争い無くす為に 第3章 宇宙へ 〜新しいクロスボーン〜

 

「ふぇぇ、よく寝たね……ってまだ5時じゃねぇか!」

 ハマーン・カーン率いるアクシズを撤退させた2日後、トウヤにしては珍しく朝早くに目が覚めた。

「うーん、緊張の……せいかな?っと。」

 このまま寝ても眠れねぇ……と判断し、トウヤはマサキと区別を付けるために延ばした髪(それだけが目的ではないが)を束ねた後、着替えたらその部屋をすぐさまに出て行った。

「よう!総大将!」

「おはようございます。」

「ん?あぁ、クロビスとアーサーか。」

 廊下で背を伸ばしていたところに、クロビスとアーサーに声をかけられた。

「今日は大変な一日になりそうだな!」

「今日の軍議は貴方も出席すると姉君から聞きましたよ。がんばってください。」

「努力する。」

「ところで、会議にはどんなやつが出席するんだ?」

「姉さんとユミールの他に、アカルディアのティックス王とその兄、ローディス皇太子。ジグリムのグロウスター大将、ヨークのシエル女王とその養父ガリュード殿、シュテドニアスのロドニー・ジェスハ将軍とその部下エリス・ラディウス大尉、それとプリベンター所属のブライト少将とアムロ少佐、それに万丈さんってところか。」

「要するに、貴方の息がかかった人たちが中心だと言うわけですね。」

「そう簡単にはいかねぇよ。さっき言った面子で出席者の半分も出ていない。……マサキかモニカかセニアのうちあと一人いればもうちょっと何とかなったんだけど。」

 アーサーの質問に、トウヤは珍しく弱気な姿勢で答えた。

「そんなことより、この服、ちゃんとできてっかな?ちょっと自身無いんだけど。」

 そう言いつつ、トウヤは両手を左右に広げる。その姿は誰もが一目で王族だと信じて疑わないであろう姿である。

「らしい姿してるじゃねえか。」

「ちゃんとなってますよ。」

「そ、そうか。」

「ま、強気でいきゃあ、何とかなるだろ!」

 クロビスはそう言うと、トウヤの肩を思いっきりたたいた。

 

 

「みんな集まったわね。えー、今日は先日この神聖ラングラン王国に攻撃を仕掛けてきた、アクシズと呼ばれる勢力について、みんなの意見を聞かせてほしい。」

 議長席に座っている、ウェンディが緊張した面持ちで言葉を発した。

「連中は、もう来ないのではないのか?」

「確かに。連中は本気でこのラングランを落とすつもりなど無かろう。」

 ラングランやアカルディア、そして地球連邦の議員たちは、皆一様に日和見な考えを示す。

「あなたたちは、ハマーン・カーンという者を知らぬからそのようなことを言えるのだ!」

「ブライト・ノア大佐。現在は議会の途中のはず。無闇に席を立たないでもらおうか。」

 憤慨してその議員たちに詰め寄ろうとしたブライトに、トウヤは冷たくその行動を諌める。

「しかし、ライザ王子。大佐の考えは私も同じ意見です。先日の襲撃の理由は、ハマーンの考えは地球圏の前に、ラングランもしくはアカルディアに攻め込み、どちらかの戦力を奪おうと考えての行動だろう。」

