争い無くす為に 〜ラングラン動乱期〜
イージス計画……後にパルマー戦役と呼ばれる戦いで起きた戦いで起きたって言う衝撃を月で防ごうっていう計画が発動・成功させて3日。この俺、トウヤ・カザミことライザ・グラン・イクナートを含めたラ・ギアス世界の関係者とそこに召喚された仲間達は、俺のダチの兜甲児が使っている「マジンガーZ」というスーパーロボットを開発した光子力研究所でしっかり疲れを取ってから、このラ・ギアスに戻ってきた。
10年前、父のレニス・エンロードの頼みで、母、ファーナ・ラスム・イクナートの魔法の力で地球に行かされたんだけど、ラ・ギアス出身だって分かったのが、ついそのイージス計画が始まるちょっと前。
姉であるウェンディ・ラスム・イクナート……ラングラン王国の次期国王候補の1人らしい……の使いという人が俺の所に来て、ようやく分かったと言う所だ。まぁ、俺自身、ティターンズ……建前はジオン残党を撃滅させる部隊で、ミオの奴が言うには悪魔の組織となる……に指名手配されてた身だったから、アカルディアに逃げようと思ったのをすぐに変更・ラ・ギアスのラングラン王国に身を寄せることになったって訳だ。
「帰ってきたわね……祖国に。」
「そうだな。お前の祖国だったな。」
違いが白・銀・緑だけのノルス・レイと呼ばれる三つの機体の中の白い機体の中で祖国を見下ろし、感慨深く呟く姉さんにその恋人、ランドール・ザン・ゼノサキスことマサキ・アンド−が答えた。
「俺やセニアの生まれた国でもあるんだが。」
銀のノルス・レイに乗るこの俺がいいムードぶち壊しなコトを言う。まぁ、今となってはそう思うんだけど……まぁ、気にしない気にしない。
「そんなことより、向かいが来てるんじゃないのか?」
「ええ。トーラス・ゼテキネスが来る手筈よ……噂をすれば影ね。」
姉さんの言葉通り、ラングラン側からトーラス機とその部下の機体が数機、俺達の所にくる。前々から思っていたが、律儀な男である。奥さんがいるらしく、彼の性格からして、誠実な女性なんだろう。……俺の恋人のユミールの方が絶対にいいと思うが。
「お久しぶりです。ウェンディ様、ライザ様。おや?ヤンロン殿は?」
俺達に近づき、機体から降りて、跪く。俺達もそれに習い、機体から降りる。通信を敵国のシュテドニアスにハッキングされるのも嫌だしね。
「ああ。あっち……地上でリューネとゾルダーク博士って人を探している。5日以内にヴァルハレビア将軍と合流させるように命令している。」
「そうですか。」
「そんなことよりトーラス。状況は?」
「はい。イージス計画発動前に比べると、押され気味です。以前、ライザ王子が奪ったポイントも奪い返されました。……申し訳ありません。」
「気にするな。……やはり魔装機神不在時にシュテドニアス共和国が攻撃してきたか。」
俺はわざとらしく頭に手を当て、困惑したような表情になる。これで王族らしくカッコよく決まってたのかな?ま、いっか。
「それに、中枢となる魔装機も少ないからな。え……と……セニア。そしてテュッティ。」
「はい。」
「何?」
俺の言葉に二人がすぐ返事をする。
「二人はトーラスが連れてきた連中のうち、二人連れてラングラン王城で次の指示があるまで守備に付け。」
「はい。」
「わかったわ。」
かつてテュッティと共にロシアからフランス・ドイツ・フィンランド・ポルトガルなど広い範囲で対テロリスト組織にてゲリラ組織の一つ・ノ−ルバックファミリーに所属していた経験を買われたのか、ラングラン王国軍総司令というポストについている俺は素早く指示を出し始める。
「それとゲンナジー・I・ゴルノレイズとシーエ・デメクサにホァン・ヤンロンとリューネ・ゾルダーク両名のサポートを命じろ!」
「了解。」
「で、俺達はどうするんだ?」
ガッデスと緑のノルス・レイが発進したあと、マサキが聞く。
「そうだな……」
「王子!イモータルの方面からシュテドニアスの魔装機を35機程確認!指示願います!」
「よし!イモータルで迎え撃つ!サイバスターとザムジードがトップをとれ!」
『了解!』
俺の言葉でマサキとトーラスが同時に返事をした。なんて素敵な連携だったんだろ。
――イモータル渓谷
「マサキ!右!」
俺が叫ぶとマサキが素早くディスカッターで一機撃墜する。
「よし、いいぞ!敵が退却、もしくは全滅するまで攻撃を続けろ!」
俺の指示に、ミオとプレシアがレールガンで敵魔装機を撃破する。
また俺も、姉さんとノルスバルカンやエンジェルヴィスパー、そしてブラスナックルで味方機を援護したんだよね。
