経済成長について思うこと:
経済成長って?

 良く経済成長率がどうこう言う話を聞くんだけども、経済が成長するとどうなるの?っていう感じがする。取り引き額面が大きくなっても、同時に物価が上がってればそれは成長じゃ無いし。

 単純な話、経済成長というのは「海外から金を集めて、しかもその金を外に出さない事を毎年続けている」指標の事を言ってるみたいですな。

 日本は貿易加工国だから、今までは経済成長至上で無駄に海外から金を集めていた訳なんだが、結果として国内じゃ物価も賃金も上がってしまい、同じ事をするのに海外よりも大量に金が必要な体質になってるだけなんだけどね。経済肥満率(笑)っていう点じゃ、日本は段違いに高いと思うよね。


日本は不景気で当たり前

 さて、日本国内というドメインでの話をしましょうか。

 不景気だ〜不景気だ〜って言うけど、当たり前なんだよね。金を稼ぐには、労働力を提供するか、商品になるような物・サービスを提供して対価を受け取るかしかないんだけど、今や労働力は海外へシフトしてしまって、このぶんの金が国内に落ちない。こうなった背景には、「安く商品を作って高く売ろう」という資本主義の法則が働いてる訳だけど、競合する他社の存在があるため実際には高く売れず、価格は据え置きか、普及すれば低価格になってゆくのが普通。ただ、品物の代金の一部が常に海外に流れる事により、国内に残る金は確実に目減りする訳ですな。そうやって目減りする残金が、国内では消費のための給料となる訳で、当然景気が良くなる訳はありません。

 そんな中で政府は、またぞろ公共事業に金を落とすとか言ってるが、これも税金、もともと給料の一部で、粘土の一部をちぎって別の位置にくっつけているのと変わらない。しかも、こういう3K職場で働いているのは外国から出稼ぎに来た人々。という事は、大なり小なり海外に流れてゆくので目減りする一方だよね。

 考えてみればいままで資本主義のやり方は、安い労働力の居る地方へ工場を作り、そこへ賃金を落として、その地域の物価と賃金を上げ、それで立ち行かなくなって拠点を賃金の安い海外へ移し、海外へ賃金を落としてその国の物価と賃金を上げ、また立ち行かなくなって更に賃金の安い所を探して工場を作り…と、同じ事を繰り返している訳です。そのためのフロンティアとして、韓国→台湾→今は中国が注目されているけども、「んじゃ次は?」ってトコですか。年を追うごとに、ある商品・サービスに対する利益率は一定か、減っていく運命にあるから、なるべく金を集めるという観点からすると原価引き下げのための自然な動きじゃある。ただ、それも永遠に続けられる事じゃないのは誰でもわかると思う。でもやめられないんだな。


本来の経済成長

 ちょっと違う面から考えてみましょうか。

 閉じた世界を考えると、経済が膨らむのは地下資源を掘り出すか、農海産物を収穫するか、結局、自然から得るぶんの材料しか無いというのが僕の持論。それは変じゃないかと思うでしょ?。「日本は地下資源も無いし、農作物も輸入ばっかりで、経済が発展する余地が無いという事になる。実際はそうなってないじゃないか…」と。

 ここが皆が勘違いしている点だと思う。日本は加工貿易国と呼ばれる通り、外部に対して物を売る事で対価を受け取る訳だが、それを払ってくれる海外で、自然から得た物を換金して金を準備してくれているのだ。つまり間接的に日本の資源として使っている訳。日本の商品やサービスが海外を凌駕している間は、海外からその一部が常に流入したために、今の日本がある。逆に言えば、海外から見て製品やサービスが陳腐化した時点で、日本は発展しようのない循環経済に落ち込むか、外部から輸入だけするマイナス経済になる訳。

 こういう背景があるにもかかわらず、日本は研究開発にあまり力を入れて来なかったので、最近重要視されているITが殆ど海外絡みの技術で占められているのと同様、外部に対して魅力的な技術やサービスが少なくなっている。以前なら稼ぎ頭であった製品も陳腐化し、第三世界でも十分に製造が可能な現状では、目玉商品の無い店舗を経営しているのと同じなのだ。自然取得物が少ない日本は、常に新しいサービスを作っていかないと経済は痩せ細る体質にある訳だな。


にほんは ITかくめいのじゅもんをとなえた。

 …しかし、なにもおこらなかった。

 「通信費の引き下げやインフラを整える事で新しいサービスが生まれ、経済が活性化される」という事をお偉方が強調する。目指せアメリカ!。…甘い!。新しいサービスは、前述したとおり、経済のパイを広げる役割は持つものの、日本がアメリカと決定的に違うのは、新規サービスを生む土壌となるベンチャーキャピタルが貧弱な事。ベンチャーキャピタリストっていうのは、個人の事業に金を出すと共に、事業として必須となる法律や事務関係の専門家をつけ、その投資が回収できる程に成長するのをサポートする金持ちのパトロン。アメリカにはこういう金持ちが多いのに対して、日本ではナスダックがやっと投資を受けやすい土壌を作ったレベルだが、当然これは事業として成り立ってからでないと上場できない。新規事業に金はもちろん必要だが、それにまして必要な事業のサポート環境は日本に存在しないんですな。結局、アイデアはあるが商売については右も左もわからない人間にとっては、高いハードルがある事には変わりなく、代わりに通信費収入の落ち込みを招くだけという可能性が高いんではなかろうか。

 しかも、日本の場合はIT革命で国内需要が喚起されても駄目なのだ。前にも言った通り、そのサービスに払う対価を得るための自然取得物が国内に少ないから経済はそうそう太っていかない。つまりは海外に対して提供できるサービスが必要なのだが、現段階の日本が提供できるものは…ゲームとアニメか?(笑)。


で、まとめ

 結局、経済成長にばっか目をやる必要は無いわけだ。成長率重視で急激に周囲から金を巻き上げると、周囲の購買能力が落ちて、自分もやがてゆるゆると同じレベルへ下降を始めるのが目に見えているからだ。現状、給料のベースアップが前提で動いているから経済が膨らみ続けなければいけないという観念に囚われているが、物価や地価に連動して、場合によってはベースダウンも自然だと思える位の柔軟さが必要なんだよね。そうでないと、上がり続ける給料を払うために人を減らしたり海外の安い労働力に頼って、全体としては購買力の低下や流出を招くという悪循環にはまる訳だ。

 付け加えると日本の場合、基礎体力を付けるためにも、地下資源は無理だから、もう少し農林水産を拡大して、内部で経済を産み出すようにした方がいいだろうね。これが本来の内需型経済なのだ。後は自然を利用したエネルギー開発も、自然取得物にあたるので有効な経済資源として使えると思う。IT革命なんかよりずっと効果が出ると思うよ。


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