カオスだかマクロだか:
 最近,怖いな〜と思うのは,高度情報化社会の行く末という物です。

この社会では情報に関して物理的な距離を取っ払ってくれますが,逆に
言えば全く関係無い地域にいる人間の行動が,ある地域に深刻な影響を
与える可能性も出てくるという事です。これだけなら今までもあった事
ですが,問題は,伝達能力の高速化により,社会そのものの反応(いわ
ゆる噂の伝わり方ですな)も速く,0か1といった限りなくディジタル
に近い物になる点にあります。加えて,社会を構成する,本来ばらばら
で影響力の小さい個人のベクトルが世界的に一致してしまう事による深刻
な影響も発生しうると考える訳です。アダルトサイトがシステムダウン
する程度なら良いんですけど(笑),社会がシステムダウンする事も考え
ておく必要があると思うんです。悪意のある個人と違って,悪意の無い
集団の行う事はセキュリティでは解決しませんから。

 例えば株式市場では世界的な投資家が群れています。ここで,「特定
地域の投資効果が芳しくなく,元が取れない虞がある」というかなり確
実な情報が流れるとします。個々の投資家の投資金額が大した額では無
かったとしても,回線につながったコンピューターは昼夜の別無くこれ
を報告し,投資家は個別ではあるが一斉に投資の引き上げを決定します。
瞬時にして投資が消えた特定地域側では,翌日から深刻な不況に見舞わ
れます。以前アジアがこの状態に陥っていますよね。

 ネットワーク化が進行すると,事は経済だけにとどまらないでしょう。
反応は速く,原因は制御の効かない個人の集団活動で,物によっては急
激な変化による行き過ぎ(電子回路でいうディジタル特有のヒゲ[オーバ
ーシュート])もあるでしょう。デマ一発で社会がシステムダウンする可
能性だってあるんです。特に日本は人に合わせて安心する傾向がありま
すから(流行や周囲の意見に合わせる事で群れる弱い人間が多いって事
です),一旦混乱が起こった場合のベクトルは合いやすいでしょうね。

 こういう事の防止方法というのがあるのかどうか?。結局,個人ベー
スで多様な考え方を養う事が大切なんでしょう。また,個々の利害の一
致しやすい経済活動では,全く別地域の人間が無責任に介入できないよ
うにする必要もあります。経済開放政策に反するかも知れませんが,私
はこれも流行の一つに過ぎないと思っていますんで(笑)。


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