

中朝国境の図們から三合鎮方向へ20kmにわたって張られた鉄条網
C O N T E N T S
北朝鮮人権侵害問題啓発週間 特集号
| 国際会議の開催挨拶とプログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 北朝鮮難民救援基金 | |
| 完全統制区域からの生還者の証言集会の案内・・・・・・・・ | 北朝鮮難民救援基金 | |
| 第10回総会報告と会計報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 北朝鮮難民救援基金 | |
| 11月 中朝国境報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 石田真一 | |
| 脱北女性と結婚した中国人の夫の嘆き・・・・・・・・・・・・・・・・ | 高山秀雄 | |
| 現地報告―茂山市場事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 北朝鮮難民救援基金 |
| 第2回 北朝鮮人権侵害問題啓発週間 |
| 国際会議の開催にあたって |
’06年6月、日本版「北朝鮮人権法」が成立した。この法案は12月10日から16日までを北朝鮮人権啓発週間と定め、国および地方公共団体が北朝鮮人権侵害の啓発に努めるとしている。’04年米国で北朝鮮人権法が成立し、’05年12月には国連総会で北朝鮮人権決議が可決された。さらに、ユーロ議会でも北朝鮮の人権問題が取り上げられ、国際的な問題になっている。
日本のNGO諸団体は、日本版「北朝鮮人権法」の成立に伴って、この精神を実行に移すためにたびたび協議を重ねてきた。関係諸団体はそれぞれの専門的な立場からさまざまな行事を計画中である。
北朝鮮の深刻な人権侵害、食糧不足による飢餓によって10万人をくだらないと言われる北朝鮮脱出者が、中国で難民認定を受けることができず、さまよっている。「北朝鮮からの難民はいない」「不法入国者であり、不法滞在者である」との中国政府の公式見解によって、彼らは強制送還され、死刑を含む厳罰に処せられ、また女性は中国国内では強制結婚、強制売春の悲惨な運命を余儀なくされている。
さらに北朝鮮政府は、レバノン、タイ、マレーシア、韓国、日本国などの領土からなんのつみもない人々を暴力的にあるいは甘言を弄し、拉致誘引する不法行為を働いてきた。その数は計り知れない。そして親族、関係者の悲しみ、怒りは察して余りある。
北朝鮮人権啓発週間を迎えるに当たって、世界にこれらの問題を提起するに相応しい人々を招き、総合的に論議し、実際の解決策、政策提言に結び付けたい。
イベント日本実行委員会(以下順不同)
●北朝鮮難民救援基金
●北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
●特定失踪者問題調査会
●北朝鮮による拉致・人権問題に取り組む法律家の会
12.14
国際会議/ International Conference
主題/Theme:北朝鮮の人権状況の改善に何が出来るか
What we can do for improving North Korean Human Rights
日時/Date :12月14日(金) 09:00−17:00 14th Dec.
会場/Venue:韓国YMCA ホテル スペースY/Korean YMCA Hotel Space Y
東京都千代田区猿楽町2-5-5
2-5-5 Sarugaku-Cho Chiyoda-Ku Tokyo 101-0064 JAPAN
Tel:03-3233-0611 Fax: 03-3233-0633
参加申し込み(事前登録が必要):03-3815-8127 または各共催NGO事務局
プログラム/Program
09:00 受付、登録開始/Registration
09:30 開会挨拶/Opening Address
午前の部/ Morning Session
●司会/ Moderator: 荒木和博 拓殖大学海外事情研究所教授 Prof. Kazuhiro Araki
09:40 基調報告 斎賀富美子 人権(担当)大使
Key-Note Speech by Special envoy for Human Rights
Ms. Ambassador Fumiko Saiga (Japan)
10:00 スラット・ホラチャイクル チュラロンコーン大学政治学助教授
Mr. Surat Horachaikul (Thailand)
Assistant Prof. Political Science, Chulalongkorn Univ.
