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ポルフィリン代謝異常症
ヘモクロマト−シス
先天性アミノ酸代謝異常症
ビタミン
最近危険な中毒の救急処置法
水銀
鉛中毒
細菌性食中毒


ポルフィリン代謝異常症

 【概念】
  肝や骨髄赤血球系細胞内でのヘム合成経路の
  中間代謝物質のポルフィリン体が蓄積し尿中排泄などされるいくつかの疾患群
                ↓
グリシンなど→δアミノレブリン酸→ポルフォビリノ−ゲン→ウロポルフィリノ−ゲン
→コプロポルフィリノ−ゲン→プロトポルフィリノ−ゲン→プロトポルフィリン→ヘム
                  ↑
                                    ↑
     ヘムとは(ヘモグロビン)、チトクロ−ムc,カタラ−ゼなど
          Fe(鉄)を含む蛋白質の原料である。

 【分類】
  ■中毒性・・・アルコ−ル、(鉛 )中毒など
  ■肝性・・・・内科国試に出る(急性間歇性ポルフィリン症 )
  ■造血性・・・鉄芽球性貧血
   以下内科国試に出る急性間歇性ポルフィリン症(AIP)について

 【疫学】
  ●常染色体(優 )性遺伝
  ●(女 )≧(男 )
  ●20〜30歳に間欠的、急性に発症

 【症状】
  ■腹部症状・・・( 腹痛)、便秘、嘔吐・・・虫垂炎と間違われることもある。
  ■神経症状・・・( 呼吸筋)麻痺
            末梢性多発性ニュ−ロパチ−による四肢麻痺、感覚障害。
                             腱反射→(低下 )
  ■その他 錯乱、頻脈、高血圧、 ADH↑による尿量減少、高コレステロ−ル血症など。
   バルビツ−ルなどで発症、痙攣にはクロ−ルプロマジンなどを使う。

 【検査】
                  急性間歇性ポルフィリン症(AIP)
                            ↓
   ALA synthetase  (ALA)           ↓
グリシン−−−−−−→δアミノレブリン酸→ポルフォビリノ−ゲン→・・・・→ヘム
             ↓         ↓
                   尿中排泄増加    尿中排泄増加
                  ( Watson Schwartz)反応
                    アルデヒド試薬で赤色蛍光

堯951031足立

                                  

ヘモクロマト−シス

 【概念】
  鉄過剰摂取や吸収のため、全身臓器に鉄がヘモジデリン、フェリチンなどとして沈着し、線維化・硬化による機能障害をきたす疾患。
   機能障害を来さない段階を「ヘモジデロ−シス」という。

 【分類】
  ■原発性・・・アポフェリチン欠乏
  ■続発性・・・長期大量輸血、鉄剤投与

 【疫学】
  原発性は17:1で(男 )性に圧倒的に多く常染色体(優 )性遺伝。

 【症状】
  ■肝硬変
  ■(糖尿病 )・・・インスリンを必要とするものが多い。
  ■色素沈着
  ■その他、心筋障害、睾丸萎縮、月経不順など

 【検査】
  血清鉄+UIBC=TIBC(トランスフェリン)
  100  200   300μg/dl
 血清鉄↑、不飽和鉄結合能↓(総鉄結合能は不変)
 ヘモジデリン沈着組織所見→CTでhigh density(びまん性高吸収域)
 鉄キレ−ト剤のdesferrioxamine筋注で鉄の排泄↑↑

 【治療】
  続発性には鉄キレ−ト剤のdesferrioxamine筋注
  原発性には無効

 Wilson病

 銅、セルロプラスミン、肝硬変、レンズ核、Kayser-Fleisher ring
 キレ−ト剤のD−ペニシラミン

堯951031足立

先天性アミノ酸代謝異常症

 
まず覚えること

 ■マススクリ−ニングのGuthrie法(ガスリ−法)では
  ( フェニルケトン尿症)、(メ−プルシロップ尿症 )、(ホモシスチン尿症 )の3疾患をスクリ−ニングしている。
  ヒスチジン血症については92年 9月 1日より中止。
  Guthrie法(ガスリ−法):
  排泄された蓄積アミノ酸を
  その拮抗物質入り培地でも(枯草菌 )が繁殖することにより確認。
             Bacillus subtilis

