Welcome to GREEN TEA TIME

リクエストにお応えしました!
特別企画!リサイクル探偵団!

「イギリスではゴミの収集とか家庭ゴミの問題とかどうなっているんでしょう?おしえてほしいなあ。日本でもようやく環境に対する意識があがりつつある?気がするので、海外の取り組みが(日常レベルでの)日本とどう違うのか紹介してもらえれば面白いと思います。」

という千葉県のDさんのリクエストにお応えして、調べてみました。

拙宅は、ロンドンの中心部のCity of Westminster区に位置しており、下記のようなリサイクルシステムがあります:

区内随所(地下鉄の駅の出口など)にリサイクル・バンクとよばれるプラスチック製の大きな箱があり、指定された材料の廃棄物をガンガン投げ入れる。(上の写真は拙宅最寄り駅前に並ぶリサイクル・バンク)廃棄物の指定は:

です。

去年、ビデオ番組づくりの学校に通っていた野鳥の師匠ウェンさんが、リサイクルに関する番組をつくることになり、City of Westminster区に電話で問い合わせたところ、「プラスチック類のリサイクルはやっていない」という答えだったそうです。加大バークレー校の修士課程に通っていた彼女が英語を聞き間違えることは考えられないので、この情報は200%正しい。

でも、それは去年のことなので、もしかすると今年になってから他のゴミのリサイクルも始まっているかもしれない!と思い、区の環境担当者に電話をかけたのですが、ラインが留守電になっていたため、メッセージとこちらの電話番号をはっきり録音して、電話を待ったのですが、かかってきませんでした。イギリスではよくあることです。(写真はWestminster区の新聞・雑誌等用ボックス)

しかしながら、ウェンさんは、隣接するCamden区に遥かに充実したリサイクルシステムがあることを調べ、NYに旅立つ前にパンフレットを残してくれました(右写真参照)。それに基づいて、現在拙宅では、ゴミのリサイクルをしております。

まず、びん・かん・古新聞類については、Westminster区と同様に、リサイクル・バンクが区内の随所にあります。Camden区では、トイレットペーパーの芯やボール紙なども紙類としてリサイクルできます。

その他のゴミで下記のものは、地下鉄Northern LineのKentish Town駅から600〜700mの場所にあるリサイクリング・センターに持っていきます:

一方、以前住んでいた神奈川県横浜市では、私は下記のようなリサイクル生活をしていました:

なお、現在横浜市では小学校などでPETボトルの回収をおこなっているそうです。

日本にいた時と現在のリサイクル生活を比較すると、次のようになります:

イギリスのシステムのいい点:

イギリスのシステムで戸惑う点:

今回調べるにあたり、家庭用乾電池の引き取りを行っているかどうかを、Camden区のリサイクル・センターに問い合わせたところ、以下のような顛末となりました:
(1)まず、リサイクル・センターの営業時間内に電話をしたところ、留守電になっていた。
(2)留守電のメッセージにあったリサイクルの問い合わせ先の電話番号に電話をしたところ、”You can dump anything down there."(なんでもリサイクル・センターに持って行って捨てていい)と言われた。
(3)投げやりな応答に係員のモラルの低さを感じた(よくあることです)ので、再度同じ番号に電話をした。
(4)別の係員が出た。今度は態度がよさそうだ。
(5)乾電池のことを聞くと、「クルマのバッテリーは引き取り可能だが、家庭用乾電池はここではわからないので、リサイクル・センター((1)で留守電になっていたところ)に問い合わせてくれと言われた。
(6)(1)に電話しても留守電なので、やんなったので電話をかけるのをやめた。

その後、同リサイクル・センターにリサイクルゴミを捨てに行った際、係員に聞いたところ、「乾電池は普通のゴミといっしょに捨ててくれ」と言われました。
その日は日曜日で、時間は丁度正午前でしたが、ゴミを捨てに来た人たちのクルマが入れかわり立ちかわり常時6〜8台ほど停まっている状況でした。

クルマの種類で圧倒的に多かったのはVW(主にGolf。ちなみにウチもVWだ!)。その他はVolvo(エステート(ワゴン)タイプ)、古いBMW、日米欧の大衆車(NissanのMicra(=March)、Ford車、ルノーやプジョーなどの大陸車など)でした。
これに対してメルセデスやジャガー、新しいBMWは見かけませんでした。このことから、わざわざクルマで捨てに来る人たちの社会的階層は、ミドルクラス(Volvoエステート)から下ということがうかがえ、ロウアー・ミドルクラス(中の下)あたりが多い感じがします。(追記:1999年4月上旬に同リサイクル・センターに行ったところ、なんと、メルセデスのSクラス(?丸い目のやつ)のエステートタイプが来ていた!う〜、すごくPosh!エステートなクルマとリサイクル意識に何やら関係があるのでは?)

さて総括ですが、新聞・ビン・かんはどんどん駅前で捨てられるけど、他のものはクルマに積んでリサイクル・センターに持っていき、自分で所定のコーナーにそれぞれ仕分けして捨てなければならないので、個人的には日本にいた時のシステムのほうがやり易いと思っています。特に、日本では大型スーパーなどにリサイクル箱があるので、買い物に行ったついでに捨てられるという便利さがあります。ロンドンでは通常TESCOという国内最大級のスーパー(イトーヨーカドーとかジャスコ等に相当)に買い物に行きますが、プラスチックトレーなどのリサイクル用の箱は設置されていません。

イギリスのことをことさら悪く言うつもりはないのですが、ロンドン在住7年の日本人の友人は、「この国の人たちは、「第三世界」と呼んでさげすんでいる国々に援助をするのもいいけれど、その前に地下鉄の車内や町中にちらかるゴミをなんとかしたほうがいいよ!」と言っています。

地下鉄内にゴミが散らかるのはIRA(アイルランド共和軍)の爆弾テロ防止のためにごみ箱を構内に置いていないせいもあります。が、しかし、地下鉄の車内にバナナやみかんの皮やマクドナルドの包みやタブロイド新聞が落ちているのはやっぱりいやだなぁ。

そういったことを宅の旦那がイギリスの同僚にぼやいたところ、「ロンドンは外国人が多いからね」と言ったそうな。でも、いちばん身なりが汚くてゴミちらかしてるのはコックニー弁のロンドナーが多いことを私は知っているぞ!(そんな本当のロンドナーの生活を知りたい人は、BBCの連続TVドラマ「EastEnders」を見よう!)

