弓道を始める!
 
 皆さんがやってみたい!とお考えになった動機はいろいろあるかと思います。
昔からやってみたかった。広報で見たから。いろいろあると思います。弓道を始めるのに一番多い機会は、弓道教室に入ると言うことでしょうか。
ここでは、弓道教室のパターンと内容についてお知らせします。また、始めるのに心配の種である道具の値段も、目安としてのせました。

募集方法   募集の人数   募集の回数 弓道教室の内容
弓道教室の会費 用意するもの 道具の値段  受講に当たって


募集方法
ほとんどが、各市町村の広報誌に掲載されて募集が行われます。4月1日付号というのが一般に多いようですが、4月の第一週から早速開始される所(松戸市など)もあるため、2〜3月頃の広報も見落とせません。またこれとは逆に、5〜7月頃の募集(八千代市・佐原市・茂原市など)を行うところもありますので、思い立ったら市町村役場の体育課(場所によって名前が違います。)などに今までの例をご確認頂くことが必要かと思います。
 また、最近は生涯学習スポーツとしても人気が高いため、応募人数が募集定員を超えるため、先着順あるいは抽選となる例も多く、なかなかご希望に添えない状況にあると言えます。
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募集の人数
見てがっかりされる方も多いのではないかな、と思うのがこの募集人数。5人から10人程度。多いところでも20人というところでしょうか。
 弓道の場合はほとんどがマンツーマンで、つきっきりに近い状態で練習が行われます。心得ておいて欲しいことは、弓道と言っても、150年位前までは現役の武器です。300年前であれば戦争の主力兵器。初心者が使う道具と言っても、人を殺すことができるんです。わざとなんて事はないにしても、ちょっとした間違えが、取り返しの付かない事故につながります。十分経験を積んだ人間ならば、弓を引いている途中であっても、対応するコツとかテクニックを使うことができますが、慣れない人であればあるほど、危険な部分が多くあると言うことをご理解下さい。
 指導責任者の他に、受講生2〜5人程度に1人の補助指導者が付くはずです。10人の受講生に対しても3人程度は先生が付くと言うことが考えられます。このへんは各教室開催者の考え方、施設の状況で変わる場合も多いので、必ずそうだとは言えませんが。
あとは皆さんが同じレベルで、練習を進めて行ければいいのですが、進み具合にでこぼこが必ず出てきますので、途中からはレベルに応じた練習というのも考えられます。
このへんは、マイナースポーツ弓道の総人口の少なさ(指導者層が限られる)と言うことでご理解頂きたいと思います。
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募集の回数
 これもがっかりされるところでしょう。年に1回というところがほとんどのようですね。 前に書いたとおり、ほとんどがマンツーマンに近い形ですので、教える側のパワーが追いつかないと言うのが現状です。
 しかしながら、教室が終わっただけでは、もうどこで弓を引いてもOKなんて程、簡単なものでないものだ、と言うことも覚えておいてください。教室終了時点では、一応弓を引くと言うことがどんなものか、「やってみたよ」と言う程度でしかないのです。
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弓道教室の内容
 弓道教室の内容は、簡単に言うと二つに分かれると思います。
(1)1年間を通して行われ、最終的には初段取得程度まで行う場合。
(2)8回から10回程度を一つのサイクルとして行われるもの。
大半は(2)のパターンが多いようです。
(ただし、これは木戸番が見てきたものから、書いていますので、他の弓道教室が全てこのように運営されていると言うことではありませんのでご注意ください。)

 本当ですと(1)が望ましいのですが、一年通して土曜とか、日曜の半日が拘束されるために、途中で休むと出にくくなるのでしょうか、最後に残る人の数が、寂しくなる場合も多いと聞きます。
(2)ですと、最初からこの2ヶ月程度と予定が立てられますので、わりと取っつきやすいといえるかもしれません。ですが教習もちょっと駆け足気味で行われる気もしないではないです。
では8回(2ヶ月間)として例を見てみましょう。