 ■原則として(知能障害 )を伴う。
  例外として「(アルカプトン尿症 )」、「(シスチン尿症 )」と
「ヒスチジン血症のほとんど」では知能障害はない。

 ■全て常染色体(劣 )性遺伝

 フェニルケトン尿症
  日本では11万人に1人と少ない。

  ●フェニルアラニン→チロシン転化酵素欠損・・・メラニン合成↓
  ●知能障害、痙攣、湿疹、毛髪と皮膚の色素減少
  ●尿はかび臭いネズミ尿臭(フェニ−ルピルビン酸)
  ●授乳開始5〜7日でガスリ−法施行
  ●低フェニルアラニン食で治療可
  ●ビオプテリン代謝異常症も高フェニルアラニンとなり治療法が異なり鑑別が必要。

 ヒスチジン血症
  ●9000人に1人
  ●重篤な知能障害、言語発達遅延は少ないことが判明しGuthrie法から除外された。

 高チロジン血症
  ●(肝硬変 )、腎尿細管障害によるクル病

 アルカプトン尿症
  ●チロシンの中間代謝物質の(ホモゲンチジン酸 )の増加(アルカプトン)
  ●20〜30歳にRA様(関節炎 )で発症
  ●尿にアルカリ添加で黒変
  ●強膜、軟骨、腱の褐色変化(ochronosis)

 先天性高アンモニア血症
  ●種々のアミノ酸代謝異常により認められる。

 ホモシスチン尿症
  ●水晶体脱臼、骨格異常、くも状指、血栓症
  ●血中メチオニン↑、尿中ホモシスチン↑

 高グリシン血症
  ●大半は生後間もなく重篤な中枢神経症状で死亡。

 シスチン尿症(腎尿細管再吸収障害症)
  ●(知能障害  )は無い。
  ●X線透過性のシスチン(尿路結石 )が唯一の症状。

 メ−プルシロップ尿症(楓糖尿病)
  ●バリン、ロイシン、イソロイシンの代謝障害でしばしばαケト酸の増加による
 (ケトアシド−シス  )発作をきたす。
  ●尿はメ−プルシロップ様芳香を発する。

 

堯951031足立

ビタミン

脂溶性ビタミン→(A,D,E )→過剰症あり
水溶性ビタミン→(B,C )  →過剰症なし

 ビタミンA:ニンジン、肝臓、魚などに含まれる。
  欠乏症:視紅ロドプシン生成不十分による(夜盲症、 )、眼球乾燥症
    過剰症:(脳圧亢進 )→大泉門膨隆、皮膚の落屑、食欲不振

 ビタミンB1(別名「サイアミン」): 胚芽、酵母、肝臓
  欠乏症:■脚気:高(ピルビン酸 )血症を伴う。
       サイアミンはPDHでもある
     ■(Wernicke脳症 )
      症状は(意識障害、失調性歩行、眼球運動障害、末梢神経障害)
       コルサコフ症候群→3徴(作話、失見当識、記名力障害)
      (慢性アルコール中毒)や妊娠中毒症などの嘔吐症で見られる。

 ビタミンB2(別名「リボフラビン」)緑黄色野菜、卵、肉、乳製品
  欠乏症:(口角炎 )、角膜炎、羞明、脂漏性皮膚炎

 ビタミンB6(別名「ピリドキシン」)
         欠乏症:ビタミンB6依存性痙攣
     大量投与を必要とする遺伝疾患群、生直後発生)

 ニコチン酸   欠乏症:(ペラグラ )のtriasは3D
  dermatitis,diarrhea,dementia

 ビタミンB12(別名「コバラミン」)
  回腸末端で吸収されるため回腸末端病変による(blind loop )症候群や広節裂頭条虫症、菜食主義者、ネオマイシン投与などで欠乏症をおこしやすい。