「ほう。」

 アムロの言葉に、トウヤはワザとらしい声を響かせる。

「連中の行動はそれだけだ、と言いたいわけですか?」

「どういう、意味ですか?貴方の考え……つまり、アクシズがどういう動きをするか、聞かせてもらいましょう。」

「聞いて、どうするつもりですか?波瀾……万丈さん。」

「貴方がシラカワ博士……クリストフ王子と同じ考えである場合は、貴方の命をもらうということですよ。」

「成る程。しかし、波瀾財閥の代表は思ったより記憶力が悪いみたいですね。」

万丈の言葉に、トウヤは嫌味を返す。

「どういう意味ですか?」

「貴方が以前、私と我が友、マサキ・アンドーに教えてくれた情報をみすみす忘れていることですよ。」

「?」

「ふん、どうやら本当に忘れているようですね。アクシズの代表、ハマーンは木星帝国と呼ばれる所とコンタクトを取る確率も忘れてはならない……と私は思いますよ。」

「あ!」

トウヤの言葉にようやく思い出したように、万丈は声を上げる。

「アクシズと木星帝国とが同盟するには、こちらの戦力を計るのが至極当然。もちろん、同盟をくまずとも、こちらの戦力を調べるには、直接攻撃を仕掛けるのがやりやすいですがね。ハマーン・カーンはどの様に行動するかは未だ不透明だから、用心に越したことは無いと思いますが、敵はアクシズだけでは無いと言うことも、忘れてはならない事ですよ。」

「確かに。ライザ王子の言う通り、敵はアクシズだけでは無かったな。」

トウヤの言葉に、ガリュードが声を上げる。

「木星は確か、地球と穏便な関係を築きたいと申していたはず。それを信じていないと言うことですか?」

地球連邦の議員の一人、アデナウアー・パラヤが声をあげる。

「成る程。そう言うことも考えられますね。ならば、女王閣下。提案が一つあるのですが、よろしいでしょうか?」

「どうぞ。」

「私が、木星とそしてその木星と敵対している『クロスボーン・バンガード』と呼ばれる勢力の両リーダーと面会したい。」

「しかし、危険ではないかな?」

「確かに。ワテらも同行した方がええんちゃいまっか?」

トウヤの提案に、最初に声を上げたのはアカルディアのローディス皇太子とシュテドニアスのロドニー将軍であった。

「ならば、私の護衛として、マサキ・アンドー、ファング・ザン・ビシアス、プレシア・ゼノサキス、それとアカルディアのフェイン・ジン・バリオン殿とゲンズバリオレット・メルセーヌ殿にも頼もうと思います。それと、彼らの機体の整備として、我が従兄弟のセニア・グラニア・ビルセイアと、アカルディアのセリカ・ラニアード・メスティナ姫を連れて行きたい。それでいいでしょう?」

「分かりました。ならば、そう手配してください。」

「有り難うございます。」

「女王閣下がそう望むならば、従うとしましょう。」

その議員の言葉で、議会は終了した。

 

 

「トウヤ。心臓に悪い事はあまり言わないで頂きたいな。」

大半の議員が部屋から出ていったのを確認した後、アムロはトウヤに話しかけた。

「どの事を仰っているのか?」

「わざわざ俺達の意見に反対するような事だよ。」

「それに対する文句は、木星帝国のことをすっぽり忘れていた自分自身に言って貰いたいものですね。」

「すまないね。アクシズの事を考えすぎていた。」

 トウヤの言葉に、万丈は苦笑いを浮かべる。

「だが、これでは直接木星帝国にも行かなくてはならないのではないか?」

「確かにね。だけど、俺たちが直接行っても攻撃されるのがオチじゃないのかな?」

「なるほど。」

「それで……どうするの?」

「まず、最初の予定道り、クロスボーン・バンガードとコンタクトを取ろうと思う。」

 ユミールの質問に、トウヤは即答える。

「でもさ、クロスボーンって、アレでしょ?確か、マイッツァー・ロナって人が死んだのと同時に滅んだんだよな?」

「ベラ・ロナって覚えてるか?」

「当たり前だろ?ありゃ、本当はセシリーだったってオチ……あ、そっか!」

「そう言うことだ。」

「どう言うことですか?」

 マサキとトウヤの会話がわからないと言った感じでファングが割り込む。

「ああ、俺やマサキがパルマー戦役で戦ってたころ、そのクロスボーン・バンガード創設者、マイッツァー・ロナって奴に反対したのが、マイッツァー・ロナの孫娘の、ベラ・ロナ。」

