今日の5の2 ]時間目 「コンプリート」

 

5年2組教室−放課後−

 

佐藤「・・・こないだは悪ぃ」

相原「・・・・・・?」

放課後の誰もいない教室で、真面目な顔で手のひらを合わせ、拝むように佐藤リョータはクラスメイトの

相原カズミに謝罪した。

普段からあまり感情を顔に出さない相原が不思議な物を見るような目でリョータを見つめていた。

小さく開いた口からは八重歯が覗いている。

佐藤「なんだよ、まだ怒ってんのかよ?」

感情は読み取れないが返答が無い事が回答かと考えリョータは少し非難めいた声で話し続けた。

相原「・・・・・・怒ってる。許さないって言ったら何でも言う事聞いてくれる?」

佐藤「うっ・・・まあできることなら」

いつもどおり表情を変えず、しかししっかりと条件を突きつけてきたカズミにリョータは小さく汗をかき

ながらも答えた。

相原「かじらせて」

佐藤「げッ!・・・また歯が抜けそうなのかよ?」

相原「・・・」

佐藤「ほら・・・」

沈黙のプレッシャーに耐え切れず、リョータはしかたなしにカズミに指を差し出した。

相原「鼻を」

佐藤「鼻!?」

相原「駄目?」

上目遣いにリョータを見るカズミ。

佐藤「・・・なんで鼻なんだ!?」

当然の疑問。

相原「指と耳は達成済み。次は鼻」

意味不明な回答。

佐藤「いや鼻は流石に・・・他の場所じゃ駄目なのか?(ん? いつ耳齧られたんだ?)」

相原「他?」

リョータを見つめていたカズミの視線がゆっくりと下に降り、ズボンの前で止まった。

佐藤「・・・何故下半身を見る?」

大量の冷や汗を流すリョータ。

相原「本当に他でいいの?」

佐藤「・・・鼻と下半身以外でお願いします」

視線もあげずに聞き返すカズミ。リョータの耳に聞こえた声は心なしか弾んでいるような感じがし、

溜まらず下でに出るリョータ。

相原「我侭・・・(溜息)」

佐藤「これは我侭なのか!?」

相原「ん。じゃあ前向きに善処する」

スッ・・・とリョータの顔に顔を近づけるカズミ。

佐藤「(鼻かっ)あんまり強く噛むなよ?」

ギュッ・・・っと目を瞑るリョータ。

相原「前向きに以下略」

佐藤「・・・・・・」

カズミの息を顔の皮膚で感じ目を瞑ったまま顔を真っ赤にして耐え・・・

相原「・・・・・・(ガブッ)」

・・・唇に痛みを感じた。

佐藤「!!!・・・相原! お前今!?」

リョータは大きく後ずさり、手の甲を唇に当てた。

相原「前向きに善処してあげた。後は鼻とアレでコンプリート」

リョータはカズミがいつもどおりの淡々とした表情だったので『たいした事じゃないんだっけか?』

と間違った判断をして平静を取り戻した。

佐藤「アレって何だよ・・・まあいいや、じゃこれで許してくれるんだな」

相原「いいけど・・・何を謝ってたの?」

佐藤「何だと!!」

 

]時間目 終了


あとがき

桜場コハルの『みなみけ』を薦められ購入⇒ハマる!⇒桜場コハルの『今日の5の2』を

購入⇒メチャハマる!!!

で久々にSSなんぞ書いてしまう程ハマってしまった桜場コハル作品恐るべし!!

んでクールな八重歯っ子相原カズミに物凄く惚れてしまったヨ!(凄く可愛い)

SSがいつもと書き方違うのは原作の1話10ページのスタイルをイメージして漫画のコマ割とか

意識して文章にしてみたから。

タイミング的には22時間目ユビキリ後編の後の話。相原さんを勘違いで押し倒した事に対する

謝罪話だけど実は一回誤ってるので相原さん事態はリョータが何謝ってるのか解らんがまあから

かってあげよう。というスタンスでリョータはあの時チカに目撃された為記憶吹っ飛んで誤った事

忘れてたみたいなシチュエーション。

いやまあウチのHP来てくださってる方でこの作品知ってる人いないよなあ

(苦笑:俺も昨日まで知らんかった)いいさSSは自己満足が大前提なのさと開き直り。