  欠乏症
  ■巨赤芽球性貧血
  ■舌炎(Hunter's glossitis)
  ■亜急性連合性脊髄変性症
   脊髄側索→錐体路症状
   後索  →位置覚・振動覚

堯960624足立01

 ビタミンC:新鮮な野菜、果物
  欠乏症:壊血病(膠原線維の生成維持↓→血管↓→出血)
       →凝固時間は正常

  葉酸:慢性アルコール中毒に多い

 ビタミンD
  欠乏症:くる病
  過剰症:尿中Ca排泄増加後血中高Ca・高P血症

 ビタミンE
 欠乏症:新生児溶血性貧血

 ビタミンK:納豆、キャベツ、クロレラに多い
  欠乏症:母乳栄養児の頭蓋内出血
     血液凝固因子■、■、■、■  “にくなっとう”と覚えても良い。
     血清PIVKA-■(肝細胞癌↑)が上昇する
      (protein induced by vitamin K absence orantagonists-■)
  過剰症:新生児高ビリルビン血症(K3,K4)
     新生児にはK1を与える

堯950624足立

最近危険な中毒の救急処置法

        ●『サリン』一辺倒では臨床医として不十分
        ●最優先の処置法を考える。
        ●基礎的な病態生理を再確認

 (1)びらん剤
  イペリット(マスタード「からしの臭い」ガス)、ルイサイト
  イペリットは無色から(暗褐色  )の液体〜蒸気。超持続型。
  乾燥している皮膚は障害を受けにくいが、粘膜や湿っている皮膚は障害を受け易い。

  【症状】
   結膜炎・角膜炎(発赤と腫張)→視力障害
   皮膚は刺激性無く、知らぬ間に数時間〜24時間後に火傷、びらん、水泡、潰瘍形成
   潰瘍の回復には2か月位かかることもある
   咳嗽→呼吸不全

  【予防】「防毒マスク」と「びらん剤用の保護衣」で可能

  【治療】
   水で洗浄、呼吸困難なくても(副腎皮質ホルモン  )吸入、
   眼には硫酸アトロピン、抗生物質、局所麻酔剤
   火傷の治療
   ルイサイト治療薬のバルを使用

 イペリット:びらん剤として分類される毒ガス。無色から暗褐色のからしの臭いがする液体〜蒸気。乾燥している皮膚は障害を受けにくいが、粘膜や湿っている皮膚は障害を受け易い。結膜炎・角膜炎(発赤と腫張)から視力障害をきたす。皮膚は知らぬ間に数時間〜24時間後に火傷、びらん、水泡、潰瘍形成。咳嗽から呼吸不全もきたす。副腎皮質ホルモン吸入などを用いる。

 (2)神経剤(タブン、(サリン  )、ソマン、VXなど)
  全ての粘膜と皮膚から吸収され得る。

 ■タブン(GA),サリン(GB),ソマン(GD)
  無色のガス、非持続型

 ■VX
  やや黄味がかった液体で超持続型で数週間以上現場に残存し神経剤のなかで最も毒性が強い。中毒症状が出るまでに2〜3時間かかることがある。

 【作用機序】
  血清中の(コリンエステラーゼ )活性を低下させ、副交感神経末端の (アセチルコリン )を過剰に蓄積させ副交感神経興奮過剰状態をきたす。

 アセチルコリン
  自律神経節前線維、副交感神経節後線維の各神経および体性運動神経の刺激伝達物質。アセチルコリンエステラーゼによって分解され活性を失う。

 アセチルコリンエステラーゼ
  神経終末で遊離したアセチルコリンを分解し刺激伝達を調節する。神経系、赤血球に局在。サリン、有機リン剤は非可逆的に失活させ、PAMはこれを再活性化する。別名「真性コリンエステラーゼ」。

 【症状】
  蒸気吸入:
   (縮 )瞳→鼻漏→胸部絞扼感→呼吸浅く不規則→心拍数減少→痙攣→昏睡
  経皮吸収:
   倦怠感→ 悪心→ 嘔吐  →   〃   →  〃 → 〃 → 〃