「だったら、反対したのに、また設立する理由は?」

「木星帝国の存在をキャッチしちまった……もちろん、ベラ・ロナが本物だったらの話だけど。」

「あ、そっか。偽者がいる……って確立もあるのか。」

 トウヤの言葉に、マサキは成る程と言った感じで言葉を発する。

「問題は……その中にいる、キンケドゥ・ナウって男だ。そいつがもし、ベラ・ロナの恋人、シーブック・アノーだったら……」

「まず、100%本物だろうな。」

 トウヤが予測するように話すと、マサキはそれに同意する。

「だったら、考えるより行動を、ってヤツですよ。えーと、俺と、フェインにゲンにマサキにプレシアにえっと……」

「セリカとセニアだ……どこで覗いていた?」

「え?あ、あははは、すみません。主犯はセニア様とセリカ様です。」

 トウヤに追求されて、ファングは苦笑いを浮かべて言い訳を開始する。

「だけど、人数が少ないのでは?」

 頭数に不安を感じて、テュッティがトウヤに聞く。

「現在は冥王星付近にいるだろう、ロイ・フォッカー中佐率いるバルキリー・スカル小隊とガンバスターのパイロットで編成されるトップ小隊に先日増援を要請したから、戦力には問題は無いさ。」

「だけど、プレシアやマサキはともかく、ゲン君やフェインやファングじゃ……」

 その言葉で、トウヤはすぐさまテュッティの顔を軽く叩く。

「俺らが簡単に死ぬとでも思ってんのか?」

「だけど、失敗でもしたら……」

「失敗したら何だっての?俺達が全滅するとでも思ってるわけ?バッカじゃないの?そんなわけねぇだろーが!」

 心配そうに言葉を続けるテュッティにトウヤの我慢も限界を超える。

「テュッティ、お前もこいつの実力を前から見てるだろう。元が俺やファングよか強い奴なんだ。下手に護衛の人間を増やすのはマズイって。」

テュッティに殴りかかろうとするトウヤを抑えつつ、マサキはトウヤを心配するテュッティを諭す。

「どっちにしても、急いだほうがいいんじゃねぇか?アクシズの連中が日本の各地研究所を襲う確立も考えられないワケじゃねぇからな。」

「分かった……」

 マサキの言葉に、トウヤはマサキの腕を放し、自室に向かっていった。

(まったく、戦いが始まったとたんにこれじゃ、先行きが不安だぜ、まったくよ……)

 トウヤの後姿を見つつ、マサキはため息をつくことに、ためらいを覚えることは出来なかった。

 

 

「ふぇ〜〜まだ頭がガンガンする……昨日は飲みすぎた……」

 ラングラン王城の医務室のベットの中で、レベッカ・ターキーは頭を押さえつつうめいていた。

「だからあれほど飲むなってライザ様やウェンディ様が仰ってたんです!もう少し考えて行動してください!」

「そうだよ、ベッキー……」

 彼女の看病をしつつ、文句を言ってるのはザシュフォードとリューネである。

「ごめん。忘れてた……」

「ベッキーさん!」

 悪びれた様子の欠片もないようなレベッカの言葉に、ザシュフォードの大声が響く。

 そこに、トウヤ達が驚いたような表情で入ってくる。

 先ほどのザシュフォードの声が聞こえたらしい。

「なーにやってんだよ……お前ら。」

 最初に言葉を発したのはトウヤである。その言葉の中に異常な程の怒気が入り混じってる。

(ちょ、マサキ!トウヤ、どうしたのさ!)

