、国連総会で投票数の過半数を取れば、入り口論では、3分の2の締約国の賛成を得るよりはハードルが低くなる、と語っている。
国連総会で北朝鮮の人権侵害問題に対する非難決議が採択されたことから、提訴が採択される可能性が見えているとも言える。これは、関係者に期待と希望を抱かせるものとなっている。
<編集部注>
昨年11月30日、戦争犯罪や人道に対する罪を犯した個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)の裁判官補欠選挙が国連本部で行われた。その結果、ノルウェー大使兼北朝鮮人権問題担当大使の斎賀富美子氏が当選し、本年1月から国際刑事裁判官に就任することになった。
ICCはオランダ・ハーグに設置された常設国際法廷で、2002年7月に設立条約発効され、日本は昨年10月に加盟した。
しかし、自国の兵士が訴追されることを恐れる米国をはじめ、ロシア、中国、東南アジア諸国は加盟していない。
| 第1回 北朝鮮人権仙台集会を終えて | |
| 多彩な顔ぶれ、豊富な内容、ホームページの運用始まる | |
| イト・ニールセン |
「北朝鮮人権法」が制定されて2年目
にあたり、人権法が定めた北朝鮮
人権侵害問題啓発週間の記念行事が
12月16日、仙台市で行われた。
北朝鮮難民救援基金、北朝鮮帰国
者の生命と人権を守る会、救う会宮城
の3団体が、「北朝鮮人権問題講演会
実行委員会」を結成し、取り組んだ
第1回目の行事となった。参加者の顔ぶれは多彩で、韓国、タイ、日本で活動している9名の講師が、それぞれの立場から、豊富な内容を持ち時間一杯をつかって討論に参加した。
また仙台市が後援団体に名を連ねたこともあってか、宮城県議会と仙台市議会から多くの議員が顔をそろえた。また宗教界からは大和教団の教主様の参加も得た。
市民約70人の参加者の立場、意見、経験は様々のようで、それから、国際的なレベルで働く人権活動家の話、北朝鮮の収容所で生れ育った人の経験、それを監視する警備員だった人の経験、命令を出していた立場の人間の話、タイ人の拉致被害者の甥の訴えなど、東北では、ほとんど聞く機会がない話が聞けたのは喜ばしい。
北朝鮮に対して批判的である多くの日本国民が、北朝鮮の金正日政権と一般国民をはっきり区別しない傾向があるため、人道的な面から北朝鮮の人権侵害問題について考えるのが難しいのだろう。しかし、今回の集会で話された内容や、講師の様々の経験が、大きなエネルギーを与えたのではいかと思う。
それから、北朝鮮の問題に関る団体の目的や主な活動が違ったとしても、問題の解決するのには共通点を拡大、発展させ、それらを利用したり、国際的な協力をしたりすることの必要性が強調された。
今回の集会のフォローアップとして、参加者に2ヶ月に1回程度ニュースレターを送ったり、ホームページを運営する予定。 (http://sendaijinken.terapad.com)
今年行われる第2回北朝鮮人権仙台集会を開くにあたっては、行事の財政に関して熟考すべきことが2点あると思われる。
まずは、民間団体が積極的にイベントを行なっているわけだが、政府や地方自治体からのいろいろな支援が不可欠だということである。
第2には、それぞれの団体が積極的に募金することが必要だということである。
日本では寄付を求めることは、NGOの習慣になっていないが、今回の仙台での経験でこれは無理なことではないと分かった。身近なところから始め、企業の社長になった中学・高校・大学の同級生や先輩にアプローチすることはいいスタートではないかと思う。
今回は準備期間が短く、他の大きな企業や銀行などにお願いすることはできなかったが、次回試してみたいと思っている。
北朝鮮問題を解決するのに新しい考え方や活動が必要であることと同じように、NGOの募金の集め方に関しても考え直す必要があるだろう。