10:15 川島高峰 政治学博士 助教授 明治大学情報コムミュニケーション学部
Mr. Takane Kawashima Ph.D Assistant Prof
Dept. Information & Communication (Japan)
10:30 金尚憲 国際人権活動家 (韓国)
Mr. Kim Sang-Hun International Human Rights Worker (Korea)
10:45 討論/Discussion
Q & A
11:40 終了
午後の部/Afternoon Session
●司会/ Moderator:山田文明 大阪経済大学助教授
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
Asistant Prof. Fumiaki Yamada
13:00 開会挨拶
13:10 議員挨拶
13:20 Demonstration 北朝鮮人権データーベースセンター (韓国)
North Korean Human Rights Data Base center (korea)
14:00 基調報告 ティム・ピーター ヘルプハンズコリア (米国)
Keynote Speaker: Mr.Tim Peters Helping Hands Korea (USA)
14:20 加藤博 北朝鮮難民救援基金 (日本)
Kato Hiroshi Life Funds for North Korean Refugees (Japan)
14:30 金熙泰 人道支援家 (韓国)
Kim Hee Tae Humanitarian Aid ?worker (korea)
14:40 林飛 中国民主陣線 (中国) Mr. Lin He
Representative of Japan,Overseas Chinese Democracy Coalition( China)
15:00 三浦小太郎 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会代表 (日本)
Representative Mr. Miura Kotarou (Japan)
15:10 真鍋貞樹 特定失踪者問題調査会事務局長 (日本)
Mr. Sadaki Manabe Secretary General ICMJ (Japan)
15:20 海老原智治 北朝鮮に拉致された人を救う会チェンマイ (タイ)
Mr. Tomoharu Ebihara Representative ARANKA (Thailand)
15:30 Prof. Sohn Se-Hoon Korean Christian University (Korea)
15:40 須田洋平弁護士 法律家の会 (日本)
Mr. Suda Youhei Lawyer (Japan)
15:50 討論
16:40 閉会の挨拶
| 12.15@東京、12.16@仙台 |
| 完全統制区域からの生還者の証言集会 |
強制収容所(監理所)からの生還者と警備員、元所長を招いて、北朝鮮の強制収容所の全貌を明らかにする画期的、衝撃の企画です。証言者は申(シン)東(ドン)赫(ヒョク)(价(ケ)川(チョン)14号管理所体験者)、安(アン)明(ミョン)哲(チョル)(会(ヘ)寧(ニョン)22号監理所元警備員)、権(クォン)赫(ヒョク)(会寧22号監理所元所長)の各氏です。
■12.15@東京
3人の証言者のほかに、強制収容所廃絶のための提言を、国際人権活動家の金(キム)尚(サン)憲(フン)氏、守る会の小川晴久名誉代表がそれぞれ行ないます。
日時:12月15日(土) 13:15-16:15
会場:星稜会館(地下鉄永田町駅6番出口徒歩5分
参加費 :1000円
主催:北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会■12.16@仙台 http://sendaijinken.terapad.com/
3人は仙台集会にも参加します。その他の提言者として上記の金尚憲氏、タイのチュラロンコーン大学のスラット・ホラチャイクル政治学助教授、北朝鮮難民救援基金の加藤博理事長が参加します。
日時:12月16日(日) 13:30-16:00
会場:仙台市エルパーク・セミナーホール5F
主催:北朝鮮難民救援基金、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会、救う会宮城
連絡先:sendaijinken@hotmail.co.jp