「!ライザ!敵後列の西側が攻撃されているわ!」
「何?変だな……リューネとヤンロンな訳がないし……データ照合お願い!」
「分かったわ……!これは、マジンガーZにダイアナンAだわ!」
「甲児にさやか?何であいつらがシュテドニアスの機体を知ってんだ?」
姉さんの言葉に俺は耳を疑ったよ。つい数時間前分かれたダチがこっちにいるんだからな。
「あ、そういえば私とセニアがこの前シュテドニアスの機体を見せたことあったんだ……」
「何だよそれ……リュウセイや晃一郎が見るならともかく……」
この時は本当に頭が痛かった。……セニアめ。後で覚えてろよって感じだったし。
「そんなことより、あいつらがこっち来た理由を考えるのが先だろう!あいつらと協力してシュテドニアスの連中を撤退させなくていいのか?」
「そうだな。通信つなげ!」
「了解しました!」
「よーやく知ってる顔に会えたぜ……」
敵が撤退したのを確認した直後、甲児がため息と共に地上に両の足を着ける。
「そんで、何で唐突にこっちに来てしまったんだ?自分の意志じゃないんだろ?」
「ああ。お前やお姫さん達がやったとも思えないしな。」
「そう……だな。俺にしても姉さんにしても、ロボット二つを魔法で地球からこっちに引っ張り出すなんて真似はできない。そんな力は持っちゃいないさ。その上、さっきのアレ……シュテドニアス共和国のカンツォート・ジョグの隊との戦闘中だったしな。」
甲児の言葉に、俺は撤退したシュテドニアスの部隊の方向を見つつ、呟く。
「そんな事より、二人だけなのか?鉄矢とか、ジュンとかはどうした?」
「さあ?気が付いたら俺とさやかさんだけだった。そういえば、こっちに来た直後、ショウとマーベルに会ったぜ。」
「あ?ショウとマーベルって、バイストン・ウェルにいたショウ・ザマとマーベル・フローズンか?」
「ああ。二手に分かれて知ってる奴探そうってことになったから……」
「ま、そんなことよか、だ。こいつらをどうするかだよな。今すぐ帰れと言う訳にはいかんしな。」
「そうね……イブン様に相談してみたらどうかしら?」
「それ以外にないか……」
「おお、オイオイ。そう邪険にするか?確かにショウやマーベルならバイストン・ウェルの戦いが終わってないらしいからしょうがないけど……」
俺とウェンディの言葉に慌てて甲児が止める。そういう風に聞こえたのかな?
「だったら尚更だ。ショウとマーベルをバイストン・ウェルに行かせなきゃいかんだろ。お前たちを地上に戻す、戻さない以前にな。」
「あ、そっか……どっちにしても、色々こっちにもトラブルありそうだからな……こっちに来た以上、嫌だといっても俺たちは手伝うからな!」
「え?だけどこっちの問題は私たちが……」
「ムダだよ、姉さん。こいつ、言い出したら聞かない奴だから。一応言っとくけど、給料でないからな。」
「そんな事の為にやってんじゃねぇよ!大体今までも給料でなかったろーが!」
「そうだったな。それより、ショウ達と合流したい。案内してくれ。」
「りょーかい!」
「甲児の言ってることはどうやら本当の事だったようね。」
「おめ、俺の言ってること信用してないのな。」
「甲児、抑えろ。マーベルもだ。」
ワザとらしく言うマーベルとそれに怒る甲児も、流石に俺の一言で静かになる。うんうん。俺も結構信頼されてるんだね。
「ショウ。これからのお前達の行動だけど……一応、聞いておきたいんだが。」
「ああ、もしかしたらシーラ様やエレ様がこっちに来ているかもしれないんだ。」
「あー、そっか……あの二人がこっち来てるって確率もあったんだっけ……」
「そうなんだ。まだ確認が取れてないから分からないけど……発見し次第、バイストン・ウェルに帰る方法を教えるから、それまで俺たちに付き合ってもらおうと思うんだけど……」
「わかった。そうしよう。」
この戦いが後にラングラン王国の激しい戦いへと繋がる緒戦になるなんて……誰も予想するなんて出来なかったよ。
第二章へ続く
後書き
えー、インターミッション1で予告してた通り、α外伝直後の戦いとなります。
基本としては魔装機神やスパロボEXをベースにしようと思うんですが、かなり不透明な状況です。
それとトウヤ君視点という試みをやってみました。どうでしょうか。
んで、トウヤ君とテュッティの事を少々。
今回の事(オリジナル設定)でかなり驚いた人が多いと思います。二人の詳しいことは後ほど……と言うことでご勘弁を。