ここでイギリス人の清潔感についてだが、上記のロンドン在住7年日本人と、イギリス人大家に下宿しているカラオケ友達の台湾人の二人とも、「イギリス人は汚い」と口をそろえる。「どのように汚いのか?」と私が聞いても、日本語が超堪能な台湾人の友人も、当の日本人の友人も、「それが、うまく言えないんだけど、とにかく汚いんだ!」と言う。どうも絨毯の上に生ゴミとおぼしき物などがちらかるらしい。う〜私にはまだよく分からん。ただ、BTCVのボランティアで垣間みる限りはやっぱり日本の常識はここでは通用しないんだなぁ、と思うことがある。先述「EastEnders」で、泥だらけのクツをキッチンの水道で洗うシーンを見て「ゲッ!」と思ったこともある。

それからイギリスのTVを見ていると、「環境に優しい」を歌い文句にしている製品のCMはまず皆無に等しい。クルマで燃費や環境を謳っていたのはGDIエンジン搭載のMITSUBISHI車だけ。ましてやTOYOTAのPRIUSなんて絶望的に夢物語です。(これにはEUや日本の排ガス規制の違いがあり、現行のEU法内でPRIUSをヨーロッパで発売すると、(ヨーロッパ車より排ガスが格段に少ない)PRIUSが不利になるらしい。いろんな外交の駆け引きがあるのね...))

一般庶民の環境意識は、イギリスに比べて日本の方が病的ともいえるほど高い気がします。これはひとえに、イギリスと違い、階級社会が一応取り除かれ、上昇志向がある程度満足される日本社会の良い面ではあります。

これに対して、イギリスでは、たとえばパブリックスクール(有名私立中高校)に入るかどうかは生まれた時に決まるといわれる階級社会が根強く残っており、ごく少数のエリート層が大半の庶民(の大半は下層階級)を支配する国です。

下層階級の教育レベルがいかに低いかは、昨日まで興味本位でみんなで茶化していたダイアナさんがいったん死ぬと、一夜のうちにイギリス全土が涙にくれてダイアナさんを神にまつりあげてしまう、という、呆れるほどの単純さに端的に現れています(慈善事業の影に隠れたダイアナさんの生前の絢爛豪華な生活があまりにも自分たちの生活とかけはなれているので、どこかで心が麻痺してしまうのでしょう)。

最低労働賃金は日本と殆ど変わらない一方(たしか3〜4ポンド(=¥600〜¥800))、ジャガイモやパンといった最低の生活必需品以外の物価は一般的に日本の約1.5〜2倍というイギリスで、環境やリサイクルの意識があっても、それを実際に実行するほど生活に余裕のある人が何人いるでしょうか。部分的ではありますが、そこらへんが、この国の地下鉄の汚さやリンゴの芯を路上に捨てる行為などに、現れているような気がします。

横道にそれてしまいましたが、とはいえ、日本がすべてにおいて進んでいる筈はなく、西洋を含めた他の国々のほうが進んでいる事柄もたくさんあるので、そういういい点を見習うことは日本にとって非常に価値のあることだとおもいます。

また、過去の植民地支配によって現在も旧植民地から利潤を吸い上げ、いまだにそれらの国々を「第三世界」として低く見るヨーロッパが、地球温暖化をはじめ現在の世界各地の環境破壊に貢献してきたことを考えると、西洋諸国がリサイクルの先進国たることは当然の責任であり、たとえば東南アジア諸国にリサイクルの制度が充実していないという状況を「遅れている」と非難することは、自分たちが今まで存分に味わってきた飴玉を、他の人がようやく手に入れた途端に取り上げるようなもので、とりわけ同じアジアの一国であり、西洋世界からは決して「西側」とは思われることのない日本は、他のアジア諸国を決して非難してはいけないとおもいます。

日本が他のアジアの国々に対してとるべき態度は、見当違いの非難中傷でないことは明らかで、今までの西洋崇拝による他のアジア諸国への態度を戒め、異論はあるかもしれませんが戦前に植民地支配で利潤を吸い上げ、戦争により生じた責任を、自国のホームである東洋において果たすことではないかと。政治・外交的には国益重視の駆け引き(強硬・柔軟・のらりくらり、など)は当然の正当性がありますが、学究的分野や一般庶民の草の根レベルでは謙虚に誠意をつくして失うものは何もないのでは?既にタイなどでは、タイの人々と日本のNGO組織が協力して植林や両国の学者らによる人工衛星を使った環境モニタリング(注)を行っています。

たとえばベトナムでは初めて持った電話が携帯電話で、台湾ではとっくに終わった携帯電話ブームがイギリスでようやく火がついて、街角で自慢げに大声で話している人々を眺める時、不況下とはいえ世界は「先進国」諸国が考えているよりずっと早くまわっているのかもしれません。(^v^)

(注)Asian Institute of Technology(http://www.acrors.ait.ac.th/ )

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