今後、日本各地で行なう人権週間のイベントが広がり、より多くの人との意見交換ができるのを願っているところである。
| 中国オリンピック前に浄化作戦 | |
| 著名人権活動家逮捕、脱北者狩を強化 | |
| 加藤 博 |
北京5輪を前に中国でHIV感染者の
救援をする胡佳氏は、国家転覆扇動
容疑で逮捕された。関係者によると
昨年12月27日、20人ほどの公安部の
関係者が山東省曲阜の自宅を訪れ、
逮捕を通告、連行した。胡氏の携帯
電話は不通になっていて30日以後
連絡が取れてない。
| 2008年1月中朝国境実情 | |
| 農民は堆肥の強制供出を忌避、軍官は逃亡 | |
| 石田真一 |
中朝国境X村のシェルター責任者の金さん(40歳)の報告によると、2007年11月18日から12月25日の間、計118名の北朝鮮からの脱出者がシェルターに助けを求めて来たという。
真冬に入ってから、北朝鮮の住民たちが一番苦労しているのは、食糧は勿論、真冬に備えての冬服であると言う。北朝鮮からの脱出者たちが着ている服を見ると、殆んど夏用の薄着姿で靴下は履いていない。豆満江は既に凍結して、夜はー20℃まで下がるこの時期に延辺では想像も付かないことである。
シェルター責任者の金さんと北朝鮮咸鏡北道茂山から脱出してきた李さん(男性37歳)の会話のやりとりを聞いた。
「北朝鮮には靴下はないの?」
「茂山には大きい市場はあります。中国の市場で売られているすべての品物が茂山の市場でも揃っています。品物の中では塩だけが北朝鮮産で、他の品物はすべてが中国産です。私たちみたいな庶民は手も出せない程の高い値段になっているので、なかなか買えません。市場には物を買う人より、物を売る人の方が多いです。配給もなく、国からの最低限の生活保障も無い状況で、皆が商売をやりながら生計を維持しているのです。」
「李さんは商売したことはありますか?」
「商売をしようとしても、自分にお金が無くては出来ません。お金が無くても出来るのは、自分が山野を開墾してその土地からとれた農産物を市場で売ることだけです。」
「李さんは開墾地を持っていますか?」
「持っているのは僅かですが、毎年トウモロコシとじゃが芋を作っています。トウモロコシは自分の食糧にして、じゃが芋は市場に持って行って他の品物と物々交換します。」
「開墾地はだれでも出来ますか?」
「いいえ、出来ません。人に知られないようにして、家から何十キロも離れている山の奥に開墾するのです。」
茂山から来たもう一人の脱出者の女性・崔さん(30歳)の証言によると、北朝鮮の今の社会で暮そうとすると、体面であれ、法律であれ、すべて関係なく露骨に奪い取るか、盗むかしない。そうしないと暮すことが出来ない。苦難の行軍時期が10年以上も続いている今、生き残った人々は法を破ってでも暮らそうとしているのだ。苦難の行軍の時が未だに続いている以上、大きく酷い目に会ったから、住民たちはこれ以上じっと座っていられない状況になっている。お腹いっぱい食べられて、自由に暮らす事が出来るなら、どんなことをしても構わないと言う。
新年初頭から自分が住んでいる茂山郡OO農村では、強制的に堆肥の供出の指示が出たために騒ぎになっている。新年は希望の初めであるはずなのに、こんな苦労の年初めは初めてだ、と崔さんは憤懣のはけ口を金さんに向けていた。
毎日住民たちが、手押車に堆肥を積んで直接農場に持って来なければならない。任務も一人当たり2トンずつの量で、その量も半端ではない。こんなに多い量となると、集めることができなくて、金ある住民たちは堆肥を買って収める場合もある。
住民たちは、堆肥生産課題があまりにも多くて、任務を到底完成することができないと、わめいているのだ。 ありもしない堆肥を無理やりに出そうとすると、結局堆肥代わりに一人当たり 5千ウォン(北朝鮮1万ウォン=33中国人民元)のお金を出さなければならないので、これは住民たちにはすごく大きすぎる負担だと言う。
