ザ・ロング・アンド・ワインディング鎌倉街道


【下道】堀切菖蒲園〜金町2001.3.26(月)雨後晴 

 午前中、新線新宿駅の改札脇にあるC&Cカレーでモーニングカレーを食べて後、秋葉原でちょっと人様には言うのも恥ずかしい、とあるDVDソフトを購入。
 昼過ぎから上野へ出て京成線で堀切菖蒲園へ、今日はここから出発し東京も東の外れ葛飾区金町まで歩いてみる予定である。

 現時点でテレビ番組「鎌倉街道夢紀行」ではまだ下道編は放映されていないので参照元が無い為、僕はとりあえず「旧鎌倉街道探索の旅・下道編(芳賀善次郎 さきたま出版)」の説に拠って歩いていくことにした。

 堀切菖蒲園駅から南へ歩いていくと「ラッキー通り」なる何やら楽しげな名称の商店街が出現した。
 どうやらこれが旧鎌倉街道らしい。
 この辺りの旧鎌倉街道は下道(しもつみち)であり鎌倉から水戸まで、すなわち現在の水戸街道の基礎となった街道のようである。 従って今日歩く旧鎌倉街道は、かなり旧水戸街道と重なっている。
 この辺は中道に比べたらずっと馴染みは薄いが、鎌倉街道となるとなぜか今まで知っていたような気がしてきてしまうから不思議というかお目出度いのである。

 まだ空は曇っているが予報によれば午後からは晴れるらしい。
 京成線のお花茶屋駅までは、道はほぼ真っ直ぐに進んでいた。
 途中街の定食屋が営む「立石バーガー」なる100円ハンバーグの店があって強烈に惹かれるものを感じたが店の佇まいに少々不安を感じたので今日はそのままやり過ごす。次回機会があればリトライしてみたい。

 お花茶屋の駅まで来ると線路を渡って北側に街道は行くようである。
 道は北東へカーブしていくが、今度はお花茶屋だけに「フラワー通り」と言うこれ又何やら楽しげな命名がされている。
 成る程前方からショートカットの美人若妻風が自転車でやってくるのにすれ違ったり、70年代風ファッションの米倉涼子似の爆乳ギャルが来たりと「確かに。これならラッキー且つフラワーですな」などとニヤケていると、今度はなぜか左手にいきなり斎場が出現したりして先程の浮かれた気分にジュっと水を差したりなどし、まあ今日の散策悲喜取り混ぜて一応バランスだけはとれてはいるようである。

 しばらく行くと水戸街道(国道6号線)に出て旧街道は一旦消滅。
 この頃から僕の背後から青空が追っかけて来るように晴れてきた。

 ここから少し先の水戸街道の西側の裏道が、またどうやら旧街道らしいので再びその道を行くことにした。
 これを更に道なりに行くと修徳学園と亀青小の間に出、その先が五差路になっていて、いかにも古い道だったらしい風情を醸し出していた。
 ここを東へ曲がる道が下道らしい。
 道はすぐ環七に出て、その先中川で中断していた。

   *   *   *

 中川の土手に登ってみる。
 すっかり晴れあがった春の川べりのいい陽気を一気に浴びる。
 今まで天気のせいで憂鬱な気分も少なからずあったが、ここで無事邪気一掃することができた。
 土手では僕以外には、老婆と青年の親子連れ?が写真などを撮っている。桜などもチラホラ見える。
 現在は上流か下流に行かなければ直通の橋は無いが、ちょうど対岸に西念寺が見え、かつて旧街道がそばにあったことを物語っている。

 土手を歩き上流の中川橋を渡り対岸の新宿(にいじゅく)へ出る。
 この辺は新宿というだけに昔の宿場だったらしいが、確かに道の感じや街の佇まいに何となくであるが、そんな面影も残っていないことも無い。
 中川橋からの道は昔水戸・佐倉道と呼ばれていたらしく現在の6号線の辺りで二手に分岐していた。
 右に折れ南下するのが佐倉道、左へ折れ引き続き東進していくのが旧水戸街道のようである。
 もちろん僕は左に行く。

 左に折れすぐのところでかなり近代的に舗装された箇所が出て来たので旧道が消えてやしないか不安になったが、更にその先に松が見え袂に「帝釈道」の文字が刻まれた道標も見えたので間違いなく旧道とわかりほっとする。
 「帝釈道」ということは、更にまた柴又の帝釈天へ行く道が分岐しているのであろうが、確かに貨物線の踏切の手前で道が分かれており、現時点で確認はしていないが、この道がそうなのかもしれない。

 ここまで来れば、もう金町は近い。
 金町まではしばらく真っ直ぐな道が続く。
 東京のこんな下町を歩いていると、時々どこか地方都市に来たような気分になるもんである。

   *   *   *

 ちょうど3時にJR金町駅に到着。
 駅の北側に回りマクドナルドで休憩。
 フィレオフィッシュセットを注文するが、1000円札でお釣りを受け取る際に店員の女の子が僕の手を包みこむように渡してくれたので、思いも寄らず釣りと品物だけで無く相当大きな愛(エネルギー)までもいただいてしまい実に嬉し恥ずかしなモテナイ独身エトランゼなのであった。
 これで勢いがついたのか2階で窓際の席を探そうとした所、ちょうどタイミング良く僕が階上に上がった時に窓際が一席空いたので迷わずそこへ着席。
 隣には中学生らしき少女二人組もいて雰囲気は悪くは無く、かなりご機嫌になる。
 店内のBGMに椎名林檎の新曲がかかっていた。そういえばもうすぐ発売であった。

 ふと窓の外を見下ろすとオバチャンがこちらの二階に向かって何やら手を振っていた。
 どうやら僕の後ろにいた別のオバチャンと待ち合わせをしていたらしい。
 その後ろのオバチャンが、外のオバチャンに答え自分も手を振っていたのであるが、最初アイコンタクトや身振り手振りで応対していたのを最後我慢し切れなかったのか、とうとう声を出してしまっていた。
 もちろん声を出した所でガラスの向こうの、しかも眼下の外のオバチャンには聞こえるはずもなく、関係ない僕には良く聞こえるという何ら意味の無い状況を呈している。しかも途中で気づいて止めたので中途半端になり、結局オバチャンの呻いた必死の呻きは、ちゃんとしたセンテンスにはなっておらず、図らずも「変なオバチャン」光線を発してしまっていたことは否めない。

腹も満たされたところで、この後は又例によってバスで締めくくることにした。
 かくして今日のフィナーレは金町〜浅草寿町行きの都営バスを選定。
 浅草からは少し歩き蔵前まで出て大江戸線に乗り新宿まで戻った。
 なんだかんだ言いながらも今まで結構大江戸線に乗っている。
 しかも蔵前は乗るまでが不便なのだが、そこから新宿まで一発で行ける便利さもあり、何やら便利なのか不便なのか良くワカラナイ。
 全くオカシナ鉄道である

 

●上記レポートを読む場合の推奨BGM
    桑田佳祐:「誰かの風の跡」(「Keisuke Kuwata」収録)

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