■12月16日に特定失踪者問題調査会が「しおかぜの集い」東京は10:00より陸上自衛隊広報センターで写真・パネル・資料展示。13:00より「しおかぜ」公開収録と大阪会場とのインターネット生中継。大阪は14:00より大阪市立中央青年センターA棟7階第1ホールで大阪ブルーリボンの共催でおこないます。
■政府主催で12月13日に国際シンポ、16日に「集い」行事
13日(木)に内閣官房拉致問題対策本部、法務省、外務省の主催で、一般入場制限のパネルディスカッションが開催されます。録画は12月下旬にNHK・BSフォーラムで放映予定との事です。第1セッション「北朝鮮における人権状況と国際社会の取組」、第2セッション「拉致問題への取組」になります。
16日(日)は東京都港区のニッショーホールで「拉致問題を考えるみんなの集い」を開催予定。内容は拉致を描いた映画「めぐみー引き裂かれた家族の30年」の上映、横田めぐみさんの父・滋さん(75)母・早紀江さん(71)と池田理代子さんの対談、歌手の南こうせつさんらの歌唱など。参加希望者は往復はがきに住所、氏名、電話番号、人数(1通2人まで)を明記し、〒100‐8977 法務省人権擁護局内「みんなの集い」係りへ。
| 北朝鮮難民救援基金 |
| 第10回総会報告と会計報告 |
10月14日、午後2時からアカデミー千石にて脱北者、カチン女性協会、救う会神奈川、中国民主陣線等の来賓を迎え、第10回総会が開かれました。
今総会は基金定款第26条に基づき、出席者数と委任状数、あわせて正会員の5分の1以上の出席によって成立しました。
活動報告、財政報告、そしてそれぞれの方針が議論、承認されました。続いて、監査報告が了承され、最後に理事10名が選出され、総会は閉会となりました。
前年度は北朝鮮難民の安全確保と保護の必要性に応じて、あらたに6箇所のシェルターが確保されたこと、また、初めての北朝鮮人権啓発週間を迎え、国内他組織や国際組織と連携して、国際会議やイベントを行えたことが特筆されます。
今年度は、活動を再開した脱北者支援民団センターなどとも協力し、脱北者の国内定住のためのボランティアの充足など、基金独自の組織体制ならびに財政基盤の更なる拡充の必要性も強調されました。
2006年度特定非営利活動に係わる事業会計貸借対照表 事業会計収支計算書
科 目 金 額 科 目 金 額
T資産の部 T収入の部 流動資産 4,386,564 会費収入 624,000 固定資産 498,000 寄付金収入 15,004,479 資産合計 4,884,564 4,884,564 雑収入 27,103 U負債の部 15,655,582 当期収入合計(A) 15,655,582 15,655,582 流動負債 4,632,917 U支出の部 固定負債 0 事業費 負債合計 4,632,917 4,632,917 安全確保事業 2,836,907 V正味財産の部 生活支援事業 1,753,556 前期繰越正味財産 822,697 教育支援事業 1,131,569 当期正味財産増加額 -571,050 広報事業 2,044,107 正味財産合計 251,647 事業費合計(B) 7,766,139 7,766,139 負債及び正味財産合計 4,884,564 管理費(C) 8,460,493 8,460,493 当期支出合計
(B)+(C)=(D)16,226,632 当期収支差額(A)−(D) -571,050 繰越収支差額(E) 822,697 次期繰越収支差額
(A)−(D)+(E)251,647
| 2007年11月中朝国境報告 |
| 北、収穫物の移動禁止 |
| 中国側、人民解放軍駐屯を開始 |
| 石田真一 |
中国と隣接している北朝鮮の咸鏡北道、両江道地域では、今夏の水害の被害は少ない。しかし、穀倉地域である黄海道、平安南道、平安北道などの地域では、平年の収穫に比べて、収穫するものは殆んどない、と脱北してくる北朝鮮住民たちは語る。
咸鏡北道に住んでいる住民たちは、10月の収穫期前から、軍糧米として咸鏡北道から水害被害地域に全国に優先的に持っていかれる。そうなると自分たちの消費分がなくなってしまうと、心配事が山のようにあるのだという。
また、収穫の時には茂山郡の機関は、各農場に保安員たちを送り、農民たちの収穫物の持ち出し、村から他の村への移動を厳しく制限し、検問も厳しくしたという。
一日の収穫労働が終わると、身体検査と家の周辺の調査を厳しくしていたという。
しかし、そんなに厳しい検査の中でも、もみ米やとうもろこし、ジャガイモなどを盗む事件は毎日起きていたという。