  唾液の(増加 )、流涙、排便、気管支(収縮  )、喉頭攣縮、気道閉塞なども出現し得る

 【予防】
  ピリドキシムブロマイド( 8hr毎30mg)内服(特にソマンにやや有効)
  アセチルコリンエステラーゼと可逆的に結合して保護する

 【治療】
  大量の(硫酸アトロピン  )療法(ムスカリン作用に拮抗) 2mg15分ごと
  PAM(pralidoxime,コリンエステラ−ゼ活性の復活化)  500mg15分ごと
 (ジアゼパム  )5mg内服、筋肉注射
  人口呼吸、酸素吸入、禁煙
  挿管時の麻酔に(サクシニルコリン )は使用しない。
          遷延性無呼吸を起こすので使用禁忌。)

 アトロピン
  「ベラドンナ」、「ロート」などのナス科植物より抽出された物質。副交感神経終末のムスカリン様受容体を遮断する。通常硫酸塩として用いいられる。平滑筋を弛緩、散瞳、分泌腺機能を低下させる。

 ムスカリン
  ベニテングタケの有毒物質の一つ。副交感神経のムスカリン様受容体を刺激し腺分泌、縮瞳、平滑筋収縮などを起こす。

 ニコチン
  タバコの葉に含まれるアルカロイド。副交感神経のニコチン様受容体や骨格筋受容体を刺激し筋線維束攣縮、悪心、嘔吐などをきたす。

 アルカロイド
  含窒素化合物の塩基性植物成分。モルフィン、ニコチン、アトロピン、エフェドリン、コルヒチン、アコニチンなどの強い薬理作用を持つものが多い。

 サリン
  軍事用毒ガス。全ての粘膜と皮膚から吸収され全身のコリンエステラーゼ活性を低下させ、アセチルコリンを過剰に蓄積させる。縮瞳、悪心、嘔吐、鼻漏、胸部絞扼感、不規則呼吸、心拍数異常などをきたし重症の場合痙攣、昏睡状態から死亡することもある。治療には大量の硫酸アトロピン、PAMなどを使用する。

 サクシニルコリン
  別名塩化スキサメトニウム。脱分極性筋弛緩薬。使用時に筋線維束攣縮を認め(効果発現約1分)、血清中のコリンエステラーゼで分解される(持続時間5分)。脱分極により血清K値が上昇する。低体温、高K血症で作用増強し作用時間も延長する。火傷、異型コリンエステラーゼ症、サリン中毒などでは遷延性無呼吸を起こすので使用禁忌。眼圧上昇、悪性高熱などに注意が必要。


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 (3)シアン化合物(シアン化水素、塩化シアン)
  苦いア−モンド臭があり急激な呼吸困難をきたす。

 【治療】
  人口呼吸、副腎皮質ホルモン吸入
  亜硝酸アミル吸入、亜硝酸ナトリウム・チオ硫酸ナトリウムの静注

 (4)精神無能力化剤
  BZ(強力),LSDなど戦列の離脱を目的として使われる。

  BZは白色の粉末でエアロゾルとして使用され、皮膚からも吸収される。
  暴露後1〜数時間で発症し2〜4日で回復。
  嘔吐、頭痛、めまい、活動の鈍重化→陶酔感、絶望感、幻覚、狂気的行動

 【対処方法】武器を取り上げ拘束する。

 (5)窒息剤
  ホスゲン(COCl2 )、塩素(Cl2 )

  (肺水腫  )をきたし窒息させる。ホスゲンは無色のガスで刈草臭。

  流涙→咳嗽→窒息感→胸部圧迫感・疼痛→悪心・嘔吐→血液濃縮、酸素欠乏、循環不全
  防毒マスクで予防可能

 【治療】
  副腎皮質ホルモンの吸入、体温の保護、絶対安静、酸素吸入、コデイン

 (6)(トリカブト  )中毒
  多彩な不整脈を示すアコニチン系アルカロイドを含むキンポウゲ科の植物
  アコニチンの致死量2mg,トリカブトの葉の致死量は1g
  (根 )>(花 )>葉>茎、加熱処理にて加水分解しやや弱毒化。

