ものづくり 番外編  プラレールのアンパンマン号

今までにない製作記事です
 今回の製作記事は,子どもがいない人にとっては何を作っているのだということになるので,簡単に背景からふれておきます。
 まず,プラレールとはトミーから発売している鉄道のおもちゃのことで,玩具店に行くとけっこうなコーナーがあることから,子どもの間ではかなり売れている模様です。私の子どもは買わなかったのでよく分かりませんが,私の甥っ子などはかなりの量を持っています。今回製作することとなった真っ白なモデルは,これで好きなものを作れ(たぶん大人が)といったことでしょうから,気に入った鉄道の車両を自作をしている人もいそうです。
 アンパンマン号とはジャムおじさんの作ったアンパンマンの顔に似せた多目的ビークルで,空も海も進める優れた乗り物です。甥っ子のために,これに似せて塗装をして欲しいと妹に頼まれ,白い車両を3両渡されました。注文は先頭がアンパンマン号,最後尾がモグリン?ということでした。いっしょに渡された「アンパンマンの乗り物大集合」を見て,モグリンとはバイキンマンの作った地底走行メカであることが判明しました。

シールの製作
 目玉などのマーキングは子どもが遊ぶことを考えてシールで作ることにしました。シールの原版を作るのに使用したソフトはジャストシステムの「花子」です。なぜ花子を選んだのかというと,ミラーというコピーを使って,左右の鏡面コピーが簡単にできるからです。花子を使って目や鼻や口などを黒い線で作図していきました。作図が終わったらファイルを保存して,そのファイルを花子フォトレタッチで開き,着色をしていきます。その後,プラレールの大きさに合わせて原版を縮小して印刷します。サンワサプライのプリクラ風シールのフリーカットタイプに印刷をしました。また,電車の窓をイメージして,同社のプリクラ風シール・角丸16面にインターネットから得たアンパンマンと仲間たちの画像を印刷しました。右に示したのがが,自作したシールです。

モグリンの工作
 先頭車両のアンパンマン号はモーターと電池を搭載するため,車体のカバーを削ったりパテを盛ったりすると,電池交換でカバーを外す時にその部分が壊れたりすることが考えられました。そのため,塗装だけで雰囲気を出そうと決めました。
 一方,モグリンはというと,鼻のあたりに見事にドリルがはえています。この再現はシールでは無理ということで,適当なパーツを探しました。息子の古いおもちゃ箱からドリルのパーツを発見し,これを使ってドリルを作ろうと試みました。このパーツはメッキされていたので,メッキは紙ヤスリで削り落としました。これは,メッキの上から塗装すると,メッキがはがれて仕上がりが汚くなるのを防ぐためです。これを車両の先端をカットして接着します。子どもが遊ぶことを考え,強度をかせぐために木ねじ式にしました。木ねじをガスバーナーであぶって,プラスチック製のドリルの後ろに押し当てて作りました。その後,瞬間接着剤で固めてあります。ドリルが固定できたら,さらにまわりにパテを盛って車体とドリルがスムーズにつながるように成形します。
 このパテですが,プラモデルなどに使うパテは,大きく分けて2種類あって,ラッカーパテとエポキシパテに分かれます。ラッカーパテは有機溶剤が蒸発して固まるために肉やせ(パテが固まると容積が縮むこと)がおきやすいのですが,切削性には優れています。一方エポキシパテは化学反応で固まるため肉やせはしないのですが,切削性は劣ります。今回は,ラッカーパテを用いて作業を行いました。タミヤパテを用いましたが,この製品は肉やせも少なく,きめ細かいのでお勧めです。

塗装と仕上げ
 まずは,サーフェイサーを用いて下塗りをします。その後本塗装に移ります。使用したカラーはグンゼ産業のミスターカラーという製品です。塗膜が強いのが選択した理由です。アンパンマン号の色は,ウッドブラウンに黄色を混ぜて作りました。モグリンの色は白にパープルと青を混ぜて作りました。薄い色を作る時には,白にパープルを混ぜるという手順でやらないとうまくいきません。パープルに白を混ぜて薄い色を作ろうとすれば,かなりの白が必要となります。これらの色は先に作ったシールの色を見本に作っていきます。一般的に乾燥した後の方が色調が暗くなるので注意が必要です。アンパンマン号の茶色はイメージしていた色よりかなり暗くなってしまい,シールの色とだいぶ差が出てしまいました。
 私は細かいパーツを除いて塗装にはエアブラシを使用します。今回使用したミスターカラーをエアブラシで使う場合,約1:1の割合で市販の塗料を専用の薄め液で薄めて使うのですが,季節によって薄め液の量は調節してやります。夏場は乾燥が速いので薄め液を多めにします。場合によってはリターダーという乾燥を遅らせる溶剤を混ぜます。今回は冬場に作ったので薄め液を少なめにします。この方がタレが起こりにくく,いっぺんに厚塗りがききます。
 塗装が乾いたらシールを貼っていきます。あくまでも電車ですから,ちゃんと窓風に作ったシールも貼りました。こうして出来上がった作品を見ますと,モグリンは気に入っていますが,アンパンマン号の方はちょっと貧相になってしまいました。流線型の特急電車を丸顔のアンパンマン号にするのはいささか無理があったようです。

写真1
これが問題の白いプラレール
写真2
左に見えるのがドリルのパーツ

写真1
 妹から渡された白いプラレール。左側の車両にはモーターを回すためのスイッチが見える。このようなものがあるとは知らなかった。
写真2
 シールをプリンターで印刷したところ。私が使っているプリンターはEPSONのPM−890C。左の上の輝いているのが元々のドリルのパーツ。その下の白っぽいものはドリルを短く加工してメッキをはがした状態のもの。

写真3
鼻を切ってドリルをつけるぞ
写真4
灰色のところがパテを盛った部分

写真3
 ドリルの裏からバーナーで熱した木ねじを押し込む。その後,瞬間接着剤を流し固着する。これでドリルねじの完成。プラレールの先端を右の方に見えるレザーソウで切断し,ドリルを付ける。
写真4
 ドリルに合わせてパテを盛る。パテが乾燥したら,ボディーラインが一体になるように紙ヤスリで成形する。この時,写真3で良く分かる左右のエラのような出っ張りは,気に入らないので削ってしまった。