ものづくり 木材編  プランター

工作のおもしろさ
 今回紹介するのはプランターです。材料は杉の板材を使っています。杉材は値段も比較的安く,ホームセンターなどでも手に入りやすい国産材の一つです。ホームセンターでは,外国産の木材が幅を利かせる中で,一人健闘しているといったところでしょうか。近年では花粉症との関係でいい顔をしない人も多いかもしれません。
 ただ,安く売られているものには節も多く,手かんなで仕上げるのは一苦労です。しかし,杉ならではという面白い仕上げ方法もあります。表面を焦がして,その後,磨いていくことで木目を際だたせる「焼き杉」という技法がそれです。今回は,焼き杉について詳しく述べてみたいと思います。 

工作のポイント
 御存じのように,杉材は春材と夏材(注:春材は年輪の白い部分,夏材は年輪の色の濃い部分と考えてください)の材質の差が激しく,この性質を利用して,焼き杉という技法が用いられることがあります。民芸品などで一度は目にされている人が多いと思います。

1 杉を焼く
 まず,杉材の表面をガスバーナーであぶります。私が用いたバーナーは,家庭用のガスコンロのボンベが使えるバーナーで,2,000円を切るくらいの価格で,ホームセンターで購入できるものです。ガスボンベ代も非常に安く,経済的で火力も十分です。ここで注意しなくてはならないのは,木材の角ほど燃えやすいので,火であぶっているときに,角が燃え落ちないようにすることです。板材の表面については少し焦げたくらいでは,全く問題ありません。

2 表面を磨く
次に焦げた木材の表面をスチールウールなどを使って磨きます。この作業を行うことによって,柔らかい春材の部分が多く削られ,夏材が引き立ちます。木目に沿って磨いていくと傷が目立たないと思います。この作業に用いるスチールウールは,台所用の調理器具磨き用で十分です。(ただしあらかじめ洗剤の付着しているものは使ってはだめです)研磨に用いるものは,紙ヤスリなどよりはスチールウールの方がいいと思います。理由はスチールウールの方が曲面にもなじみ,木目の凹凸を自然に強調できるからです。この作業は手が汚れるので,軍手をはめるとよいと思います。

3 最後の仕上げ
 このままですと完成後に触ったときに手がススで黒くなってしまいます。このまま透明なニスをかけるという方法もありますが,今回は自然な風合いを出すために,ワックス仕上げを用いています。ワックス仕上げに使うワックスは,木材の床用の半固形ワックスで十分です。布にワックスを軽く取り,表面に磨き込んでいきます。

 簡単に出来て,しかも重厚な風合いが醸し出せる焼き杉に,皆さんも挑戦してみてください。