PowerBook G3 (1999型)のベンチマーク:
 
っしと軽く,普通のノート用ポーチにらな程薄くなったPowerBook G3ですが,今まで使っていたNECのノートPCが遥かに重くて厚い(PC-9821Nf)なので全然気になりません。重い3Dレンダリングから筋力アップ、果てはダイエットまで,あなたもぜひ!


基本的な所から攻めてみよう:現在持っているデスクトップタイプのドーピングMacと比較する形式で速度を見てみます。ベンチマークソフトとしてZiff-DavisのMacBench 4.0を使いました。表組みは画面に入るよう少し加工。ドーピングMac概略は,PowerMac8500にG3/275Mhzボードを載せて少しオーバードライブ(292Mhz)しています(バックサイドキャッシュ容量1Mbyteで292Mhzの1:1駆動)。一方のPowerBookはCPUクロックこそ400Mhzですが,バックサイドキャッシュはずいぶん低い周波数(160Mhz)駆動になっています。比較ポイントは二つあって,このバックサイドキャッシュの駆動周波数と,システムバスの速度差(45Mhz対66Mhz)があります。当初,このノートPCは100Mhzシステムバスだという噂がありましたが,消費電力を気にしたのか66Mhzに留まっています。結果のグラフが以下。


CPU速度的には単純計算で1.37倍になりますが,整数演算で1.18倍,浮動小数点演算で1.04倍というちょっと情けない結果になりました。浮動小数点演算BIOSに関して,8500/G3側はモトローラの算術演算ライブラリを使用していますが,PowerBook側はMacOS 8.6そのままを使用しています。


アプリケーション実働テストこのテストは各種有名アプリケーションを実働させて,グラフィック性能を見る物です。仮想デスクトップを使用して検索置換,スクロール,ダイアログ応答を実測します。最終的にはソフトを使って何かをするのがパソコンなので,体感速度に一番近い尺度になります。しかしながら,仮想メモリ(不足したメモリを補うためにHDDをメモリ代わりに使うシステム)を使っていると,ずっと遅くなります。特に最近のMacにはDOS/V機と同じく,価格の安いIDE規格のハードディスクが搭載されていますが,今までMac標準だったSCSI規格のハードディスクと比べて遅いという特性があります。Photoshop等では,仮想メモリを使用している気が無くても一時的に独自の仮想メモリを使用するので,この結果よりも低いと考えた方がいいでしょう。ちなみに,このテストでは仮想メモリは使用していません。

 


パワーセーブってなんじゃらほい?:実はPowerBookを使うのは初めてだったりします。このPowerBookの謳い文句として,内蔵バッテリー片方で5時間も駆動できるというのがあります。同クラスのWindowsノートと比較しても長いですが,その点を検証してみます。まずわかった事は,PowerBookはACアダプタを検知して,二通りの省エネ設定を自動的に切り替えるという所。下はコントロールバー(Windows95では画面右下に出ている物と思って下さい。)のバッテリー使用中の状態です。中央の3:20というのは,予想残り時間です。ACアダプタを差し込むと,その左のバッテリの所にチャージマークまたはプラグドのマークが表示されて,この予想残り時間は消えます。フルチャージで3時間20分というのはずいぶん違ってますが,電力消費に大きくかかわるメモリを増設して192Mbyteにしてありますんで,出荷状態(64Mbyte)では5時間というのは,あながち嘘では無い様です。


 省電力の設定として目についたのは,「CPUクロックを下げる」と「プロセッササイクリングを許可する」という二つの項目。前者は最近のCPUがだいたい持っているように,CPU温度の上がり過ぎを検知してCPUのクロックを下げる(=消費電力を下げる)機能を使ってバッテリー時に消費電力を少なくする物。後者はCPUが暇を見つけては自転車でどっかへ行く…訳ではないけども,座り込んで休むような機能(?)です。座り込む動作と,次に走るために立ち上がる動作が必要なため,レスポンスが少し悪くなります。実際どんなものかを測定してみました。

 驚きました。単純換算でCPUのスピードが104〜87Mhz相当まで落ちています。おそらくCPUクロック換算で100Mhzに設定されているんだと思います。「細く長く生きる」ノートパソコン(笑)。テキスト入力を行うワープロ等では問題ない程度の操作感は残してくれますが,3Dレンダリング等を始めると,格段に遅いというのはあります。この場合、バッテリー使用時にも再起動無しでフルパワー設定に切り替えて使うこともできますんで,そういった点では自由度が高いですね。

 3Dレンダリング中に気がついたんですが,一定期間ユーザーからの入力が無い状態では,LCDモニタの輝度を半分に下げると同時にグラフィック回りも低消費電力モードへ落とすようです。画面が薄暗くなると同時にレンダリング速度が更に一段下がったので,パッドを触ってやると再び元の速度に戻りました。途中からACアダプタを挿してやると、自動的に省電力設定がアダプタモードになり、急激にレンダリング速度が上がる等,省電力周りの設計は非常に良く出来ていると思います。

 PowerPC 750はIBMとモトローラの2社から供給を受けているCPUで,デスクトップタイプではどちらのCPUが使用されているか不明というのが現在のMacですが,PowerBookに限り,低消費電力に有利な銅配線技術(これはIBMが実用化した)CPUを使っているとの事です。400MhzのCPUの割に動作温度は確かに低いです,内蔵のファンは付いていますが,これが回るのを聞いたことはまだありません。メモリをフル搭載して電力を喰うPCMCIAカードを挿してエアコンの無い部屋で使用すると回るのかも知れません(もしかしてファンが壊れてる?(笑))。

