ものづくり 模型編 F3H DEMON
工作のおもしろさ
・ プラスチックモデルは,誰が作っても同じものができる没個性的なものと評する人もいます。
でも,決してそんなことはなくて,作者の腕は必ず作品に反映されます。ただ,最近のキットはできがよくて,そのまま組んで,着色すればそれなりのものができるのも事実です。ベテランの腕を発揮する場が少なくなってきている昨今のキットですが,このEMHAR社のF3Hは,遺憾なくその腕を発揮できる好キット?です。アメリカ海軍艦載機のコレクターなら是非そろえたいF3Hデモンを,インジェクションキットで発売してくれただけでも感謝しようではありませんか。
・ 実機は1950年代半ばから60年代前半にかけて活躍した,アメリカ海軍の艦上戦闘機です。同じマクダネル社のF4ファントムは有名ですが,その兄貴分にあたるデモンにも面影を見ることができます。デモンからファントムに乗り換えた飛行隊も多く,両方を作り比べるのもおもしろいと思います。
工作のポイント
・ キットはEMHAR社の1/72のキットです。なかなかマイナーな機体を出してくれるメー
カーです。もっとも,田宮模型でF4Dスカイレイを出すような時代ですから,キットにしたい機体も限られてきているのかもしれません。
・ まずそろえたいのが,エアウェーブのエッチングパーツ。パーツナンバーはAC7260とAC7262です。このパーツを使うことにより,コックピットや細部が生まれ変わります。また,キットのデカールも印刷がシャープではないので,スーパースケール・デカールを使用しています。これだけそろえるのに約3,500円の出費は覚悟しなくてはなりません。
・ キットのアウトラインのとらえ方は,機首の部分が多少短いのを除けばそれほど悪くはありません。ただ惜しむらくは各パネルラインを再現するために彫られた溝で,全部パテで埋め直して
Pカッターで彫り直しています。機首を延長するのと,エアインテークから入る空気がエンジンまでとどくように,エアインテーク部分を開口してやります。
・ 後は,ひたすら写真とにらめっこ。とにかくシャープにするために,外翼の境界層板などもプラ板で作り直すといいと思います。塗装はあれこれ迷いましたが,VF−14トップハッターズの機体にしました。
参考資料
・ 世界の傑作機 No.46 マクダネルF3Hデモン 文林堂
日本語で書かれているから読みやすいです。価格も手ごろで(780円),全飛行隊の塗装とマー
キングなどにもページが割かれているのはモデラー好みといえます。これで1/72の図面がついていれば言うことなしですが,本の大きさから考えると無理でしょうか。
・ NAVAL FIGHTERS No.12 MCDONNELL F3H DEMON(洋書)
ネーバルファイターシリーズの1冊で,コックピットの写真や,実機のマニュアルなどから取った図面が豊富な本です。各飛行隊の解説なども掲載されています。今回挙げた3冊の内でどれか1冊を購入するとなれば,この本でしょうか。
・ F3H DEMON IN ACTION(洋書)
スコードロン社のイン=アクションシリーズのNo.140。工場の生産ラインでの写真など,他の本に見られない写真も掲載しています。