凄い発明品:
 最近は何でも「マイコン制御で…」「コンピューターが瞬時に…」という
のが売り文句になってますが,そいつ自体は何ら大した発明では無くて,中
で行われている事も凄くドロ臭かったりします。今の技術っていうのは「悩
んで悩み抜いて考えて考えて〜」というものでは無く,この点では昔の発明
にはかなわないですね。

 そんな中,昔の技術で僕が「これは凄い!」と思う発明品があります。そ
の発明品とは,いまや殆ど姿を消してしまった物…「マイコンの付かないガ
ス炊飯器」。ほら,何だかお釜の前にレバーがあって,これを押し込むと火
が入り,炊き上がるとバネ音と共に火が消えるあれです。って言っても,若
い人は知らんか(苦笑)。何が凄いかって,マイコンや温度センサーの無い
時代に,ご飯が炊きあがったら火を消すという動作がちゃんとできたという
所。どうやってたと思います?。

 順番に書くと,レバーを押し込む時に,火付けと同時にテコで鉄ガマの底
にバネ付きの磁石を張り付けます。炊き上がるまでは蒸発する水分が気化熱
を奪うので,お釜の底は100度ちょいに保たれますが,ご飯が炊き上がって
水分が少なくなると,お釜の底は急激に加熱します。すると,磁石は加熱し
て磁力を一時的に失うので,バネによって釜の底から外れ(あの特有の「べ
ぃ〜ん」っていう炊き上がり音),それがガス栓を閉じ,消火するという訳
です。

 シンプルなんですけど,気化熱や永久磁石の特性など,物性の粋を集めた
仕組みで,ちょっと凡人では考え付きませんよね。これこそ発明っていうも
んだろうと思います。今となっては電気+マイコン,部品レベルで出来あい
の物を組み合わせるだけなのでかなうべくも無いですが,こういう物を作っ
てみたいなぁ…。


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