1 ガイダンス、ビデオを見たり、先生による模範演武を見学する
2〜3 射法八節の説明と道具を使わないで形を練習する。
4〜6 素引きからゴム弓そして巻藁 
弓を持って引く練習。そしてゴムを弦に見立てた道具で、矢を離す練習、的前には立たず、すぐ近くにある藁で作った的場に向けて離す練習。これくらいで実際に弓に矢をつがえて、離す練習になります。
7〜8 実際に的に向かって矢を離す(飛ばす)と言うことになります。

どうですか?。2ヶ月間と言っても週に1回ですので、8回と言ってもあっというまですよね、これでは本当に弓道の練習というより、まねごとをしたという程度だと言うこと、おわかり頂けましたか?。
 教室が終わると、これからが本番と言ってもいいでしょう。ここで、この先続けるかどうかの選択があると思います。経験したからもういい、という人も出てくるでしょうが、まだこの先も続けたい、という人がほとんどですね。そのためにこれからフローアップが始まります。一応目的は段位審査、初段です。今まではなんとか弓を引く、ということを教わりましたが、これからは初段を目標とした本格的な練習になるはずです。たぶん、この段階で、それぞれの会の会員として登録し、教室のメンバーだけの練習ではなく、先輩会員と一緒に練習してゆくことになるのです。教室は何回かで終わりますが、このフォローアップも計算に入れるとずいぶんになりますね。もうここから後は皆さんのやる気と、それを受け止める側の熱意しかありません。
 
 ところで、弓道を始めるとどこかでこんな質問される機会があるかも知れません。
「何流ですか?。」
現在、各地の道場で行われている射法は大きく分けると
「正面打起し」と「斜面打起し」の二つがあります。また「礼射系」と「武射系」という区分もあり、おおざっぱに言うと3系統に分けられます。
流派で言えば「正面打起し」は「小笠原流」(正面打起し・礼射系)と「本多流」(正面打起し・武射系)が代表的なものです。
「斜面打起し」は礼射系・武射系ともに現在では「日置流」系統の人たちによって行われます。

ただし「正面打起し」で「礼射系」であれば小笠原流かというと、そのためには、最低でも指導者が小笠原流の正式な門人であり、流派の免許を持っている人が教えている必要があるでしょう。また、それが武射系であれば本田流かと言えば同じことです。
 そんな時は、指導者の先生にお伺いするのが一番ですが、場合によっては全日本弓道連盟、弓道教本に基づく正面打ち起こしの礼射系という言い方もあるかも知れません。剣道でも連盟流というのが全国一般です。昔の柳生流などは古武道として剣道一般とは別になっているのと同じようになりつつもあります。
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弓道教室の会費
形の上では、市のスポーツ教室などの形になりますが、運営するのは各市にある、弓道者団体で行います。会費が必要とされるのは、まずスポーツ保険、消耗品代、テキスト作成のための経費などでしょう。どこもが指導者に関しては、ボランティアに近い状態です。市町村役場によっては経費が出るところもありますが、交通費程度みたいですね。使う道具は、市町村からの補助金のほか、と言うか、大半は、会でそろえた道具を使うところがほとんどです。会員などの積み立てたお金で、と言うことです。
 ほとんど、役所でそろえてくれたところがないとは言いませんが、多くは教室を開くために、それぞれの会で努力して用意したものだと言うことを覚えておいて頂きたいと思います。 
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用意するもの
これと言ってないと思います。募集要項にも運動のできる格好をと言う程度しか出ていないと思います。ただし服装に関しては次の点にご注意ください。
立ったり座ったりもすると思いますので、膝の曲げ伸ばしのしやすいもの。
弓を引くときに「胸弦」というポイントがあります。大きく引いてきた時に、弦が胸に付くのです。この時、上に着ているものにボタン、チャックなどがあると、そこに弦が引っかかって矢がどこに行くかわからない、という危険な状態になる可能性がありますので、たぶん最初に注意があると思いますが、Tシャツ、トレーナーなど、胸や腹側に引っかかりのないものを着用するよう心がけてください。後裸足はご遠慮ください。実際に弓を引く場合、「かけ」というものを手にはめます。細い弦を素手で握ることは出来ませんので、手の保護のためにも使います。鹿革で出来ているものです。汗や汚れから保護するため、「下がけ」と呼ばれる木綿で出来た手袋状のものが必要となります。会によっては受講料の中に含まれるところもあるようですが、大半は会で用意した道具に一緒に入っているか、別途購入することになるかもしれません。約200円前後です。
通年通して実施する場合、半年目くらいで最低限の道具を購入する場合があります。
矢・矢筒・弓道着一式・かけ と言ったところでしょう。弓はまだまだ力が安定しませんし、引き慣れれば強い弓も引けるようになりますので、1年から2年間は道場の弓を借りられれば、それが一番いいのではないかと思います。
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道具の値段
 値段の目安ですが、それこそピンからキリまであります。矢もジュラルミンのものが初心者、学生などでは一般的です。七面鳥の羽であれば1本2000円程度から買えますし、同じシャフトでも付ける羽根で値段が違います。
 竹矢でしたら、「の」(矢の竹の部分)の程度の善し悪し、羽の善し悪しでとんでもない値段のものもあります。羽だけで100万という話を聞いたこともあります。(4本で)

