ものづくり 模型編 F6F ヘルキャット
キットについて
現在手に入る1/48・ヘルキャットのキットの一押しは,ハセガワのキットだと思います。私の部屋の棚にもあるこのキットを見返してみると,胴体の外板の重なり具合の表現などは秀逸です。一方値段の方もそれなりで,2400円です。今回紹介するのは,同じ1/48のオオタキ製のキットで,当時の売価(20年くらい前の話)は500円でした。オオタキというメーカーは現在は存在しないと思いますが,1/48の飛行機の良質なキットを多数ラインナップしていました。オオタキがつぶれると聞いた時,米海軍機ファンの私としては,このヘルキャットとコルセアを3機ずつ買ったものでした。しかし,その金型はアリイというメーカーに引き取られ,現在はそこから手にはいるのではないかと思います。
オオタキのキットでハセガワと遜色ないものを仕上げる。1900円も安くて,手を加える箇所は多いわけですから楽しみ?も増える。こんな模型冥利に尽きることは無いでしょう。馬鹿なことを言っていますが,オオタキのキットもアウトラインのとらえ方には問題は無いと思います。その差は,コクピットやディティールの精密さの違いです。細部についてははある程度エッチングパーツを用いればグレードアップできます。もっとも,エッチングパーツに1000円かければ,両社の値段の差は縮まってしまいますが。
ただ考えてもらいたいのは,細部のパーツに後からお金をかけるのはいいとして,キットそのものの値段はもう少し下がらないものでしょうか。アウトラインはメーカーでしっかり押さえて,細かいところは自分たちで何とかしろくらいの,安い価格帯のキットがあってもいいように思います。以前,中学校で模型工作クラブの顧問をしていたときに感じたのですが,最近の中学生は飛行機のキットを作らなくなりました。より精密なキットを送り出したい,その結果,値段も高くなるというメーカーの事情は分かりますが,それが飛行機モデルの垣根を高くしているようにも感じます。30年以上も前の話になってしまいますが,100円握りしめて模型屋に行って1/72の飛行機を買ったあのころがなつかしい。(ちなみに最初に買ったのは,忘れもしないフジミのコルセアです。)
工作のポイント
「キットについて」の項でも触れましたが,オオタキとハセガワのキットの大きな差は,細部の精密さ,特にコクピット周りの差と言えると思います。これを補う手っ取り早い方法としては,市販のエッチングパーツを使うというのが挙げられます。今回使用したパーツは,エデュアルドのエッチングパーツです。私が購入したときの価格は1,100円でした。このメーカーのパーツの材質は比較的柔らかく,加工は容易です。最新のキットを組むならいざ知らず,古いキットを組む場合には,大きな力となってくれます。
次に,写真では分かりづらいかもしれませんが,全面にリベットの跡を再現しています。リベットの跡の再現は,けがき針を使って行います。リベットのラインがずれないように,定規を当てて,慎重に作業します。けがき針でリベットを打った後は,穴の周りが少し盛り上がるので,最後に耐水ペーパーで軽くサンディングして平らにします。この作業は,必ず水研ぎ(中性洗剤を混ぜた水で)にします。そうしないと,削ったかすでリベットの穴が埋まってしまいます。
今回の塗装は,トライカラースキームでいきたかったので,資料を参考に,このような塗装となりました。写真の赤縁付きの国籍マークは,スーパースケールより市販されています。大きさの異なった国籍マークのセットですので,いろいろな機に利用できます。
参考資料
・ 世界の傑作機 No.71 グラマン F6F ヘルキャット 文林堂
同シリーズのNo.35でF4F,F6F,F8Fを1冊の本で取り上げていましたが,そのパワーアップ版です。カラー写真や,塗装図面などが目を引きます。
・ Detail & Scale VOL.26 F6F ヘルキャット(洋書)
ディテール アンド スケール シリーズの1冊です。今回の塗装はこの表紙を飾っている写真を参考に仕上げました。
・ 丸メカニック No.40 グラマンF6Fヘルキャット
イラストを交えた細部の解説は秀逸です。その後,コルセアと抱き合わせになって出版されたり,書名は同一ではありませんがハードカバーにもなっていると思います。
有名機ですので,この他にもスコードロンのインアクションシリーズやエアロ・ディティールなどからも資料が出されています。