 (7)ヒ化水素(アルシン、AsH3 )
  半導体製造などで生じる猛毒物質。

  溶血をおこし貧血、ヘモグロビン尿症、腎不全、肺水腫をきたす。

 (8)その他
  フグ毒(成分は(テトロドトキシン  ))、キノコ、一酸化炭素、有機リン剤、パラコートなどは来年度は出題されにくくなっている。

堯951117足立

                                 

水銀

  「水銀」は運動より感覚障害優位←→「鉛」は運動神経優位

 ■金属水銀・・・体温計の、ころころ転がる水銀
  腸管吸収無く飲んでも心配無い。
  蛍光灯など金属フュ−ム(蒸気)の経気道吸入が危険。金の精練、メッキ。

 【急性中毒】
  気管支炎、肺炎→咳嗽、呼吸困難

【慢性中毒】
   手指振戦、人格変化、易怒性、記憶障害、不眠

 ■無機水銀・・・Hg++(水銀イオン)溶液
 昔「昇汞(消毒薬)HgCl2 」中毒として知られた

 【急性中毒】
  腹痛、嘔吐、下痢、尿毒症、ショック死

【慢性中毒】
  腎障害・・・長期に残る

 ■経気道、経口、経皮的侵入あり。
  血中、尿中水銀量の測定。正常でも否定できない。

 【治療】
  急性期→BAL 副作用として感覚異常、発熱、嘔吐、血圧↑、腎障害など
  慢性期→D−ペニシラミンを末梢血、血小板、尿蛋白に注意しつつ数か月投与。
  Ca-EDTAは適応なし

 ■有機水銀・・・メチル水銀
  水俣病(Hunter-Russell症候群)
  食物連鎖による蓄積、生物学的濃縮→肝、腎、神経組織に蓄積
  熊本・鹿児島県の不知火海沿岸、新潟県阿賀野川下流

 【症状】
  小脳性運動失調、言語障害、求心性視野狭窄(後頭葉細胞脱落)、
  聴力障害、感覚障害、眼球運動障害、錐体外路障害

 【検査】血中、尿中、頭髪、臍帯の水銀測定

 【治療】D−ペニシラミン

鉛中毒

 ■有機の四エチル鉛は経皮吸収し1〜5日の潜伏期を経て中枢神経症状。
  アンチノック剤入りのハイオクガソリン(世界的に禁止)タンク(ボストン丸事件)
  →■とちがい尿中鉛排泄量のみが増加し下記の諸検査は増加しない!。

 ■無機鉛:鉛蓄電池など。

 【急性中毒】
  食欲不振、下痢、便秘、頭痛、口中異味、筋力低下、筋・関節痛、しびれ感、不眠
  小児では鉛脳症(脳炎症状、痙攣、失調など)

 【慢性中毒】
  運動優位の多発性神経炎→橈骨神経麻痺 (wrist drop)
  視神経、動眼神経麻痺
  痴呆,米国での小児のペンキによる鉛脳症(知能発達障害)

 【重症中毒】
  ●鉛縁(lead line,歯齦の青黒色線)
  ●腹部仙痛(lead colic):腸管の痙縮性収縮→治療にはグルコン酸Caの静注

 【検査所見】
  ●血中鉛増加・・・・・・・・・・水銀とちがい毛髪中の濃度は用いられない。
   成人・・・50〜70μg/dl以上(正常20μg/dl)
   小児・・・25μg/dl以上
  ●好塩基斑点赤血球、網状赤血球の増加を伴う正〜小球性、低色素性貧血(lead pallor)・末梢赤血球中のデルタアミノレブリン酸脱水素酵素(ALA−D)の活性低下
  →貧血の原因で早期より出現
  ●尿中ALA(δ-aminolevulin酸)とコプロポルフィリンの増加
  ●赤血球遊離プロトポルフィリンの増加
  ●長管骨骨端の陰影増強(鉛線)
  ●MCV↓

 【治療】      副作用
  EDTA     ネフローゼ、吐き気
  BAL      感覚異常、発熱、嘔吐、血圧↑、腎障害
  ペニシラミン   白血球減少、血小板減少

