ものづくり 木材編  小さなイス

工作のおもしろさ
 私の作った木製品の中で断然多いのがイスです。今回は釣りなどにも使えそうな小さなイスの紹介です。長さ2m,幅25cmの桧の集成材を用いて作っています。座板を二枚使うことで,板の幅よりも幅のある座面を作り上げています。

工作のポイント
● 集成材のかんながけは難しい
 今回用いた集成材という材料は一定幅の木材を接着剤で張り合わせて,大きな材料にしているもので,最近では例えばテーブルの天板とか,広い面積を必要とするような板に多く用いられています。また,住宅の柱などにも用いられることもあり,表面には薄い化粧板が貼ってあって見分けがつきづらいものの,内部は細い角材を貼り合わせて太い角材としている集成材であるということはよくあります。(私の家もそうです)細い木を充分乾燥させてから接着して使いますので,くるいの少ない材料が出来上がるのが長所です。ただ,板の広い面のかんながけ(平削り)に関しては,それぞれの細木の繊維の方向まで考えて接着しているわけではないので,きちんとかんなの調整をしないと,うまく削れないというのが実情です。この辺はオービルサンダーを使って,機械で磨いてしまった方が無難に仕上がると思います・
● 丸い穴の開け方
 背もたれの部分には丸い穴をあけています。ある程度大きな丸い穴は,ホールソーという丸いのこぎりか,自在ギリという道具を卓上ボール板にセットして加工します。今回は,自在ギリを用いています。加工のポイントは,一方向から穴をあけようとすると,貫通するときに割れが生じやすいので,穴の深さが木の厚さの半分程度まで達したら,反対の面からあけて,穴を貫通させるのです。どちらの工具も中心はドリルのようになっていますので,中心が板を貫通して,小さい穴ができれば,反対側にあいた小さな穴を利用して,穴をずらさずにあけることは簡単です。
● 組み立ては釘が中心です
 組み立ては釘が中心です。写真では分かりづらいのですが,隠し釘という技法を使っています。くぎを打つ場所を決めたなら,くぎの頭がすっぽり入るくらいの直径の穴をドリルを使ってあけてやります。深さは5mmくらいでいいと思います。その穴にくぎを打っていって,最後に釘締めという道具を使って,くぎの頭が穴の底までとどくように打ち込みます。穴の直径にあった木の丸棒をボンドを付けて釘の上から穴に打ち込み,飛び出した棒はのこぎりで切り取り,かんなやヤスリで平らにすれば出来上がりです。