「作戦の内容をテュッティの奴に文句を言われただけだ。」

 トウヤの声に驚いたリューネがコソコソマサキに聞くが、当のマサキは平然と大きな声で答える。

「マサキ。余計なことを言う必要はない。それより、レベッカ・ターキー。」

「はっ!ハイッ!」

 トウヤの声にレベッカは即答する。

「俺や姉さんが昨日言ったことを守らなかったようだな。」

「う……」

 トウヤの言葉にレベッカは図星を刺されたような表情になる。

(まさかベッキーを連れてくなんて言うんじゃねぇだろうな……いや、まさかな。いくらこいつが不機嫌でストレスを解消する材料がこのベッキーであっても新たなストレスになるこいつを連れてくなんて……)

 トウヤとレベッカのやり取りを後ろで見ながらマサキは次々といやな予感にさいなまれていく。

「あうあう、ライザ様。もうしませんから、今度は本気の本気ですから……」

「俺がラ・ギアスに来てからそれを何回言ったと思ってる!」

 トウヤの怒声の直後、レベッカの頭にトウヤの拳骨がすばやく降りる。

(あちゃ、こりゃ、連れてくのは確実だな。)

「まったく……しょうがないから今回の作戦はおまえも連れていく!俺がいいと言うまでお前は禁酒だ!分かったな!」

「はぁい。」

(やっぱりこうなっちまうか。まったく、テュッティに文句を言われて単純に怒るトウヤはトウヤだけど、そのトウヤに圧倒されて情けない声をあげるベッキーもベッキーだよな……つーか年下の男に禁酒しろと言われて「はい」だなんて情けなさすぎだな、ベッキーも……)

 トウヤとレベッカのやり取りで苦笑いを浮かべながらそう考えていたのは、誰であったろうか……

 

 

「んで?何でアタシも宇宙にこなきゃいけない訳?」

 連邦の宇宙船射出ポイントから、ハヤト・コバヤシ艦長のアウドムラで宇宙に出たトウヤ達ではあったが、大気圏を出てからリューネが文句を言い始めた。

「あぁ、そっか。何もいってなかったか。お前にゃ、やってもらわなきゃいけない事があるんだよ。」

「?」

 トウヤの言葉で、リューネは不思議な表情をする。

「ゾルダーク博士の探索だよ。」

「成る程……ってアタシが言うと思ってんの?」

「あのな……」

 リューネの言葉に、トウヤはイラつくように頭を押さえる。

「なんで木星がクラックス・ドゥガチに占領されてもゾルダーク博士が文句を言わないと思ってる。」

「あ、そっか。それをアタシが聞き出せばいいんだね?」

「ああ。そうだ。探索から聞き出すことまでお前に一任する。」

 一任というトウヤの言葉にリューネはパッと明るい表情になる。

「じゃあ、今すぐ行ってくるよ!」

「まて、その前に一つ条件がある。」

「ほえっ!?」

 意気揚揚と行動しようとするリューネをトウヤはすばやく止める。

「交換条件として一つある。」

「な、何よ……」

 トウヤの言葉に、(出来すぎた任務だと思ったけど、やっぱり裏があったか。)と言う表情になる。

「プリペンダーの五張に、ガンダムを届けてほしい。」

「ガンダムゥ?確か連中のガンダムは破壊した筈……」

「ああ、そうだ。俺が届けてほしいってのは、ラングラン製のガンダムだ。」

「まさか……新しいガンダム?」

「そうだ。五張の愛機、アルトロンガンダムのデータを元に作られた改良型、名前をアルトロンガンダムレイと言うんだ。他にヒイロ、デュオ、カトル、トロワにもガンダムが作られたんだ。」

 トウヤの言葉で、マサキたちはガンダムの開発者と設計者が誰かすぐにわかる。

「へぇ……そう言えばデュオたち、ラ・ギアス事件のとき、白兵戦しか出来てなかったっけ。」

「まぁな。今回はあれほどの戦いにはならんだろうが、念には念をってやつさ。」

 リューネとの話で、トウヤはイージス計画が終了した後の戦いを振り返っていた。

『ライザ王子!東からフェイル軍、西からリーボーフェンが!』

『分かった。テュッティ・ノールバックは俺がノルスのライザカスタムで押さえる!その隙をついて、両陣営を潰せ!マサキはホァン・ヤンロンを!他はウッソとジュドーが中心となって敵をを押さえろ!』