会寧から脱出してきた脱北者金OOの証言によると、作業班で盗難事件が起きると当事者だけではなく、作業班の皆も連帯責任で被害が及ぶという。
それで、素直にいるよりは、とりあえず、盗んだほうがましだ、と話している。
また、脱北者金OOの証言では、農民たちは一年の収穫を終えても、一回も約束どおりの分配を受けたことがなかったという。いくら必死に働いても、もらえないと皆分かっているので、生きていくには盗むしかないという。
<写真の説明>収穫を終えた中朝国境の農村、手前の村は中国側の上華村
北朝鮮の咸鏡北道茂山郡と7〜8メートル幅の頭満江を挟んで隣り合っている、中国側の国境村の住民は語る。
この村では、向こうの北朝鮮OO里からの住民の声が、そのままはっきりと聞こえてくる。
今年10月の収穫の時期には、川の向こうから女性たちの泣き声がたびたび聞こえてきたという。まるで、誰かの家で葬儀を営むような泣き声に聞こえてきて、眺めてみると、数十人の軍兵たちとトラックがあって、農民たちの畑から収穫物を略奪しているような光景だったという。同じような光景は、10月には何回も起きていという。
北朝鮮の村と隣接している中国側の村々には、中国人民解放軍の駐屯地が建設される風景が今年に入ってはっきりと目に見えてきた。
村の住民たちは、人民解放軍の駐屯地に関して何の情報もなく、何のために人民解放軍が自分の村に入ってくるのか、まったく知らない。地元の政府側も住民たちに何の説明もない。
ただ、住民たちは、北朝鮮からの脱出民を防ぐために人民解放軍も動員されているのだと、推測していた。
<写真の説明>頭満江沿岸には「非法越境は法律の処罰を受ける」という看板が立てられている
中国に脱出してくる北朝鮮住民は、9月からは一気に増えている。
中朝国境地域の住民だけではなく、北朝鮮内部の地域からの住民も結構いるという。黄海南道新院郡から脱出してきた、全OOの証言によると、もともと中国まで脱出してくる計画はなかったという。あまりにも生活が厳しくて茂山に住んでいる親戚に助けを求めて、茂山まで来たという。
しかし、親戚からは何の援助ももらえなく、そのまま家に戻るわけもなかったので、親戚の紹介で死を覚悟しながら中国に出てきたという。
全さんは、北朝鮮側で国境警備兵に人民元300元を払うことを約束して、国境警備兵の案内を受けながら川を渡るようになった。しかし、初めての体験だったし、また夜中川を渡らなければいけないので非常に怖かったという。
全さんの家には妻と3人の子供がいて、自分が帰ってくるのを待っているという。少しでも援助をもらえば北朝鮮に戻りたいと言うのだ。
中国に脱出して来る脱北者たち、殆んどが、北朝鮮側の国境警備兵にお金を払うようにして渡ってくるのだ。
川を渡る際に、お金がある人はその場で人民元200元、お金がない人は北朝鮮に戻る際に払うのだが100元高くなって、人民元300元払わなければならないのだ。
中朝国境村にある、当基金シェルターの責任者の話によると、お金を払う約束をして中国に脱出させた脱北者が、約束の期限内に戻ってこないと、北朝鮮の国境警備兵から自分の家まで電話を掛けて来て「その人は何故まだ北朝鮮に戻ってこないの?」と訊ねて来るという。
国境警備兵は、何度も脱北してくる人から「誰の家にいくの?」と聞いて、電話番号も調べるという。
| 脱北女性と結婚した中国人の夫の嘆き |
| 母親を乳飲み子から引き離し、北に送還 |
| 高山秀男 |
朴エファのお母さんの高ギョンヒは、北朝鮮咸鏡北道清津市から脱北してきた女性です。
1998年1月、琿春市に住んでいる親戚の友人から紹介してもらい、私は37歳で、29歳の彼女と結婚しました。結婚といっても、合法的な登録は出来ず、親戚と村の友人たちを呼んで、簡素な結婚式を開いただけのものです。
その当時、私は人民元500元を仲介者に払ったと記憶しています。
村の男やもめは脱北女性を嫁にする
その年には、私と同じく結婚できていなかった、当時30歳代の男やもめ4人が、北朝鮮の女性を嫁にもらいました。
嫁不足の農村部では、男やもめたちが北朝鮮から逃げてきた女性たちと結婚するのが唯一の解決方法でした。
しかし、北朝鮮からの嫁たちは、今は中国公安にほとんど摘発されてしまい、北朝鮮へ強制送還されています。そのため、北朝鮮から逃げてきた女性と結婚していた村の男たちは、私と同じく、惨めな境遇に陥っているのです。その中で、一番犠牲になっているのは、幼い子供たちです。
幸せは長く続かない