一月に中国へ脱出して来る人たちは供出する堆肥生産に困って逃げてくるが、何とか堆肥分の金を稼ごうとするが、成功するのは稀だ。

<写真説明>咸鏡北道茂山郡芝草地域の畑に出された堆肥、後ろに山林愛護のスローガン
2007年11月××日には、少々肥え太った中年の男性と女性が金さんの家に訪ねて来て「私たち夫婦は北朝鮮の××市から脱出してきました。北京まで行く旅費を下さい。」と慌てた様子で助けを求めてきたと言う。
金さんは、今まで来ている脱北者は皆痩せこけていて、最初に白いご飯を頼むのが普通だったのに、太っているこの二人の男女は他の脱北者とは違っていきなりお金を要求してきたので、その様子が不思議に思い事情を訊ねた。
金さんの質問には答えていたが、詳しいことについては話さなかった。ただ、男性の方からは、自分は××郡に駐屯している軍の幹部で、韓国へ逃げるために北朝鮮から中国に脱出してきたと説明をしただけだった。
この地域を早く離れなければならないので、早く旅費を出してくださいと、しつこく粘るだけだった。
この二人の場合は普通の脱北者とは違って、北朝鮮に送還されるとどんなことが起きるのかという彼らの立場をよく理解している金さんは、自分の乏しい経済力から二人分の北京までの旅費を出してあげたかったのだが、必要な費用の全額はとても出せる状況ではなかった。可哀想だったが、150中国元を渡して、この村から安全に逃げる方法を教えて、家から送り出したという。
シェルターに立ち寄った茂山市場の朴さん(女性53歳)によれば、商売も楽ではないと言う。
2008年の一月に入ってからは、茂山市市場の物価動向は工業製品全体が20%〜30%値上がりしている。
詳しい物価動向を見ると、1月の茂山の場合は、米は1,500ウォン/kg、トウモロコシは500ウォン/kg、大豆は1,000ウォン/kg、小麦粉は1,300ウォン/kgであった。
市場には物はあるけれど、買う人はなかなかいないのが茂山市市場の現状である。
| ビジネス化する脱北者支援 | |
| 飢餓地帯を抜けても、韓国で極貧層に落ちる | |
| 南 公平 |
| 教育里子の申請書から見える子ども事情 | |
| 渡 高志 |
1998年から始まった当基金の教育里親制度も、はや11年目を迎えることになった。その間、韓国では10年の長きにわたって金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権による太陽政策、包容政策が続き、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)体制への事実上の支援政策が続けられてきた。しかしそれも、今年2月より、李明博(イ・ミョンバク)政権による実用主義、厳格な相互主義へと舵が切り替わる。はたして、韓国の北朝鮮難民政策も大きく変化するだろう。またそれは必然的に、北朝鮮難民救援活動にも大きな影響を及ぼすに違いない。
この運動の転換点になるかもしれない今、この10年間の教育里親制度を振り返って見るのも悪くないだろう。
’98年から’03年まで、ほとんどの里子たちは身寄りのないコッチェビであった。と同時に、彼らは不法滞在者として中国当局による逮捕、強制送還の対象でもあった。
そのため、教育里親制度では子供たちの教育や生活全般の世話を現地シェルターの責任者にゆだねるだけでなく、子供たちの安全も常に考慮してこなければならなかった。それでも多くの里子たちが逮捕され、強制送還され、里親たちは涙することが多かった。
やがて、残った里子たちも成長し、成人に近づくにつれ、中国や北朝鮮で彼らの将来を仮想することがいかに非現実的であるかが明らかになってきた。そこで、彼らを安全で、将来の希望をかなえることが出来るかもしれない第三国へ脱出させることが、私たちの緊急の課題となったのである。
