漫画やアニメーションについて:
 物心ついた頃から何か描いていたですよ…正式に水彩や油彩等もやってます
が、漫画やアニメーションというのは好きです。良く「漫画やアニメはくだら
ない」という人がいますが、そもそもメディアがくだらないなんてのがナンセ
ンスで、「CD-ROMやフロッピーディスクはくだらん」というレベルの発言を
されても困りますわいね。

 まじめに漫画に取り組むとわかる事なんですが、「漫画を描く」という事は
映画を作るのと同じ労力を必要とします。そもそも漫画というのは脚本を書い
て、俳優を作り、演出とセリフを与え、背景となる世界設定に応じたセットを
作ってといった具合に,映画なら複数の専門スタッフがやるような事を一人の
仕事でまとめあげる作業です。どれが欠けていても「くだらない、つまらない」
漫画になる上,映画でいうとプロデューサーにあたる編集部の意見で「頭の悪
い読者でもわかるように」とシナリオのレベルを落とされてしまったりする訳
です。

 もう一方のアニメーションは、実写映画の方が日本のロケ事情(補足1)
予算の事情で斜陽に向かうのを後目に,他国に比べて異常にリアルさを追求し
ている点が見どころ。しかもマニアックな観察眼を持ってそれを動きの上で再
現する作家さんがいるおかげで
(補足2)、現在のハリウッド映画はシーン的に
日本のアニメーションが10年以上前に発想したり演出で取り入れた事をCGで
焼きなおしているだけと言ってもいい。もちろん、それなりの監督がついてい
る作品に限りはしますが…。中でも押井守監督作品は好きです
(補足3)

 今は、日本アニメに関して騒がれる事が多いですが、これは実験的に色々や
ってきて、自分なりの特徴を出せる人が監督や演出をしているのに負うところ
が大きいと思ってます。ただ、これが続くかどうかというと、ちょっと疑問で
す。今は8mmビデオカメラが8mmフィルムカメラを駆逐してしまい、実験的
な作品を作ろうにも,まともなコマ撮りが出来る機材が存在していない状況が
続いているし、与えられる物に満足しがちな現状から既存のアニメの枠を壊す
ような人間が出てくる可能性は低いでしょうね。次期インフラであるディジタル
では8mmフィルム程度の画質も出せないのに十倍以上ものコストがかかる状況
だし、アナログ系ではまだ16mmフィルムカメラが細々と生き残ってはいますが
、フィルムがセルロイドでできていた時代の名残で上映には免許取得が必要な
ため
(補足4)、学生サークルでは運用できない状況にあります。これは残念
な事ですね。

補足1:公共の場所でのカーチェイスを伴う撮影は故・石原裕次郎軍団以外には
許可されてない(ウソ)。しかも爆発シーンは必ず石材の採掘現場か鳥取砂丘、
もしくはアジアの国々で行う必要がある(なんだかなぁ…)。最近観たのでは
伊丹監督の「スーパーの女」が頑張ってました。個別に観れば安全の確保され
た撮影ですが,カット割りが良くて緊迫感があります。
補足2:アニメーションというのは基本的にどんな動きであれ、意図しないと絶対
に動かない、つまり「偶然そうなった」が無い世界です。だからどんなささいな
動きでさえ、それは前もって「こういう状況ではこうなる」といった予測に基づ
いて決定されています。その設計図である絵コンテを切る人の中にはガス流体現象
からスカートのひらひらに至るまで、物理現象に関する相当な観察眼を持つ人が
いますね(爆笑)。
補足3:パトレイバー劇場版1・2が好き。アメリカでビデオビルボード1位を
得た甲殻機動隊「Ghost in the shell」はアメリカ受けするように単純化して
作られているので、士郎正宗の原作漫画の方がいいかな?。
補足4:セルロイドは引火しやすく、上映中にフィルムが噛んだりすると火災・
有毒ガス発生・パニックという事になりやすかった。現在のフィルムベースは
安全な材質になっているんですけどねぇ…。法改正なぞされてないだろうなぁ…。


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