全て揃えるとすると、大体これくらいのものが必要となります。
矢 6本一組でおよそ15,000円以上(ジュラルミン・羽は七面鳥の一番安いもの)
矢筒3,500円位(矢をしまい、持ち運ぶもの)
弓道着一式10,000円(袴・胴着・足袋・帯)
かけ15,000円〜(高校生など)社会人クラスだと25,000円位。
弓は一張り、一番安いので25,000円(グラスファイバー)と言ったところでしょうか。
(消費税などは考えていません。おおよその目安です。)

「かけ」は、ことわざで言う「かけがえのないもの」という言葉の語源にもなっています。手になじんだ「かけ」は大切なもの。慣れないかけは、使いにくいものです。
ですので買うときは、最初ですからそれほど高価なものを購入する必要はありませんが、ある程度長く使えるものを選ぶ必要があるでしょう。

 ここは考え方ですが、どうせ最初は・・ということで一番安いものを使い、2年くらいしてからちょっといいものに変えると言うことも、それは個人の懐とご相談と言ったところでしょうか。

弓道具店のホームページ、各地のがありますが、ここ一つで何でも間に合うというと言うことで、東京神田の小山弓具店で値段、品物を見て下さい。→小山弓具へ
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受講に当たって
弓道の稽古を始めるのに当たって、心得て置いて欲しいことは
  (1)素直であること
 もしかしたら、あなたを教えてくれる人は、年下かも知れません。あなたは社会的には上位の人かも知れません。
しかしこの場合は、あなたは始めたばかり。あいては教える立場にいる。弓道における経験の違いは埋めようがありません。弓道に関することは、素直に聞き入れてください。勝手な思いこみ、指導者以外の人間の無責任なちょっかい。必ずあります。その授業を指導する人は、計画と皆さんの進歩を見た上で教えているはずです。人は人。自分は自分です。時には人より遅れることもあるでしょう。長い目で見ればそれも経験として生きてくるときが来ます。

  (2)反復練習すること
 何事も同じですが、繰り返し体で覚えることが大切です。そのためにはこれしかありません。

  (3)上達を急がないこと
 いつかこんな騒ぎを耳にしました。「お前らの教え方が下手だからうまくならない。」繰り返しの基本練習をとかくさぼりがちな人に多く見られます。弓道教室は週に一回。家でイメージトレーニングとか、自宅でも出来る練習方法とかきっとあります。いえ、あるんです。それさえもしない。それでいてこんな発言が飛び出すのでは、教える方も気がなくなります。
 初心者には初心者の、その上はその上に求められる技術的な内容があります。上級者のまねはやめましょう。いきなり上級者と同じ事をやらせろという人もいます。いつか自分もと、目標に定めることは大切なことですが、山に登ろうと思った人がいきなり頂上に立つことは出来ません。一歩一歩の積み重ねが大切です。時には高山病なんてのもありますからね。

  (4)正法を心がけること
 上記を取りまとめて、これです。弓を引く上で基本となる動作があります。この基本が身に付かなければ、土台のいい加減な家です。いつか地盤沈下、雨はもる、柱がゆがんでひっくり返ります。それに気づいたときは(気づけばいいが)とんでもない遠回りとなります。一歩一歩着実に行ってください。

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