『了解!』

『分かりました!』

『やってやらぁ!』

 ラ・ギアスでの戦い……神聖ラングラン王国とシュテドニアス共和国の戦争での戦いであった。

 その中で、ロンド・ベルやプリベンダーに所属していた者達の大半がラングランに召還されたのだ。

 そして、その争いの中でラングラン軍は、イクナート派・ビルセイア派・ヴァルハレビア派に分かれ、戦火を広げていくことになった。

 その中で、戦争を止めようと、アカルディア・ジグリム・ヨークの連合軍もラ・ギアスに向かったが、戦いを広げることに拍車を掛けるだけであった。

 そして、ロンド・ベルやプリベンダーに所属していた者達も、自分の信念によって、様々な部隊に所属し、敵となって殺し合い寸前の戦いを展開していった。

そして、トウヤはその戦いを忘れたくても忘れることが出来なかった。

「あぁそうだ。ライザ様、一ついいですか?」

「どうした?ベッキー。」

 リューネの乗った輸送機がアウドムラを出た後、レベッカがトウヤに聞く。

「アムロ少佐やクワトロ少佐のようにラ・ギアスにきた人たちはともかく……何で地球連邦の議員たちがこっちの存在を知ってるんですか?」

「ラングランに召喚された連中の中に、バイストン・ウェルの人間だって言ってた連中いただろ。」

 トウヤの突然の会話変更にレベッカは面食らう。

「それは覚えてますけど……それと地球連邦の議員がどう関係してくるんですか?」

「バイストン・ウェルのとある一国の女王、シーラ・ラパーナがフランスだかイギリスだかの女王と会見をしたんだ。つまりは……。」

「連邦の無能たちも異世界の存在を認めなきゃならなくなった……ですか?」

 トウヤの言葉の意味が理解したレベッカにトウヤは大きく頷く。地球の事に詳しくないファングやゲンも、世界の情勢に疎いほうのマサキも感心したような表情になる。

「それで、アウドムラはどこに行けばいいんだ?」

「ミーティ202ってどこにあるか知ってますか?」

「ミーティ202?確かあそこは物資とかいろいろあるとこじゃねぇのか?」

「うん。表向きは……ね。」

「……まさか!木製帝国の!」

 マサキの声に、トウヤは頷く。

「成る程。クロスボーン・バンガードの母艦はそこに行っているわけだな?」

「ええ。行けますか?」

「よし、アウドムラ、ミーティ202に向かう!」

(昔のことを考えるよりも今は……目の前のことを考えるだけさ。)

 ハヤトの言葉を聞きつつも、トウヤは自分の気持ちを切り替えていた。

 

 

 ――ミーティ202

「どうやら、もう始まってるようだな。」

 目の前の状況をトウヤはブリッジの中で判断する。

 ガンダムタイプ2機を先頭にクロスボーンのMSと、木星のMSが交戦をしていた。アウドムラはクロスボーンの母艦の真後ろにいる状況である。

「そんな事より、出なくていいのか?」

「ああ、そうだな。セリカ、セニア、機体の整備状況は?」

「言う事なし。全機いつでも出撃できるわよ!」

「了解!俺を含めたパイロット各員、出撃せよ!」

 トウヤの言葉で機体に近いセリカとセニアが真っ先に出撃する。

「クリストフの時も感じたけど……宇宙って動きづらいね……」

「こらこら!グチらない!」

「俺が正面から攻撃をかける。セリカ・ゲン・プレシア・フェインは右に、セニア・ファング・マサキ・ベッキーは左に回り攻撃を開始しろ!」

 トウヤの指示で、各機素早く行動を開始する。

「後ろにも敵機?キンケドゥさん、どうしましょう?」

 クロスボーン所属のMSに乗っている一人がキンケドゥと呼ばれたガンダムタイプに乗っているパイロットに聞く。その声はゲンやプレシアと同年代の少年風に聞こえる。

「あれは……サイバスターにテュッセルドフ……大丈夫だ。あれは恐らく味方機だろう。ザビーネ、前線を任せていいか?俺はあっちの誘導をする。」

「了解した、キンケドゥ。」

 その通信の後、二つのガンダムタイプが分かれ、片方は木星のMSへ、もう片方はトウヤたちにくる

「来たか……俺はラ・ギアス世界、神聖ラングラン王国の王子、ライザ・グラン・イクナートだ。分かってるかもしれないが、これからあなたたちの援護を開始したい。ご返答お願いする!」

