ものづくり 模型編  F−11F タイガー

キットについて
・ アメリカ海軍艦上戦闘機F−11Fタイガーの製作記事です。タイガーの1/72のキットは私の知る限りハセガワから出されているだけではないでしょうか。しかし,ハセガワ製ということで,安心して組むことのできるキットです。比較的古いキットですから何回か箱が変わっており,初期の売りはVF−21”MACH BUSTERS”のシャークマウスのデカールでしたが,その後VF−33”ASTRONAUTS”のデカールの加わったパッケージも売られています。しかし,タイガーの檜舞台での活躍はなんといっても,ブルーエンジェルスでの12シーズンに及ぶアクロバット飛行ではないでしょうか。ブルーズのキットも別の箱として売られていましたので,今回はそちらを製作いたしました。

工作のポイント
・ キットは現在のハセガワ・スタンダードともいえる繊細な凹モールド以前の作であり,これまた繊細な凸モールドで整形されています。しかし,アクロバット機にはこの方が好都合?で,元々ピカピカに仕上げるつもりですから,動翼部を除いて,すべてモールドは削り落としてしまいます。特に,大きく手直しする箇所はありませんが,主脚の角度がうまく決まらないのがこのキットの難しいところではないでしょうか。また,完成してから気づいたのですが,水平尾翼の取り付け部の高さが左右で若干異なるということが認められました。
・ 写真でお気づきの方がいるかもしれませんが,このタイガーは初期のショートノーズタイプ(機首が短いタイプ)に改造してあります。個人的にはロングノーズの方が好きなのですが,簡単な改造で,趣の違うタイガーを作れるので,チャレンジしてみました。機体の改造は,機首をプラスチックの固まりから新たに削りだし,主翼の付け根前縁の小さなフィレットを削って,主翼が一直線になるように整形することぐらいです。この他には,アクロバット機特有の装備である,スモークを出すためのパイプを,機体左側に真鍮線を使って追加したことぐらいです。
・ 塗装は,まず翼端のイエローを塗装します。黄色など隠ぺい力の弱い色を塗装する場合,必ず下塗りとして白を用いておきます。次にイエローをマスキングし,ダークブルーをスプレーし,デカールを貼ります。エアインテーク脇のBLUE ANGELSのロゴは,ショートノーズのタイガーに限って,伝統的な筆記体のものではなく,角張った書体を用いています。この部分は手書きとします。また,胴体後方に描かれたNAVYの文字も,ロングノーズのタイガーではU.S.NAVYとなっていて,文字の大きさは一回り小さなものが使われています。この部分のデカールは,同じブルーズのパンサーあたりのものが,大きさ的に手頃かと思います。
・ 最後はつや出しです。アクロバット機はピカピカに仕上げなければなりません。デカールが十分乾くのを待って,クリアーを少しずつ,重ね塗りしていきます。一度に厚く塗らずに,薄く塗って乾いたらまた薄く塗るというようにして,デカールの上にクリアーの塗膜を作っていきます。(焦って1回で仕上げようとクリアを厚く塗ると,デカールにしわが寄ったりしてしまうことがあります)その後,食器乾燥機の中で一晩放置します。(こたつの中でもいいかもしれませんが,踏まれたらアウトです。)塗膜が完全に固まったら,最後に軽く水研ぎします。その後コンパウンドを使って磨いてやります。私はアクリルサンデーという,反液体状の研磨剤を主に使用しています。

参考資料
・ 世界の傑作機 No.8 グラマン F−11F タイガー  文林堂
 1/72の図面が掲載されており,ブルーエンジェルスについても特別のページが割かれています。
・ Detail & Scale VOL.17 F−11F Tiger(洋書)
 ディテール アンド スケール シリーズの1冊です。スーパー タイガーに関するページも多く,改造を考えている人にはお勧めです。
・ エアワールド 1985年別冊 ブルーエンジェルス
 基本的にはA−4スカイホーク時代のブルーズを扱った本ですが,それ以前の使用機についても,よく紹介されています。