 Cd(カドミウム)
 【急性中毒】
  フュ−ム吸入後 4〜24時間後に
  咽頭痛、発熱、化学肺臓炎、肺水腫→間質性肺炎、肺線維症

 【慢性中毒】
  肺気腫
  腎近位尿細管再吸収障害・・・→尿中β2 ミクログロブリン、RBPの増加!
  骨障害
  カドミウム黄色環(歯根部の硫化カドミウム沈着)

 【検査】
  ●血中、尿中カドミウム10μg/l以上
  ●尿中β2 ミクログロブリンの増加

 【治療】 キレ−ト剤は使わない。

 Mn(マンガン)
     暴露 3〜10か月で筋強剛などの錐体外路症状(パ−キンソ症候群)

 Tl(タリウム)
     殺鼠剤→脱毛、神経症状

 Cr(クロム)
  メッキなどで使用

  クロム潰瘍(皮膚)
  無痛性鼻中隔穿孔(「クロム」と「ヒソ」)
  アレルギ−性皮膚炎
  クロム喘息
  肺癌、上気道発癌

 As(ヒ素)
  やせ
  慢性中毒で無痛性鼻中隔穿孔、肺癌、
  爪の白線状(Mees線)
  皮膚の「ヒ素まけ」→褐色色素沈着→Bowen病(角化症)→皮膚癌
  多発性神経炎(感覚障害優位)

  ●ヒ化水素(アルシン、AsH3 )は半導体製造などで生じる猛毒物質。
  溶血をおこし貧血、ヘモグロビン尿症、腎不全、肺水腫をきたす。

 【治療】
  Dペニシラミン、BAL

 Be(ベリリウム)
  軽金属
  慢性ベリリウム肺(びまん性上皮性類上皮細胞性肉芽腫性)

 金属熱(フュ−ム)
  亜鉛>>スズ、銅、カドミウム、水銀 (真鍮は「銅」と「亜鉛」の合金)
  溶融フュ−ム吸入数時間〜12時間後に感冒様症状。
  変性蛋白によるアレルギ−反応でWBC↑。 治療は水分補給、保温。
  呼吸器系発癌→クロム、ひ素、ニッケル

 Ni(ニッケル)
     カルボニルニッケル→肺癌

堯951117足立

                                  

細菌性食中毒

 グラム陽性球菌
  黄色ブドウ球菌 →手作りのおにぎり、弁当、サンドイッチ    3時間

 グラム陽性桿菌
  ボツリヌス菌  →ビン詰め、真空パック、いずし、蜂蜜    12時間
          複視、散瞳、呼吸筋麻痺 (毒素は易熱性、発熱症状なし)

 グラム陰性桿菌(ウェルシュ菌はグラム陽性桿菌)
  腸炎ビブリオ  →刺身、野菜の漬物(夏に集中)        5時間
  病原性大腸菌  →井戸水、HUS 12時間
  ウェルシュ菌  →前の晩のス−プ、シチュ−(発熱症状なし) 12時間
  サルモネラ菌  →鳥肉、生卵、マヨネ−ズ、食肉、ミドリガメ 18時間
  エルシニア   →食肉、低温発育、犬からも感染         5日
  カンピロバクタ−→生乳、生肉(マクロライドかホスホマイシン)  5日

 【治療】
  主に輸液・対症療法。カンピロバクタ−以外はニュ−キノロン系抗菌剤。
  ボツリヌスは抗毒素血清あり。
  フグ毒には抗毒素血清なし。

 有機溶剤   ●ベンゼン→再生不良性貧血、白血病、尿中フェノ−ル測定、ゴムのり
  ●トルエン→依存性あり、尿中馬尿酸測定、シンナ−遊び
  ●ノルマルヘキサン→多発性神経炎、シンナ−遊び
  ●トリクロルエチレン→ドライクリ−ニング、金属の脱脂洗浄、
            心筋・肝障害、尿中トリクロル酢酸
  ●二硫化炭素→精神障害、レ−ヨン工場、カ−バメイトでも生じる

堯951121足立


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