「やはり指揮官はトウヤか。……こちらはクロスボーンガンダムX1というガンダムのパイロット、キンケドゥ・ナウだ!ご協力感謝する!」

 その言葉が終わらぬうちに、キンケドゥはガンダムを転進させ、木星のMSへ攻撃を開始した。

 

 

「貴方が、ラングラン王国の王子、ライザ・グラン・イクナート王子ですか。私は、このマザーバンガードの艦長にてクロスボーン・バンガードの総帥、ベラ・ロナです。早速ですが、貴方のご用件を伺いたいのですが。」

「私達がこの艦にきた理由は、木星帝国と呼ばれる勢力の駆除です。そのために、神聖ラングラン王国とクロスボーン・バンガードの同盟が必要だと思い、ここに来た次第です。」

 クロスボーン・バンガードの総帥の前で、トウヤはやや棒読みで言葉を発する。まだ王族としての礼儀や作法は慣れていないのだ。

「キンケドゥ、そしてザビーネ。彼らとの同盟、どの様にしたらいいだろうか。」

「彼らは信用できると思いますね。」

「彼らとの同盟を拒めば、敵が増えるだけです。ならば同盟を組むほうがわれらにとって得になるのでは?どうやら彼らには整備士もいるようですし……」

 キンケドゥ、ザビーネともに、少々笑いをこらえた表情でベラの疑問に答える。二人がピエロを演じていることを分かっているのだ。(無論、キンケドゥの方は自分に対するものも含まれていたが。)

「分かりました。しばらくは私たちと行動を共に願います。

「感謝いたします。」

 ベラの言葉に、トウヤは深深と頭を下げた。

 

 

「へぇ〜、ガンダムって言っても、いろいろ種類がある物なのねぇ〜。」

「二人とも……」

 マザーバンガードでウキウキとガンダムの見学をしているセニアとセリカにマサキはため息をつく。

「しょうがねぇか。それより、確かトビア……だっけ?この艦にいるプレシアぐらいの子供は。」

「どうしたんですか?」

 突然の声に、マサキは慌てて後ろに跳躍する。

「す、すみません。驚かせてしまって。」

「い、いや。お前がトビアか。お前の動き、結構よかったな。」

「そ、そうですか?」

「ああ。才能があるんだな。今、ここの艦長たちに会ってるやつにこれから色々教えてもらうんだな。」

「は、はい!」

 マサキの言葉に、トビアは元気に返事する。

「そんなことより、バルキリー小隊はともかくトップ小隊って、何者なの?」

「ああ。片方はリュウセイ並のロボットマニア、片方はマックス並みの天才の二人で編成された小隊だ。二人の乗ってるガンバスターっていうロボットはバカでかいロボットだから、マニアじゃなくても必見だ、とは晃一郎の弁だ。」

 レベッカの疑問に、マサキはトウヤがリュウセイや晃一郎を連れてこなかったことをいい判断だと感じていた。

 

 


 トウヤとマサキとキンケドゥの次回予告

トウヤ「第3章終了ではあるが、今回はキンケドゥ参入スペシャル(偽バージョン)だ。」

マサキ「なによその偽バージョンって。」

トウヤ「細かい突っ込みは無し。つーこって、挨拶してくれ。」

キンケドゥ「ベラ・ロナとトビア君を差し置いて今回から次回予告座談会(笑)に参入することになったキンケドゥ・ナウだ。よろしく。」

マサキ(ヲイヲイ、差し置くぐらいいーじゃねぇか。それなら俺らだって同罪だっつーの)