’04年から、教育里子の多くが親と一緒に脱北してくる子供たちで占められるようになってきた。当然のことながら、子供たちの安全の責任と将来の展望は彼らの親にかかってくるようになったと同時に、親の判断によって我々の保護下から突然離れるケースも多くなってきた。時には、彼らがどこに行ったのかもわからず、途方にくれることもままあった。中には北朝鮮に帰った例や、中国国内をさまよって再び助けを求めてくるものもあり、その救援活動に大きな支援を注ぐことがあった。
’06年ごろから、北朝鮮難民女性と中国籍男性との間に生まれた子供たちが就学年齢に達し、教育里親制度に支援を求め始めた。この子供たちの父親は身体障害者や知的障害者であることが多く、生活能力のないものが多い。おまけに北朝鮮難民である母親は、人身売買や自身の安全のための便宜的婚姻で出産することが多く、子供を残したまま逃亡したり、中国当局に不法滞在者として逮捕され、子供と引き離されて強制送還されることも多い。しかも、この子供たちは法的にはっきりした中国国籍を持っていることは少なく、父親には子供たちに教育を受けさせる力や意思がないので、地域社会では大きな問題となっていた。
中国は父系主義である。したがって、その父から生まれた子供は中国国籍を与えられるべきであり、また人道主義の観点から、その母親には定住権を与えるべきである。
この問題はそのまま中国の国内問題であり、その解決の責任は中国当局にある。それにもかかわらず、中国当局は子供たちの所属や国籍をあいまいなままにし、彼らの母親を逮捕し、強制送還し、子供たちと引き離している。
本来、この子供たちは教育里親制度の下で保護され、支援される対象ではなかった。しかし現在、この子供たちが里子たちの56%も占めており、本来の教育里親制度の趣旨や精神が深刻な曲がり角に立たされていると、私には思われてならない。
| お知らせ |
■日本語=韓国語の翻訳ボランティア募集
タイ語=韓国語=日本語で難民ハンドブックを作成
中国とラオス、ビルマの国境を越えてタイ国に流入する脱北者の数は、年間でおよそ1000人を超えると言われています。
タイは2000年まで、北朝鮮からの難民の受け入れの経験がなく、密入国者として逮捕しても韓国語を理解する警察官や入国管理局の調査官が、ほとんどなくコミュニュケーションが取れずに誤解やトラブル、摩擦が絶えません。
タイ当局が北朝鮮難民を不法入国者として扱うのには、異議はありますが、北朝鮮に送還されることはなく、生命の安全は保証されています。タイ当局者と北朝鮮難民の間のすみやかな意思疎通と円滑な収容、定住地への送還の助けとなる冊子2千部を関係する団体の協力で作成します。
この冊子作成のために2カ国語のできるボランティアを募集します。また、冊子の作成の費用として10万円の費用が必要です。御協力ください。
■当基金理事長が参加する講演会
第19回「拉致被害者と家族の人権を考える市民集会」〜拉致を語らずして人権を語るなかれ〜
平成20年3月23日(日)
午後1時30分開場・午後2時開演(午後5時30分終了)
場 所: 藤沢産業センター (JR藤沢駅北口より徒歩5分・藤沢郵便局隣り>
講演者:飯塚繁雄さん(田口八重子さんの兄・拉致被害者家族会代表)
青木直人さん(ジャーナリスト)
荒木和博さん(特定失踪者問題調査会代表)
加藤博さん (北朝鮮難民救援基金理事長)
■カチン民族機構(日本)から感謝状
1月13日、豊島区公会堂で行われたビルマの「カチン州の日」の祝賀集会で、北朝鮮難民救援基金に対し「カチン民族の発展と人権擁護に大きく貢献した」として感謝状と壁かけが授与されました。
当基金が、ビルマの軍事政権から日本に逃れてきたミャンマー国籍の少数民族のカチン族の難民認定や、入管の収容者の仮放免に対する助言、貢献の労に対するねぎらいの意味があるものと思われます。