僕の動物写真
シャッター・チャンス
 英国バーミンガム大学アンドルー・ウェルマン博士チームが行った「決闘」のシミュレー
ション実験が面白い。
 先に銃に手をかけた悪漢を、正義のガンマンを電光石火の早業で撃ち倒すシーンは
西部劇でおなじみだが、果たしてどちらに有利だろうか?
 実は、拳銃を相手よりも先に抜こうとする意識的な行動よりも、相手の行動を見て本能
的に反応する方が平均0.02秒速いことが判明した。
 これが、日本武道の”後の先”と言うものではないだろうか? 瞬きひとつでも、自分の
意思で目を閉じるよりも、危険を察知して反射的に瞼を閉じる方が、はるかに素早い。
 動物写真を40年以上も撮りつづけていると、カメラやレンズは僕の身体と一体化してくる。
この頃になって気づくのだが、意識的にシャッター・チャンスを狙ってカメラのシャッターを
押すのではなく、頭の中が真っ白な状態(これが仏教で言う”無我の境地”というものかも
しれない)で、指が動くに任せて撮った作品のなかに、しばしば予想を上まわる会心作が
生まれるのは、ここにヒントがあるのかもしれない。