1999年1月、私の家族には長女のエファが生まれました。しかし、その幸せは長くは続きませんでした。2000年度の5月の何日かはっきり覚えていませんが、ある日、中国公安が突然家に駆けつけて、庭で働いていた妻をそのまま車に乗せて連れて行ったのです。私は車の後ろについて派出所まで行って、公安に、妻の釈放を頼みましたが、妻を救出することは出来ませんでした。
また、次の日からは、次々と、村の脱北女性たちが公安に捕まっていったのです。
まだ、1歳になったばかりの乳のみ子の娘は、毎日泣いてばかりいました。
その後、妻がいなくなってからも、公安は妻がまた戻って来ていないかと何回も調べに来ていました。
服はぼろぼろ、顔もよごれたままの妻
2000年の10月のある日の夜中、誰かがドアをノックしていたので、起きてドアを開けてみたら、目の前には、服装もぼろぼろで、顔も汚れている女性が立っていました。外は暗く、彼女から声を掛けてくれないと本当に誰だか分からなかったのです。
戻ってきた妻の様子は、家から連行されて行ったときとは全然変わって、よく見ないと誰だか見分けが出来ないほど痩せていたのです。
妻が連行され、いなくなった後にも、何回も公安が調べに来ていたので、妻が戻ってきても嬉しいとはあまり感じませんでした。むしろ、今後のことが心配になって、不安ばかりでした。
妻は、昼はまったく外に出られず、毎日が家の中に閉じ込められた生活でした。
また、夜寝るときも、何が起るか分からず、いつも戦闘態勢の状態なのです。何時、また公安が駆けつけてくるのか分からないのです。そのため、いつも警戒しながら生活していかなければなりませんでした。夜寝るときは、いつも服を着たままの就寝です。夜中でも、外から車の音が聞えても、犬の吼え声が聞こえても、すぐ家の後ろの扉から逃げるのです。
6年間に5回、北朝鮮に送還された
結婚して6年間、妻は5回も中国公安に捕まり、北朝鮮へ強制送還されています。妻は、北朝鮮で刑を終えて、再び中国に逃げてくるのですが、その度、いつもぼろぼろの衣装で、痩せこけた様子になって戻ってくるのです。
中国公安の非人道的な行為は、妻だけに及んだのではありません。幼い子供までに被害を与えているのです。お母さんが公安に拘束されて連行される時は、娘のエファまで派出所に連行されたことが3回もありました。後で知らせを聞いて、鎮の派出所に駆けつけると、子供だけが廊下で泣いているのです。
母さんと無理やり引き離される
娘のエファは、今は原因不明の病気で苦しんでいます。病状は、5歳のごろからだと思いますが、娘は緊張したり、恐怖感を感じたりすると、口から白い泡を吐き出しながらショック状態に陥るのです。地元の大きい病院には全部連れて行って治療を行ないましたが、治る気配はまったくありません。借金だけが増える一方です。娘の病状には、未だに、はっきりした診断は出ていない状況です。
娘のエファは、お母さんが公安に捕まり、必死に抵抗しながら連行されて行く光景を何回も目にし、また、エファまで公安の車に乗せられて、寒くて暗い派出所の廊下に放り出されていました。お母さんと無理やりに引き離される、その恐怖感、幼い子供には耐えられない程の心の打撃だと思います。そのときの娘は、どのような心情だったのか、誰も知りません。
今、娘が難病で苦しんでいるのも、幼いときから受けていた怖がらせとその恐怖感が病気の原因だと疑っています。
娘の目の前で公安が銃を発砲
夜寝ている時も、外で車の音が聞えたり、犬の吼え声が聞えたりすると、妻は胸の中ですやすやと眠っている娘を投げ捨てて、そのまま慌てて後ろの避難用の扉から逃げ出すのは、日常茶飯事のことでした。既に夢の中に入っていた娘が、お母さんのあたふたと逃げ出す行動に愕いて、泣き出し、起きてしまったことも、数え切れません。
また、娘のエファの話では、最後にお母さんが捕まえられたときには、7〜8人の公安が来ていて、家の後ろの扉から逃げているお母さんの背中に向かって、公安が銃を3〜4発発射したとのことでした。エファはあまりにも怖くて家の隅に隠れていたと話していました。
体がいくら頑丈である大人の男であっても、本物の銃を目にしたり、身近で銃声が鳴ったりすると愕いてしまうと思います。しかも6歳の女の子にとっては、その光景はどのような怖さだったのか、想像もつきません。
悪いやつらがあそこにいる
現在小学校2年生になる娘には、今も公安の制服を目にしたり、近づいて来たりすると、恐怖感を感じるのです。本人も話しています。「悪いやつらがあそこにいる。」
まだ、幼い娘の心には、公安というのは悪者にしか見えないのです。
幸せのはずだった、一つの家族をこんなにめちゃめちゃにしてしまうこの社会、今の世の中には未だに存在するのです。いくら自分が生まれ育った祖国だといっても、この国を愛し、又、信用して生きていられますか?
