ゴジラvsビオランテ 1989年日本
原爆とゴジラに酷い目にあわされた日本が―
ゴジラ細胞から核を超える兵器を作っても 決して悪いと思わんがね
ファミリー向けにぬいぐるみと見紛う風貌のマスコット怪獣を配し、
怪獣同士の戦いも某七つの玉をあつめる人気漫画のように、光線を撃ち合うだけの派手でなものに、
そして、昔からのファンを納得させるために過去の人気怪獣をリメイクし、
ストーリーも子供にもわかりやすくするように簡単なものにし、
その結果、見事なまでに次々と駄作を量産し、
シリーズ最終作「ゴジラVSデストロイア」で次に続くと完結をした「平成ゴジラシリーズ」
その中でも、観客動員数が最も多かった「ゴジラVSモスラ」のその半分にもみたない、シリーズ最低の不人気作「ゴジラVSビオランテ」
しかし、意外にもこの最低人気作がシリーズの中で唯一、観賞に価するものだから世の中はわからない…
この「ゴジラVSビオランテ」は、他の「平成ゴジラシリーズ」に比べると極めて異質な存在なのである。
他の作品がメインのストーリー部分よりも特撮部分のウエイトが高いのに対して、この作品はストーリー部分のウェイトが極めて高い、元々この「ゴジラVSビオランテ」は、ストーリーを一般から公募し、特別選行委員に手塚治虫や夢枕獏など、著名人数人をすえて5025通の作品の中から選考したものから制作されているのだから当然といえば当然なのであるが…
そして、そのコンセプトも、恵みと滅びの二面性をもった核(原子物理学)の生み出したモンスター「ゴジラ」と同様に恵みと滅びの二面性をもつ遺伝子工学の生み出したモンスター「ビオランテ」の対決と実に面白い。
内容にしても、そのコンセプトの元となる核と遺伝子工学に関連したファクターが多く、SFヒュ−マンドラマとしてだけでも、かなり見応えがある。
が、
既におわかりだと思うが、当然ながら内容が実にムズイ
ハッキリ言って、この時点で子供は置き去りなのだ
遺伝子工学と生命倫理や科学者に求められるモラルの問題
対ゴジラ用に作られた核を無効化する「抗核バクテリア」がもたらす、世界のミリタリーバランスの崩壊問題
その技術をめぐり繰り広げられる諜報、暗殺、テロ、情報操作など…
こういった要素に心躍るお子様は、極めて稀有ではなかろうか?
私自身は、当時、子供心に面白いと感じた稀有な例だが、幼少の頃にディズニーの絵本より子供向け科学写真集を好み平仮名を全て書けるより先に惑星配列を覚え、小学生の頃には、一枚のメルヘンチックな動物の住む島の絵をみて物語りを創作しようという授業で、異次元に吸い込まれた主人公が元の世界に戻るために、この世のものとは思えない異形の獣から逃げまどい脱出を試みるという物語を書き、巻来功士のメタルKや荒木飛呂彦のバオ―来訪者などを本気で面白いと思っていた異端児であったので、あまり参考にはならないと思う…
内容が子供向けでなくとも、怪獣映画としての要素が子供にとって魅力があれば、マニアックな大人にとっては不評でも、全体的には、幾分評価が違っていたかも知れないが、この映画は、その辺も徹底していて、ゴジラの侵攻進路や部隊配置などの描写などがされており、怪獣映画と言うよりも戦争映画(シュミレーシュンゲームの方が近いかな)なのである…
要は、「ゴジラVSビオランテ」であると同時にこの映画はゴジラVS自衛隊なのである。
…そうなのである、怪獣映画において、キング オブ かませ犬と言っても過言ではない、あの自衛隊が、「抗核エネルギーバクテリア」や「M6000TCシステム」など多彩かつ、いまいち地味に「怪獣王」との異名を持つゴジラに対等以上に渡り合うのである。
しかも、実在の兵器の描写などは、この映画が実質、二ヶ月で撮影が行われ、十分な時間を特撮に割けなかった為か、自衛隊の演習映像が、いたるところにカットインされていて、実に真に迫っている。
そして、忘れてはならないのが、鈴木京香がオペレーターという端役を演じたことで、変な意味で知名度のある「スーパーXU」であろう、どの辺からツッコンでよいのか見当もつかない超兵器、火炎放射を一万倍にして反射する鏡「ファイヤーミラー」を用いて、一時ではあるもののゴジラを敗走させるという活躍っぷりを披露するのである。まあ、最終的にはこのダイヤモンド製のミラーが溶けてあっさり撃墜されるが…