 その後、メモリを384MBに増設し、467Mhzにクロックアップして使ってると、さすがにファンが回りました。やっぱりメモリが一番電気食い。バッテリーの保ちもDVD再生中だと2時間という、ぎりぎりのレベルに落ちちゃった(笑)。


やっぱ浮動小数点演算が遅すぎる:というわけで,デスクトップと同じく米モトローラのサイトに置いてある浮動小数点演算ライブラリをダウンロードして入れてみます。これはPowerPC用に最適化された浮動小数点演算モジュール群で,LibMotoShという名前が付いており,自分でプログラムを組む場合にリンクできるライブラリタイプとエンドユーザーのための機能拡張タイプの2形態があります。使用上の注意としては,自己責任で使うこと(保証は何もしないよ)というのと,すべてのアプリケーションで速度アップするとは限らないよという事が書いてあります。浮動小数点を多用するようなアプリケーション(3Dレンダラー等)では実行速度が命のため,LibMotoShのような汎用ライブラリでは無く,内部で独自に演算ルーチンを組んでいる場合も多々ありますんで,「こういうソフトでは効果が無いよ」という意味です。

という訳で,機能拡張タイプを入れ,再起動して測定した結果は以下のようになりました。
LibMotoSh
 浮動小数点演算が約1.3倍,これなら納得という所です。クロック比で292Mhzのデスクトップとの差も丁度1.3倍位になりますから,同じ条件で測定するとクロックアップぶんは性能が出たという事になります。んで,手持ちの3DアプリのShadeを使い時間計測を試みたら…上記そのまんまが当てはまったらしく,これが何と全く差が無い…。泣き入っちまいました(笑)。


 3Dレンダリングとクロックアップ:たまたま3DソフトShadeでWindows版と速度比較をする機会があったので,時間計測しました。相手はVAIOノート333Mhz(モバイルPentium2)。テストにはShade用として売られている「テライユキ」のモデリングデータのうち,シーンファイルParadiseAをサイズだけ512×1024へ変更して,他はそのままの設定でレンダリングしました。結果はPowerBookG3 910秒。VAIOノート1800秒強。同じ時間でVAIOが演算するには,666Mhzが必要という結果です。ただし,VAIOの方はWindowsNTでは無いので,実際のCPU性能が少し殺されているというのはあります。
 そういった所で一応今回の計測は終わりです。
思ったんですが(^^;。Mac Power1999年8月号にクロックアップ法が載ってたんですわー。という訳でさっそく改造改造!。正確には399Mhzから467Mhzへオーバードライブしました。この時,自動的にバックサイドキャッシュも187Mhzにクロックアップされます(チップ的には200Mhzまで行けると見た!)。はんだごて握ってから15分程で改造終了。テスト結果は以下のようになりました。

 クロック比そのまんま,CPU性能が上がりました。足を引っ張る外部バスに影響しないので,当たり前と言えば当たり前ですが。さて,テストとして、また3Dレンダリングを行います。クロックアップ前にバックサイドキャッシュの耐性を調べるため,キャッシュのみ201Mhzへクロックアップした時の結果も掲載しておきます。テスト条件はVAIO対決と同じ物です。

400Mhz/Cache160Mhzで913秒 (LibMotoShがあろうが無かろうが,この時間(;_;)です)
400Mhz/Cache 201Mhzで874秒 (やっぱキャッシュが高速でないとダメなんですな〜)
467Mhz/Cache 187Mhzで785秒 (ほぼ,クロック比どおり,でもこの差はでかいです)
467Mhz/Cache 187Mhzと292Mhz/Cache 292Mhzの2CPU分散レンダリングで641秒
 うーん余は満足じゃ。という訳で,PowerBookのチューニングは一応完了です。


 総括らしき物:持ち運びには重さとサイズが気になる所だけど,モデム,10-100BaseTX,SCSI,USBのインターフェース系完備。TVにも繋げて,2モニタに対応。つまり入出力とも,とにかく持ってゆけば現地で何とかなるという汎用性の高さが意外と使える点です。ただ,メインマシンにもなり得る速度は持つけど,グラフィック用途にはやや不安です。やっぱ液晶なんで,これ基準で色を調整すると,モニタで見た時の発色や輝度の違いは大きいです。この用途では外部モニタが必須ですね。

 これをアップロードする前に2000年型PowerBook G3が出てしまった。最高クロック500Mhzは、こちらも467Mhzに改造してるので特に不満は無いけども、システムバスが66Mhzから100Mhzにアップしているのはいいですね(メインメモリとのやりとりが高速なのは重要ですよ、もう一台の8500/G3 300は45Mhzなんで、この点CPUが早くても限界があるし。)
 不満な所はSCSIが廃止されて、うちでは使いようの無いFireWire(IEEE1394)に換装されちゃった事。グラフィック回りがDOS/Vではお馴染みのゲーム用バス=AGPに変更された事。DVD再生用チップ
(C-CubeのZiVA)が廃止され、ソフトだけでの再生に置き換わった事。等があります。でもね〜。
 以前、iMac DV(400Mhz)のソフトプレーヤー版DVD再生を見たけど、コマ落ちがひどくて、とても使い物にはならなかったです。今はAGPを使う高速版のApple DVD Playerがリリースされてますけど、これだとコマ落ちしないのか?。チップ廃止で省電力になるのはいいけど、コマ落ちは嫌だなぁ。


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