国民のための「警察小父さん」と呼ばれるべきだった公安も、まだ9歳の娘には、悪い人間にしか見えないほどのイメージを与えてしまった、ということは本当に考えられないのです。
もう死ぬ道しかないー韓国行きを決断
2006年の冬、5回目に北朝鮮へ送還されて、奇跡的に家に戻ってきた妻は、もうこれ以上捕まって北朝鮮へ強制送還されると、もう死ぬ道しかないと訴えました。
このままではこの村では生活していけないと判断して、妻は韓国行きを決断したのです。私も出来るだけのことは協力してあげようと思い、親戚なり、あらゆる友人などに韓国行きの道を尋ねて見ましたが、お金が無いと行けないとのことでした。
手をこまねいて悩んでいた4月のある日、妻を紹介してくれた琿春市に住んでいる親戚の友人から連絡が来ました。「韓国人牧師を紹介しますから、早くハルビンに妻を連れて行きなさい」とのことでした。
その友人の話では、韓国人牧師は今ハルビンにいて、北朝鮮から脱北してきた人たちを韓国へ送る仕事をしているとのことでした。しかし、自力でハルビンまで行かないと、その牧師の助けをもらうことは出来ないとの事でした。
2万元の借金−溺れる者はわらをも掴む
溺れ者はわらをもつかむ気持ちで、私は妻を連れてハルビンに行くことに決めました。しかし、家にはお金が無く、また村の友人から借金するしかなかったのです。
既に2万元の借金を背負っている私には、これ以上、お金を借りるのも辛いことでした。2万元のお金といえば、一生農業の仕事ばかりしてきた私には、莫大な金額でした。
ハルビンまでの旅費がやっと用意できて、4月末、私は妻を連れてハルビンに向かいました。韓国人の牧師にも無事会えて、もう妻は助けられると思いました。
しかし、三日後になって事態が変わり、韓国人牧師の話では、「今は国境警備も厳しく、すぐには出発できない。ここにいると費用も掛かりますので、一旦、家に戻って連絡を待ちなさい。」とのことでした。
ハルピンの韓国人牧師
交通費もやっと借りてきた私たちには、にっちもさっちもいかないことになってしまったのです。
ハルビンには親戚も、知り合いもいなく、家に帰るしかなかったのです。帰りの列車の切符は何とか手にしたものの、ご飯を買って食べるお金は無く、帰りはひもじい思いの列車の旅でした。
その後、5月のある日、韓国人の牧師から連絡があり、ハルビンに行きました。その時はお金も無くて、妻だけを行かせたのです。しかし、一週間たって妻は再び家に戻って来ました。理由は前回と同じでした。
7月にも韓国人牧師の連絡を受けて、妻はハルビンに行きましたが、2週間後、また家に戻ってきたのです。もう交通費だけて3千元も費やしてしまいました。
8月になって、韓国人牧師の連絡があって、妻はまたハルビンに向かいました。いくらお金が掛かっても、妻が韓国へ行くには唯一の道だったので、あきらめることは出来なかったのです。
教会で2ヶ月勉強しないと連れて行かない
ハルビンに向かった妻から、1週間過ぎて連絡がありました。「今度は出発できそうだ。」とのことでした。
しかしその後、2週間、3週間経っても、妻の方からの連絡が来ませんでした。その時私は、妻はもう出発して、連絡が出来ない状況にあるのだろうと思っていました。
一ヶ月ぐらい経って、やっと妻の方から連絡が来ました。私は、妻はもう韓国に着いて韓国から電話しているのだと思い、喜んでいました。しかし、妻の話ではまだハルビンにいるとのことでした。
「何故まだハルビンにいるの?」「何故ハルビンにいるのに連絡しなかったの?」と聞いてみたら、妻からの返事は、「今はハルビンのある教会で勉強している。」「教会で2ヶ月間勉強しないと、連れて行かない。」とのことでした。