余談ではあるが、このスーパーXU、は後にPCエンジンで発売された「ゴジラ爆闘列伝」という格闘ゲームにおいて、ラスボスの一角を担い、格闘ゲームのキャラなのに空を自由に飛び、映画同様、エネルギー系の技は簡単に反射できるという暴虐な戦闘能力を誇っていた。このゴジラ爆闘列伝というゲームは、格闘ゲームのバランスよりも、ゴジラという映画に登場する怪獣の描き方に重点がおかれていた為、初代メカゴジラなどは映画に忠実にジャンプという概念すらない上に、技もエネルギー系ばかりと徹底されていたために対戦モードなどでは、実に不条理なものがあった…。
そして、子供ウケしないという点でのとどめとも言えるが新怪獣「ビオランテ」であろう。
個人的にはこの怪獣は大好きだし造形的にもかなり良いと思うのだが、客観的に、このビオランテを一言で言わせてもらうと、この言葉が最も適当であろう、ズバリ“グロい”
どのような容貌かと言うと、
最初がコレ→
そして挙句にコレ→
である………設定からして、ゴジラとバラと沢口靖子(役名は白神英里加)を合成して生まれたキメラという設定なので仕方ないと言えば仕方ないし、デザイン的にもの設定からみると妥当なのだが、少なくとも子供の心は掴めまい…
まあ、DVDの映像特典によると初期イメージは人面花と言うことなので、だいぶ丸くはなっているみたいですが、しかし、個人的には、バラの花弁の真中に朱塗りの沢口靖子の顔くっついているビオランテというのも、ぜひ見てみたかった。
しかし、デザインもさることながらコイツは戦闘スタイルがまた問題なのだ…
蔦でゴジラを締めるビオランテ
蔦でゴジラを足を払うビオランテ
蔦でゴジラを串刺しにするビオランテ
でかい口でゴジラの頭に噛み付くビオランテ
口から酸を吐くビオランテ
何とも地味であり、かつ悪役テイスト漂う戦闘スタイルであろうか、
同じ人類の味方でも、鱗粉でエネルギー拡散フィールドを発生、挙句の果てに触覚や臭覚の働きをする触角からビーム発射までやってのけた蛾のお化けに人気が到底およばないのもうなずけるというものである。
劇中でも、特に敵対行動したわけでもないのに、ゴジラと対峙している際に「勝ったほうが、我々の敵になるだけです」と言い切られているので世話はない。
せめて、強ければ、まだ救いがあったのだが、戦い方が悪役臭い上に弱いのだ、このビオランテという怪獣は………結果的には、某国の巨大ゴリラと同様に引き分けと大健闘なのだが、実際は、自衛隊の権藤一佐によって打ち込まれた抗核エネルギーバクテリアによって、ゴジラがガス欠をおこすまでねばっただけである…しかも、後のシリーズで、光の国の巨人のごとくガス欠する設定は邪魔だったのか、こともあろうか、タイムマシンで過去に行き歴史を変え、これらのは要素は、初めから存在しなかったかのようにあつかわれる、そして、そのメチャクチャはまかり通り、以後の平成ゴジラシリーズは駄作街道を全力で暴走していくことになる。
あと、「ゴジラVSビオランテ」を語る上で、忘れてならないのは音楽であろう
音楽:すぎやまこういち
そう、あのドラゴンクエストで有名な、すぎやまこういちが、この映画の音楽を手がけているのである。
この映画が公開された、1989年(平成元年)といえば、社会現象ともなったドラゴンクエストVが発売された翌年であり、
まさに、ノリにノッたころなのである。
当然だとも言わんばかりに、この映画の音楽は実に秀逸かつドラクエっぽい、
時にラーミアが飛んでいる…というような、妙な既視感にとらわれることがあるかもしれないが、その辺は気にしないこと…
問題は多々あるものの「ゴジラVSビオランテ」は普通の映画として、十分観賞に堪える映画である。
そして、「ゴジラシリーズ」の中でも名作といっても問題はないだろう…
だけどな、
プロデューサーがゴリ押ししたという最後の沢口靖子!!
いくらなんでもコレ(↓)はなかろう!!
