ものづくり 木材編 丸太で作るイス
工作のおもしろさ
・ 間伐材で作ったイスを紹介します。ヒノキの間伐材で作ったイスですが,これだけの大きさのものを作っても,材料費は3,000円かかりませんでした。森林を育成する場合,初めはたくさんの苗木を植えて,成長を競わせるのですが,やがて,枝がぶつかり合うほどに生長すると間引きが行われます。そこで生じた小径木を間伐材と呼んでいます。間伐材を用いると経済的で,しかもログハウスみたいなイスが出来上がります。
今回使用した間伐材には当然,樹皮がついており,それをはがしていくことから始めました。それ自体,なかなか楽しい作業ですが,この工程を省略するために,高圧の水流で樹皮をあらかじめはがしてしまった材料も手に入るようです。当然,湿った材料となっていますので,十分乾燥させることが必要です。また,間伐材の半割を多く用いましたが,半割にしておくと乾燥時間が短くてすみ,丸太に割れが生じにくというメリットもあります。
工作のポイント
・ デザイン上,座板の部分に脚をつけていくという構造になりますので,座板作りから始めます。間伐材の半割の両サイドを削り,4〜5cmの接着面を作ります。まず,半割の丸太の平面の部分を手押しかんな盤を使って平らに削ります。次に,平らに削った面を基準にして,帯鋸盤で片側のサイドを切断し,手押しかんな盤をかけて平面を出します。続いて,出来上がった平面を基準に,帯鋸盤で平行にもう一面を切断します。最後に,切断した面を手押しかんな盤でかけて平らにします。ちょっと特殊な機械を使って加工するのが,難点ではあります。
・こうして作った1面だけが曲面の角材?を,木工用ボンドで5枚接着して座板を作りますが,接着しただけでは強度が足りません。実は同じようなイスを以前,杉で作ったことがあるのですが,座ったら割れてしまいました。そこで,接合する角材同士の重なる位置に角のみ盤で穴をあけ,そこに板を差し込んで,ダボ継ぎのようにしています。
・ このようにして作った座板に脚を取り付けました。脚はコーススレッドで留めています。足の支えには小径の間伐材を利用してみました。最後に全体をサンディングして仕上げています。塗装はヒノキの肌触りを生かすため,特に行っていません。