私は、韓国人牧師が伝道のために、私の妻のような立場の弱い人間を利用しているのではないかと疑い始めていました。
10月の収穫期の忙しいある日、妻からまた連絡がありました。「明日出発して、モンゴルに向かう。」とのことでした。
モンゴルへ行く途中中国公安に捕まる
その後、11月のある日、琿春市に住んでいる親戚の友人から私に連絡がありました。「お前の妻はモンゴルに行く途中、中国公安に捕まっている。今は、行方は分からない状況だ。」その内容は自分の耳も疑うようなお知らせでした。
もう一年も経っている今も、妻の行方は分からない状況です。娘のエファは、「私のお母さんは今韓国に行ってお金をいっぱい稼いでいるよ」と友達に自慢話をしているようです。
今はどこにいるのか、もしかしたら本当に死んでいるのかも知れないお母さんのことを自慢に思い、無邪気に話している娘の顔を見るたびに、胸が痛んでくるのです。
妻を失い、家を失ったが、病気は治してやりたい
私は、妻を失い、今は、住んでいた家も借金にとられて、78歳の母と長女のエファ3人で、村の友人の家を借りて住んでいる状況です。
何があっても、親として娘の病気は早く治して、また、安心させて学校に行かせたいのが、今の気持ちです。
聞き取りを終えて
40台半ばの農民は、涙と絶望の中で子どもの病気を治してやりたい、としきりに訴えていた。
貧しくとも清く、そして一生懸命に生きたいと思ってもがいている。運命は過酷な試練を与え続ける。
中国の農民の置かれた立場は貧しく過酷だ。教育を受けていない農民が周りから食い物にされているようにみえる。人を救うはずのキリスト教牧師までが、さらに過酷な試練を与える。幸福への道ではなく滅びへの道に導いている。
私は話しを聞いていて怒りがこみ上げてくる、幼い娘のエファは何としても救ってあげたいとの思いが募っている。
(編集部注:聞き取りは、南公平調査員によって11月中旬、延吉市のはずれのある農村で行われた。安全を配慮し、文中の氏名は仮名にしてあります。)
| 現地報告 |
| 2007・11 茂山市場事情 |
北朝鮮の最北端の咸鏡北道茂山郡の市場事情をお伝えする。茂山の市場は、中国製品で溢れていが、北朝鮮産のものは、たらや干したイカ、ワカメなどの水産物、塩以外はない。
食糧の値段は米が1kgあたり下等米1400北朝鮮ウオン、上級米で1500北朝鮮ウオン、トウモロコシは400−500北朝鮮ウオン、食用油は4500‐5000ウオン。水害はあった8月と9月は物価が品目によっては2倍近くに値上がりしたものもあったが、収穫期を終えた11月には、ほぼ値上がり前に戻っているが、若干高止まりになっている。
商店の数、品物の種類は多いが市場の規模に比べて買う人の数が少なく、商売人は手持ちぶさたで活気にかける。
人気のある商売品目としては、韓国製、日本製で流行おくれになった冬物衣料が、高品質で人気がある。一般的には中国製の防寒用の綿服が売れ筋。さらに、垂涎の的になっているのは、韓国製、日本製の中古の家電製品である。今年の8月頃までは中国製の電気洗濯機、冷蔵庫などが売られていたが、これらがすっかり姿を消した。中国製は質が悪く、さらに中古になると故障だらけで修理がきかないなど苦情が絶たないために、今では中古の中国家電製品は捨てられて山積みになっている。
人気の韓国製や日本製の家電製品、靴、洋服は延吉市の西市場で仕入れるという。
茂山市場を管理するのは、市場管理局だが、市場で働く女性に年齢制限があると聞いて驚いた。市場の管理等政局によると、市場で働く(出店できる)のは30歳以上でないと許可が下りない。しかし、北朝鮮では裏の道があって、市場管理局のトップに裏金を渡せば、許可証の入手は可能だと、最近許可証を手にいれた26歳の朴さんは笑った。