トウヤ「そう思うのは、何か悪いことをしたからだぞ。」

マサキ「まぁ、そこのところはおいといて、次回予告、行きましょう。」

キンケドゥ「といっても、次回は反省会らしい。」

マサキ「マジ?」

トウヤ「そうだ。次回争い亡くす為には、「インターミッション 超越!大反省会! 〜勝手気ままに座談会〜」だ。」

キンケドゥ「勝手気ままに、ですか。」

トウヤ「そうです。お楽しみに。」

マサキ(確か糸蒟蒻はギャグ初挑戦だったよな……大丈夫なのだろうか。)

 

 

後書き

第3章ようやく終わったって感じですが、次回は予告道理番外インターミッションです。

と言うことで、今回出たオリジナルを。

ノルス・ライザカスタム

言葉道理、ラングラン王子ライザ・グラン・イクナートことトウヤ・カザミ専用にカスタムされたノルスです。

パルマー戦役以前には、モニカ王女専用の通常ノルスとして作られたものの、モニカ自身がラングラン王国崩壊時に行方不明になったため、一時廃案となったが、戦役後に10年ほど前から行方不明となっていたライザ王子(トウヤ)復帰に合わせて作られた魔装機です。

その時期当然トウヤの専用機にあたるライブレードはあったものの、イージス計画に使用されるスーパーロボットの一つがため、トウヤとそのパートナー兼恋人のユミールは戦闘にライブレードを使用する気が無いために、トウヤはこのノルスのカスタムタイプを使用していました。

戦闘力は、設計にウェンディ、開発はセニアが担当し、操者トウヤの能力に合わせてプラーナコンバーターを高性能にしているため、元がノルスだとは思えないほどの出力を持ってます。

そのため、通常のノルスよりも運動性はザクU:シャアザク、攻撃力はガンダム:Zガンダムの差が成立し、イージス計画後のラ・ギアスの動乱の時にもトウヤはこのノルスを使用しています。

機体と操者と言う要素でガッデスやグランヴェールとも引けを取らなかったものの、さすがにヴォルクルスやエウリード、デュラクシールにはかないません。(当たり前の話だが。)

ちなみにライブレードは月に保管されていたため、未来の世界で真ゲッターやマジンカイザー同様、マウンテンサイクルに入って(?)いて、イージス計画発動直前のシュウ戦やアンセスター戦、ラ・ギアスの動乱の最後のほうでは、トウヤはライブレードに搭乗してました。

必殺技として、一刀正伝絶影の他に、V2ガンダムの光の翼を参考にした、ヴィスパークラッシュを持つ。

ウィングガンダムレイ・ガンダムデスサイズヘルレイ・ガンダムサンドロックヘルレイ・ガンダムヘビーアームズレイ・アルトロンガンダムレイ

ラングラン動乱時、ラ・ギアスに召還されたヒイロ達ウィングチームではあるが、前の戦いで愛機を自分達の手で破壊してしまったため、白兵戦しかできなかったんですが、彼らの戦力に注目したフェイル王子がウェンディとトウヤ、そしてセニアに彼らの機体を作るように命令したのですが、設計初期から様々な面で難航し、設計が終了し機体そのものを開発しようと言うところでラ・ギアスの戦争が終了。

しかし、その一年後に発生したハマーン・カーンやクラックス・ドゥカチの攻撃の情報をトウヤや万丈から聞いたセニアとセリカが開発を再開して、作り上げた機体です。

能力面はラ・ギアス製らしく、ヒイロ達ウィングチームのプラーナを利用しているため、カスタムタイプと比べても比べきれな程のパワーアップが施されています。

ちなみに本格的な活躍は次回あたりからだったりします。

エンドラV

ZZガンダムに出てきた「あの」エンドラの第3バージョンです。

基本的に今までのエンドラよりも強力になっていますが、特に変化したのはメガ粒子砲の砲門が増えているところでしょう。

第2章に出てきたキャラ艦とマシュマー艦を始めいくつか作られています。

では、今回は無茶苦茶長くなりましたが。

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